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2025年04月20日(日) 放送分

近藤一博疲労医学者
Vol.1349

疲労やうつ病の謎を解き明かす!
パイオニアは疲れ知らずの学究肌

現代日本において、疲れていない人などいないだろう。
疲労は目に見えないからこそ、多くの人が知らず知らずのうちに無理をしてしまう。Karoshi(過労死)という国際語が生まれてしまうほど、疲労は日本の社会問題だ。そんな日本を、疲労から救おうと奮闘するのが近藤一博だ。
近藤は、あるウイルスを測定することで疲労の度合いを可視化することに成功。謎に包まれていた疲労のメカニズム解明につながる、ノーベル賞級とも称される大発見を連発している疲労医学の第一人者だ。
「疲労が絡まない病気はこの世にほとんどない。」疲労はまさに万病の元であると近藤は言う。
発見しているだけでは救われないと、研究の傍らありとあらゆる解決法を模索している。ある時は、だれにでもわかりやすく理解してもらうため、疲労のメカニズムについての漫画を描き、またある時は、疲労に効く何かがないかとあらゆる漢方薬を自ら飲んで試す。
66歳。教授自ら細胞を取り扱い、いくつものサンプルを作成して観測することは珍しい。地道な作業は若い研究者が担当することが多いが、近藤は「人が出したデータを計算しているだけでは新しいものは見つからない。教授職を定年退任してこうした研究の現場に戻れたことが嬉しい」といたって前向きだ。
最近では、うつ病やアルツハイマー、更にはある重要な病気にまで疲労が密接に関わっていることが見えてきた。その発見の裏には、泥臭い研究の日々がある。

PROFILE

東京慈恵会医科大学医学部疲労医学講座(産学連携講座)特任教授。1958年生まれ。父は転勤族で幼少期は岡崎、のち関西を中心に育つ。住吉中、灘高を経て、1985年大阪大医学部卒業。91年大阪大学微生物病研究所。93-95年スタンフォード大留学。03年より慈恵医大。ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染・再活性化機構を解明、生理的疲労のメカニズムの解明、うつ病の原因遺伝子の発見、新型コロナ後遺症の原因の究明など多くの業績をあげてきた。1999年から「疲労」のメカニズムを解く国家プロジェクトを任され、様々な研究班のリーダーを務める。著書『疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた』で今年の講談社科学出版賞。
漫画やアニメが大好きで、「最新話をいち早く読みたい、単行本まで待てない」と漫画雑誌を欠かさず読んでいる。近藤の漫画への造詣の深さは現役漫画家も驚愕するほど。

STAFF
演出:下口谷充
構成:田代裕
ナレーター:窪田等
撮影:平本亜希・池村泰貴・森屋進・塩島槙人
音効:早船麻希
編集:下高呂佳子
制作協力:テレビマンユニオン
プロデューサー:沖倫太朗

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