全国高校ラグビー大会3日目、12月30日には、シード校が登場して、2回戦16試合が行われました。

天理がシード校・関大北陽を破り3回戦進出へ

シード校・関大北陽(大阪)と強豪・天理(奈良)の対戦は、予想どおりの激しい展開となります。先制したのは関大北陽、前半14分BK陣の巧みな展開からチャンスをつくると、最後は粘り強くボールをつないでWTB鷹尾享選手がトライ、5点をリードします。

しかし天理も反撃、21分、敵陣ゴール前10メートル地点からモールを一気に押し込んで、5対5の同点に追いつきます。内田涼主将が、「自分たちが練習してきた形で得点ができて、落ち着いてゲームを進めることができた」と振り返った天理。この後、しっかりと鋭く前に出るディフェンス、全力疾走でのキックチェイスといった天理らしいひたむきなプレーを積み重ねて試合の主導権を握ります。

前半終了間際に、1年生のWTB小松駿太郎選手のキックチェイスからエリアを獲得してPGで3点を勝ち越すと、後半3分、またしても、敵陣ゴール前のモールをうまく押し込んで、内田涼主将の弟、FL内田旬選手がトライ。ゴールも決めて15対5と逆に10点のリードを奪います。

関大北陽もあきらめません。さすがに激戦区大阪を勝ち抜いてきた実力校、8分、細かくパスをつないで、最後は鷹尾選手のこの日2つ目のトライで、5点差に詰め寄ります。それでも、内田涼主将が「ディフェンスの部分で力を出せていたし、モールを押せると手ごたえをつかんでいた」と話した天理。最後まで試合の主導権をわたしませんでした。

14分、再びラインアウトからのモールを押し込んで、関大北陽のディフェンスを切り裂くと、またしても内田旬選手が、今度は力強い突破から中央にトライ。ゴールも決めて差を12点にひろげると、25分には、小松選手が勝負の行方を決定づけるトライ。終盤の関大北陽の反撃を永井玲雅選手の1トライに迎えて27対15で、3回戦進出を決めました。

光泉カトリック「目標は全国ベスト8。気を引き締めて次の試合に挑みたい」

ノーシードのチーム同士、光泉カトリック(滋賀)と川越東(埼玉)の対戦は、両チームが持ち味を発揮したスリリングな展開となります。光泉カトリックが、力強い突破からの連続攻撃で先制トライを奪うと、川越東もFW陣のパワフルな攻撃で逆襲、両チーム1トライを取り合って中盤に突入します。

一進一退の攻防から抜け出したのは、光泉カトリック。FWだけでなくBK陣が抜群のスピードを見せて得点に結びつけます。17分、FWが前にしっかりボールを運んだあと、BK陣の素早いパス回しから、WTB岡本龍弦選手がトライを奪うと、後半開始直後にも、CTB寺岡大翔選手が、足腰の強さ、ランニングスキルの高さをみせてトライ。この後、2本のトライを加えた光泉カトリック、粘る川越東をふりきり、31対19でベスト16進出を決めました。試合後「お正月を花園で迎えることができるのはうれしい。ただ僕たちの目標は全国ベスト8、気を引き締めて、次の試合に挑みたい」と語った光泉カトリックの川上将虎主将。強豪、桐蔭学園相手の次戦に向けて、闘志を燃やしていました。

京都成章「つないできた歴史をつぶしてしまった悔しさ」

1回戦で、富山第一(富山)に大勝も課題を残した京都成章。シード校の石見智翠館(島根)相手に立ち上がりから気合十分、勢いよく攻め込みます。開始2分、FWで敵陣ゴール前まで攻め込むと、最後はBK陣の鮮やかな連携から、FB堀江佳太選手がトライ。幸先よく5点を先制します。

一方の石見智翠館もあせらず反撃、京都成章の強みである、出足の鋭いディフェンスをうまくかわして、意図的に外側にポイントを作って、攻撃を仕掛けていきます。そして京都成章のペナルティーを誘発。5分、14分、22分と3つのトライを奪って、19対5と逆に
14点のリードを奪います。

それでも、ここ数年、ベスト8以上に進出して確かな実績を残してきた京都成章。前半終了間際に1トライを返すと、後半5分にも、BK陣がミスなくボールをつないで最後はWTB金内友希選手がトライ。難しいゴールをキャプテンの太田陸斗選手が決めて、19対19の同点に追いつきます。

どちらに勝利の女神が微笑むのか、手に汗握る状況の中で、チャンスをものにしたのは石見智翠館でした。後半10分、ジャッカルに成功したと判断して、対応が遅れた京都成章に対して集中力を切らさずボールを継続して、勝ち越しのトライを奪うと18分にも、一瞬のスキをついてSO原田崇良選手の好走からFL谷本一斗選手がトライ。この後の京都成章の反撃を1トライに抑えて。36対26で逃げ切りました。

大事な場面で気合が空回り、規律が乱れてペナルティーが重なった京都成章の太田陸斗主将は、「大事なところでバックスにミスが出た。(FWに対して)本当に申し訳ない。キャプテンとして苦しいことのほうが多かったが、1、2年生が本当によく頑張ってくれた。今年は1、2年生の力も借りて、しんどいことも乗り越えてきたので、自信はあったのですが、今まで(先輩たちが)つないできた(ベスト8以上進出の)歴史をつぶしてしまった悔しさがあります」と話すと、涙とともに花園を後にしました。

そのほか、流経大柏(千葉)が、後半の逆転でシード校・尾道(広島)を32対21で撃破。関西勢では、シード校が実力を発揮、東海大大阪仰星(大阪)は、高川学園(山口)を無得点に抑えて86対0の大勝。大阪桐蔭(大阪)は鹿児島実(鹿児島)に57対7、報徳学園(兵庫)は明和県央(群馬)に45対13、序盤苦しみながらも、それぞれがフィジカルと決定力といった強みをみせて、ベスト16へ駒を進めています。

近畿を代表する強豪校が激突…3回戦の組み合わせ

1月1日、3回戦の組み合わせは以下のとおり、流経大柏と天理、ノーシードから勝ち上がった実力校が対戦。報徳学園と東海大大阪仰星、近畿を代表する強豪校が早くも激突します。

【1月1日(3回戦)組み合わせ】
第1グラウンド
佐賀工(佐賀) 対 目黒学院(東京)
中部大春日丘(愛知) 対 国学院栃木(栃木)
桐蔭学園(神奈川) 対 光泉カトリック(滋賀)
石見智翠館(島根) 対 大阪桐蔭(大阪)

第3グラウンド
流経大柏(千葉) 対 天理(奈良)
茗溪学園(茨城) 対 大分東明(大分)
報徳学園(兵庫) 対 東海大大阪仰星(大阪)
名護(沖縄) 対 東福岡(福岡)


(MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)