ある朝、私(ディレクター)は通勤電車で隣に座る男性に因縁をつけられた「あんたが新聞めくるの鬱陶しいねん」、向こう隣に座る連れ合いらしき女性がたしなめた「やめとき、怒られるで」。すると男性は「せやけど、今どき電車で新聞読んでるねんで」...朝から酔眼の人物ではあったが、私は咄嗟に言葉が出ず、無視を決め込んだ。
49歳の私は、小学生の頃に初めて新聞記者という職業を意識した。放送記者になっても、新聞で情報を得て、現場で新聞記者の取材姿勢に学ぶことも多かった。
しかし、新聞の部数減少は著しい。日本新聞協会によると、この20年で半分になった。日本の新聞普及率を支えてきたのが配達制度だが、全国紙で初めて毎日新聞が、富山県に続き、北海道の一部、島根県西部で配送を休止する。和歌山県も山間部では配達から郵送になった「空白地帯」がある。朝刊が朝に届かないのだ。一方、各紙が活路を見出そうとしているのがデジタル展開だ。PV数が勝負となる。私は危機感を抱いた「このままでは紙の新聞はなくなるのでは...」、そこで販売店、読者から記者や新聞社幹部も取材した。形勢不利は、承知の上。「紙の新聞」の公共性、文化資本としての可能性を探る。
新聞力〜"紙"だからこそ〜
2025年3月16日(日)放送
5月25日(日) あさ 5時00分放送

歪んだ正義(仮)
番組について
真夜中のドキュメンタリズムから黎明のドキュメントへ
映像’25は4月からあさ5時の放送に変わります
映像’25は1980年4月に放送を開始した関西初のローカル・ドキュメンタリーです。
月1回、深夜の放送から日曜あさに移動し再放送やネット配信も充実させながらテレビドキュメンタリーの発信を続けていきます。