去年11月の社会人日本選手権。大阪ガス優勝の立役者は、安定感抜群の2年目右腕だった。稲垣豪人(24)。最速148キロのストレートと制球力を武器に、2回戦の日本通運戦では9回8安打1失点の完投勝利(無四球)。

 準決勝の日本生命戦でも8回2安打1失点の好投を見せた。決勝のHonda熊本戦はブルペンスタート。8回からの2イニングを1失点に抑えて胴上げ投手となり、初のMVPに選出された。

(稲垣豪人)「(印象に残っているのは)2回戦日本通運戦での完投勝利ですね。社会人に入ってから完投したのが初めてだったので。コントロールを持ち味にしているので無四球で完投できたのは自分でも評価できるかなとは思います。」

原動力は”1年前の悔しさ”

 稲垣は日本文理(新潟)、東京農大を経て、2022年大阪ガスに入社。即戦力としての活躍を期待されたが、1年目の10月、右腕を痛みが襲った。診断結果は前腕の肉離れ。戦線離脱を余儀なくされた。

(稲垣豪人)「調子が上向いていたんですが、日本選手権1週間前の練習試合でケガをしてしまってベンチに入れなかった。あと少しで(日本選手権で)投げられそうという所で、ケガをして凄く落ち込んだんですけど、来年に向けてちゃんと(練習を)やっていれば結果はついてくると思って、必死に練習していました。」

懸命のリハビリを経て、1年後見事に復活を果たした。稲垣には、幼なじみのプロ入りも刺激になっている。

阪神育成1位 小学生のチームメイト

 出身は富山県黒部市。今年、阪神タイガースに育成ドラフト1巡目で入団した松原快とは同い年で、小学生時代、2人は黒部市選抜チームのチームメイトだった。

(稲垣豪人)「小さいころから一緒に野球をやっていて、この年末年始も一緒に練習をしていました。松原は当時捕手で、僕はショートを守ったり、たまに(松原と)バッテリー組んだり。松原は高校から投手に転向して気付いたらプロになっていたのですごいなと。(また一緒に)同じ舞台でやりたいなというのはあります。」

3年目の更なる進化へ

 ストレートは最速148キロ、稲垣は3年目のさらなる進化へ「ストレートを磨いていきたい」と話す。

(稲垣豪人)「ストレートが良くなると他の変化球も良くなると思う。(球速ではなく)バッターが手元でいかに速さを感じる、怖さのある真っすぐを投げられるかが大事。(ケガもあったので)実際は去年が1年目だと思っている。去年だけで終わってしまったらいい選手だとは言えない。続けて活躍できるように今年頑張りたい。」完全復活を果たしたエースに注目だ。(取材・文 MBSアナウンサー・金山泉)

【稲垣豪人(いながきかつと)1999年7月31日生 富山県黒部市出身。175cm78kg 右投左打 日本文理(新潟)~東京農大~大阪ガス。日本文理3年夏、甲子園に出場(2回戦敗退)。趣味はスキー、スノーボード。好きなアイスはビスケットサンド】

【野球サイコー!取材後記】
・コーナー「ギリギリchop」を投げ分ける見事な制球力。四球「ZERO」の投球で、今年も相手を抑える。

・金山泉(MBSアナウンサー)1982年6月5日生 新潟県出身 野球とB’zをこよなく愛する。年間20人以上ドラフト候補など注目選手を取材。阪神タイガース18年ぶりリーグ制覇の試合でラジオ実況を務めた