「建国記念の日」の2月11日は、「仁丹の日」でもあります。
仁丹(じんたん)は、大阪の森下仁丹株式会社が製造・販売する口中清涼剤。
16種類の生薬が配合された銀色の小さな丸い粒は、同社のロングセラー商品です。
京都で仁丹といえば、商標入りの「仁丹町名表示板」を思い浮かべる人も多いですよね。
京都では、明治期から昭和初期にかけてまちのあちこちに設置されていたという仁丹町名表示板。
今は数も少なくなりましたが、京都の町家や路地にはホーロー製の町名表示板が似合う気がします。
かつては中京区が「上京区」「下京区」、東山区などは「下京区」と記されていた仁丹町名表示板。
これは、明治22年(1889)に京都の市制が執行されたことに関係しているそう。
この市制の執行に先がけ、明治12年(1879)に京都府上京区、京都府下京区が誕生しました。
そして市制が執行されると、それぞれ京都市上京区、京都市下京区に改められます。
現在は11区ある京都市ですが、当初は2区のみで区域も現在とは異なるものだったそう。
その2区から市域が拡大したのは昭和4年(1929)で、3つの区が新設。
上京区と下京区から中京区が、上京区から左京区が、下京区から東山区ができたとか。
かつての京都の市制を今に伝える仁丹町名表示板は、後世にも残したい貴重な資料です。
時代をくぐり抜けてきた姿が残る一方で、平成に入ってから作られたという新顔も。
新旧それぞれに味があり、町名の由来などに思いをはせるのも楽しいですね。
一般的に、町名ではなく、東西南北を走る通りの名前で場所を認識している京都の人々。
町名表示板は、碁盤の目を上ル(北へ進む)、下ル(南へ進む)などのときにも役立ちます。
先日ご紹介した鍾馗さん同様に、これからも京都のまちを見守り続けてくれますように。
日本で唯一、鍾馗さんをまつる神社 はこちら
ちしんあるき① 上ル、下ル、入ルってなに? はこちら