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李 承信プロラグビー選手Vol.1252
朝鮮学校出身で初のラグビー日本代表
桜のジャージーに袖を通す覚悟と感謝
去年6月、ラグビー日本代表に期待の新星が現れた。李承信。当時21歳でテストマッチのウルグアイ戦に初出場すると、司令塔であるスタンドオフとしてチームを牽引した。
在日韓国人3世の李は、朝鮮学校出身者として初めて桜のジャージーに袖を通した。今年9月にフランスで開催されるワールドカップでも、初のベスト4入りを目指す日本代表の有力候補と目されている。
李の一番の持ち味はゴールキックの精度だ。2015年のワールドカップで五郎丸歩が務めた日本代表のキッカーを、今は主に李が任されている。試合の勝敗を左右する重要なプレーだが、去年秋の代表戦では成功率94%と驚異の決定力を見せた。
高校日本代表やU20日本代表に選ばれるなど、早くからラグビー界では注目されてきた。だが、現在に至るまで苦難の連続だったことを知る者は少ない。
「ワールドカップで活躍する姿が見たい」といつも応援してくれていた母を病気で亡くしたのは小学校6年生の時。大阪朝鮮高から強豪帝京大学に進むも、さらなる成長を目指すとして19歳のときに自主退学。本場ニュージーランドへのラグビー留学を志したが、新型コロナの影響で叶わなかった。所属チームもなく、公園で一人練習する浪人生活は、コベルコ神戸スティーラーズに入団するまで9か月間も続いた。韓国籍である李が日本ラグビーを背負おうとすることに対しては様々な声が届く。それでも李は「支えてくれた人へ自分のプレーで恩返ししたい」と信念を貫く。
番組は李に2022年11月から密着。ワールドカップに日本代表として出場するためには所属チームでの活躍が欠かせないが、本人もチームもなかなか結果が出ない。そんな中、試合中に顔面を強打し目に大けがを負ってしまう。戦線離脱を余儀なくされロッカールームで人目もはばからず涙する姿には、ラグビーに懸ける強い思いが垣間見えた。
家族や周りの人たちと過ごす際にのぞくあどけなさと、屈強な選手たちとのコンタクトをいとわない豪胆さとが同居する22歳。戦い続ける理由に迫る。
PROFILE
2001年1月13日生まれ。兵庫・神戸市出身。
176センチ、85キロ。
4歳からラグビーを始める。
大阪朝鮮高級学校で全国大会に出場し、高校日本代表の主将も務めた。
帝京大学に進学後、海外での武者修行を目指して1年で中退するもコロナ禍により留学は断念。
2020年 コベルコ神戸スティーラーズに入団。
2022年6月 ウルグアイ戦で日本代表デビュー。
2022年7月 スティーラーズの副キャプテンに就任。
3人兄弟の末っ子で、次兄もプロラグビー選手。好きな料理はビビンバ。
構成:浜田悠・天野衛
ナレーター:窪田等
撮影:前川研二・佐藤由晃
音効:中嶋尊史
編集:岡部雄太
プロデューサー:沖倫太朗
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