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石川佳彦ウルトラマラソンランナーVol.1262
走ることは、生きること…
世界一過酷なマラソンに夫婦で挑む
アメリカ・デスバレー。気温40度を超える灼熱の地で、全長217キロを一昼夜かけて走り抜く。Badwater(バッドウォーター)135―「世界一過酷なフットレース」と称される戦いに挑む男がいる。ウルトラマラソンランナー、石川佳彦だ。
フルマラソンは42.195キロ。その距離を超えるマラソンのことを、ウルトラマラソンと呼ぶ。石川はこれまで、主要な世界大会で何度も優勝し、世界ランキング1位にも過去に3度輝いた、名実ともにこの分野のトップランナーである。
普段は地元・徳島の会社で働くサラリーマン。仕事が終わると毎日20キロ、土日は自然豊かな山道を60キロ走り込む。食事は鶏胸肉とゆで卵が中心。肉体面だけでなく、精神面の準備も整えなければとても200キロ以上を走り抜くことなどできない。ウルトラマラソンでは、「正しいことをしないと前に進めない」と石川は言う。
そんな石川を支えるのが、妻の美紀さんだ。食事やトレーニングだけでなく、レース中は隣で走りながら飲み物を受け渡し、サポートする。まさに二人三脚で、これまで幾多の勝利を手にしてきた。
この夏、そんな石川が挑戦したのは、全長135マイル=217キロのレース、バッドウォーター135。石川は、世界最高峰の戦いといわれるこの大会で過去2回、優勝を果たしている。前人未踏の3大会連続優勝を勝ち取り、自身としてはこの大会にピリオドを打ちたいと考えていた。
かつて長距離ランナーとして味わった挫折、何者かになりたくて辿り着いたウルトラマラソンの世界。そして今、子どもが生まれ父親となり変化した生活と心境...。さまざまな葛藤と思いを抱え、石川が人生をかけたスタートラインに立つ。
PROFILE
1988年 徳島県生まれ。
高校在学中から陸上競技を開始。
社会人になりフルマラソンの日本代表を目指すが、記録が伸びず挫折。
そんな時、タウン誌の企画でウルトラマラソンに出会い、2012年「隠岐の島ウルトラマラソン」(100km)で初優勝。
当初は100km級ではなかなか勝つことができず、200km級のレースへの挑戦を決意。
2017年、29歳2か月で「IAU(国際ウルトラランナーズ協会)24時間走世界選手権」(271km)で歴代最年少記録を打ち立て優勝。
2018年、ヨーロッパの鉄人レース「スパルタスロン」(246km ギリシャ)で優勝。
2019年、「バッドウォーター135」(217km アメリカ)を21時間33分の大会新記録で優勝。世界3大レースで優勝し、ウルトラマラソン世界ランキング1位に輝く。
2022年、「バッドウォーター135」で2度目の優勝を果たした。
構成:田代裕・重乃康紀
ナレーター:窪田等
撮影:佐和田奈々・駒井研二
音効:井田栄司
編集:水野純
制作協力:メディア・メトル
プロデューサー:沖倫太朗・松井秀裕・津田友美
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