2月23日、高校ラグビーの近畿大会準決勝。決勝進出をかけた第1試合は、東海大大阪仰星を圧倒した大阪桐蔭と、京都工学院に競り勝った京都成章の対戦。

大阪桐蔭(大阪)×京都成章(京都)

 試合開始から大阪桐蔭が優位に進めます。前半3分、FW陣が接点での強さを見せて、京都成章をゴールライン近くまで押し込むと、最後はPR原悠翔選手がタックルをはね飛ばしてトライ、ゴールも決めて7点をリードします。さらに13分には、ラインアウトからモールを形成するとFW陣が一体となって20m以上を一気に押し込んでトライ。14対0とリードをひろげます。

一方の京都成章。持ち味の好タックルから、試合の流れを引き戻しにかかります。FL藤山知也選手がビッグタックルを決めて、押され気味のチームを勇気づけますが、ゲームの起点となるスクラムを大阪桐蔭にコントロールされて、なかなかチャンスを広げることができません。

逆に、大阪桐蔭は、19分と25分にもトライを追加、前半終了間際にはPGも加えて31対0とします。後半に入っても、勢いは止まりません。キャプテンの名取凛之輔選手が、要所要所でチームを鼓舞。「ハードワーク、ハードワーク! しんどいことから逃げないこと。ファイトし続けよう」という言葉に、周りの選手たちも反応、突き刺さってくる京都成章のタックルをものともせず、得点を重ねていきます。

大阪桐蔭の綾部正史監督が、「今年は、FWに核となる選手はまだいないが、その分BKに経験者が残って、チーム一体となっていい戦いができている」と振り返った準決勝。59対0と完勝して、近畿大会連覇に『あと一つ』と迫りました。

御所実(奈良)×常翔学園(大阪)

 続く第2試合は、準々決勝で関西学院に圧勝した御所実と天理との激闘を制した常翔学園。強風の中始まった試合。前半は風上の御所実がペースをつかみます。キックを有効に使って敵陣に攻め込むと、開始5分にWTB上田悠真選手が先制のトライ。9分に常翔学園に同点に追いつかれますが、慌てず突き放します。

 攻撃の起点となるラインアウトから安定したボールを供給し続けると、20分にNO8本多守人選手が勝ち越しのトライ。ゴールも決めて7点差とすると、前半終了間際には、敵陣ゴールラインまで15m付近のラインアウトから得意のモールをつくって押し込みます、右に左に巧みなコントロールをみせてそのままトライ、19対5とリードして前半を折り返します。

 サイドの変わった後半は、風上にまわった常翔学園がキックを使って敵陣に攻め込みます。しかし、185センチを超える大型選手を複数そろえた御所実にラインアウトをコントロールされて、なかなか有効な攻撃につなげることができません。

 逆に御所実は後半9分、常翔陣内22mライン付近まで攻め込むと、またしても、伝統のモール攻撃が威力を発揮します。ラインアウトからのモールをそのまま一気に押し込んでトライ。逆風の中、キッカーの大久保幸汰選手が見事にコンバージョンゴールを決めて、26対5と突き放します。さらに14分、常翔学園のラインアウトにプレッシャーをかけてボールを奪うと、鮮やかなカウンター攻撃を仕掛けて、途中出場のSH森安優裕選手がトライ。31対5として、勝負は決したかと思われました。

常翔学園が驚異の反撃試みる

 しかしここから常翔学園が驚異の反撃。強みである一人一人の縦への強さを武器に、休まず攻撃を仕掛けます。17分にFL家大祐選手が反撃のトライを奪うと、24分には粘り強くボールをつないで途中出場のPR荒玉龍之介選手がトライ。31対17と、2チャンスで同点可能な14点差までに迫ります。

 刻々と少なくなっていく残り時間、常翔学園はあきらめません。ひたむきに縦突破を繰り返すと、29分には、PR佐々木大斗選手がトライ、ゴールが決まれば1チャンス差という場面を作ります、しかし、強風の中、無情にもボールは逸れてゴールならず、常翔学園の強烈な反撃もここまで。御所実が31対22で逃げ切って、決勝進出を果たしました。

ラインアウトの中心として活躍した御所実のLO服部凰真選手は、「ラインアウトからのモールは自分たちの自信になっている、昨年(奈良の決勝戦で)天理に止められたモールを修正して日々練習してきたので、どんな相手にでもできるようになっている」と、決勝にむけて自信をのぞかせました。

【決勝戦 大阪桐蔭 対 御所実】きょう2月25日(日)に行われる決勝戦は、近畿大会連覇を狙う大阪桐蔭と、1月のサニックスワールドラグビーユース交流大会予選会に続く優勝を狙う御所実の対決となりました。

出場権獲得は、東海大大阪仰星と天理

準決勝に先立って、全国(選抜大会)への出場権をかけた対戦では、第1試合は東海大大阪仰星が京都工学院に29対0と快勝。京都工学院の広川陽翔主将が、「雨の中の難しいコンディション、自分たちはプランどおりの戦いができなくなったとき、個人、個人で打開しようとしてうまくいかなかったが、仰星さんは、チームとして意思統一しながらしっかり修正してきた」というように、攻守に全員が一体となったラグビーを見せて、昨年かなわなかった選抜大会への出場権を手にしました。

 続く第2試合も雨でボールが滑りやすい難しいコンディション。天理が、さすが伝統校の底力を見せつけました。立ち上がり集中力の高いディフェンスで関西学院の攻撃を防ぐと、20分すぎからは、チャンスを着実に得点に結びつけていきます。大事なところでミスが出た関西学院に対して、要所要所で洗練された攻撃でトライを奪って33対0の勝利。王子拓也HCが「立ち上がり苦しんだが、途中から自分たちでよく修正してくれた。その点は評価したい。うちは、目の前のことを一つ一つこれからです」と語った天理、チームの成長にとって大事な機会となる選抜大会への出場権獲得です。(MBSスポーツ解説 宮前徳弘)

【高校ラグビー近畿大会 2月23日の結果】
準決勝(4チームとも選抜大会の出場権獲得)
大阪桐蔭 59-0 京都成章
御所実 31―22 常翔学園

選抜大会代表決定戦(★チームは選抜大会の出場権獲得)
★東海大大阪仰星 29-0 京都工学院
★天理 33-0 関西学院