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2023年10月22日(日) 放送分

仏像彫刻師

木像に仏の命を吹き込む名人親子3代
歴史的!新たな徳川家康像を彫る

京都の人里離れた山の中に、その親子3代が営む工房はある。
「木の中に仏が見えている」とも言われる初代・松本明慶は"100年に1人の天才"と呼ばれている。
高野山に鎮座する巨大な四天王像の胸に、繊細な彫りが施されたトンボとセミを添えた斬新な彫刻は明慶による代表作の一つだ。
その父から技を受け継ぎ、工房にいる50人近い弟子を取り仕切るのが2代目・明観。
2人とも、優れた仏像彫刻師に与えられる「大仏師」の称号をもつ。
今年、その称号は3代目・宗観にも授与された。
そんな彼らの元に、徳川家の菩提寺である東京・増上寺から「徳川家康像を彫ってほしい」という依頼が舞い込んだ。大役を担うのは、2代目・明観。
仏像は得意とするが、徳川家康となると、教科書で見た肖像画のイメージくらいしかない。
「正解がないというか、どのお顔が家康さんに似ていたかは誰にもわからないんですよ」
百年千年とこれからも継がれていく家康像の顔を、どう表現するか・・・。
明観は、家康公が生きている間に自ら作らせた肖像を見に行き、家康公と同じ装束を息子・宗観に着せて、今までに無い"生きているような"家康像を模索する。
カメラはこの春、家康像の表情を試行錯誤する様子から、彫刻の完成まで密着。
産みの苦しみの最中にいる2代目をそっと見つめる初代、そして工房の将来を担う3代目。
親子3代の面前に徳川家康が舞い降りる。

PROFILE

初代・松本明慶
1945年、京都生まれ。
弟の死をきっかけに17歳で仏像彫刻を始め、“100年に1人の天才”と言われる。40代で大仏師の称号を得る。代表作は、高野山・金剛峯寺の「増長天」「広目天」など多数。京都佛像彫刻展のトップ賞を16回受賞、京都・和歌山の文化功労賞受賞。現在20体目の大仏を制作中。

2代目・松本明観
1967年、京都生まれ。明慶の長男。
19歳で父・明慶の工房に弟子入り。当初から才気にあふれ、その豪快な彫刻技術と勉強熱心さには、師である明慶も一目置いている。35歳で大仏師の称号を得る。工房全作品の制作を指揮し、経営を切り盛りする。2024年に東京・増上寺に納める「徳川家康」制作を担う。人情深い親分肌で冗談好き。周囲にはいつも笑いが絶えない。

3代目・松本宗観
1998年、京都生まれ。明観の長男。
18歳で工房に弟子入り。京都佛像彫刻展で2年連続奨励賞を受賞。今年、25歳の若さで大仏師の称号を得る。真面目で誠実な人柄から、弟子仲間の人望も厚い。新妻の手料理が大好物。

STAFF
演出:久留島かほ里
構成:増永達治
ナレーター:窪田等
撮影:森祐太
音効:中嶋尊史
編集:芦垣均
制作協力:みるくりえいと
プロデューサー:沖倫太朗・渡辺千秋

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