料亭コンシェルジュ
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BLOG料亭コンシェルジュ
2019.02.19
料亭を家族ぐるみで、長~く愛して
人生の大きな節目を料亭ですごす。それはほかにはない格別な時間です――と言われても、いったいなぜなのか?何ができるのか? 料亭とはなかなかわかりにくいもの。そんな料亭ビギナーを「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将・佐竹恭子さんがエスコート、大切な日を彩ってくれる料亭の使い方を教えてくれます。第3回目は、結婚により両家の親族が結びつき、出産などで家族が増えてゆき、大切な節目がどんどん増えていく......そんな時こその【料亭で家族とお祝い】編です。生まれたばかりの赤ちゃんには、どんなお祝いがありますか?お子様が料亭をご利用される初めての日は、「お食い初め」になるでしょう。わが子が一生食べるものに困らないよう願い、また歯が生えるまで育ったことを祝う行事です。ご両親がお子様に、食べ物を食べる真似をいたします。「百日祝い」とも呼ばれるように、ご誕生から100日目に行われることが一般的です。用意するものがいろいろと必要な儀式です。ご自宅で行うこともできますが、始まったばかりの子育てで日々お忙しいと思います。料亭にはひと通りの準備がございますので、ぜひこちらで、晴れ晴れとした気持ちでお子様のご成長をお祝いくださいませ。伝統的に、男の子は朱塗り、女の子は外側が黒塗りで内側が朱塗りの漆器の祝い膳を使用いたします。ご予約の際には、お子様の性別をお伝えくださいませ。また、お家で受け継がれているお膳がございましたら、そちらをお持ち込みいただき、使用させていただくこともできます。お料理は一汁三菜(尾頭付きの鯛、吸い物、煮物、香の物、赤飯)になります。強い歯が生えることを願って、タコの煮物やおこわなど堅いお料理をあえてお献立に入れるようにしております。そして石のように硬い丈夫な歯になるように、必ず「歯がため」の石を添えておきます。大人の皆さまにもお祝いの小鯛を焼きまして、それを分けて召し上がっていただけますし、お持ち帰りいただくこともできます。お子様の初めての料亭体験が、印象深いものになりますようお手伝いさせていただきます。ひな祭りや端午の節句で、子供たちを喜ばせたいです歴史のある料亭には、器やお道具だけでなく、さまざまな骨董品が保管されています。竹茂楼ですと、先代から受け継いだ大正時代から伝わるひな人形がございます。一般的な段になったものとは異なりまして、建物の模型の中におひな様が鎮座するという構造になっている非常に珍しいもので、組み立てるのに半日ほどかかります。このような精巧なつくりのひな人形は、今ではあまり見ることができない貴重なものですが、ひな祭りの時期には毎年広間に飾っております。旧暦で祝いますので4月中旬ごろまでご覧いただくことができます。端午の節句は「大将さん」とお呼びしている白馬に乗ったお人形を飾ります。これは「五月人形」と呼ばれているものとは違いまして、応神天皇の化身として現れたともいわれている源義家公をかたどっています。60~70センチほどある大きなものです。こうした節句の時期には、3世代でお越しになるご家族が多いですね。おじい様、おばあ様とともに、価値のある珍しいものにふれるというのは、お子様の知的好奇心を満たしてくれるのではないでしょうか七五三のお祝いの時に、子供用のお料理はありますか?七五三はお子様を中心としたお席になりますので、お子様がお好みのお食事がメインになります。もうごはんを召し上がることのできる年齢でいらっしゃいますので、そのなかで「和食を」というご選択をされる場合は、料亭がふさわしいかと思います。お子様に人気のあるのはお出汁をベースに焼き上げたお肉や、海老の天ぷら、そして茶わん蒸しですね。当店ではお弁当のスタイルでお出しいたします。出汁の味覚を知ることは、食育にも有効といわれております。「3歳までの食経験で、味覚の発達は決まる」という説もございます。小さい時からきちんととったお出汁のお料理を召し上がって、食に対して正しい意識を持ってほしいというご両親様、そしてご祖父母様の願いをきちんと受けとめ、お食事をご用意いたしております。今では和室のあるお家が少なくなり、畳の上で生活することは珍しくなりました。料亭で外国人をご接待されるときに、和室でのふるまいがわからないという日本人も多い時代でございます。小さいうちから日常生活の延長上にある節目の時に料亭を経験しておくのは、人生の役に立つことと思います。両親の誕生日を大々的に祝いたいのですが、何歳の時がよいですか?おいくつのお祝いでもご両親はお喜びとは思いますが、近ごろ多くご利用いただくのは、古稀(70歳)や喜寿(77歳)のお祝いです。還暦(60歳)ですとまだまだ皆さまお若いので、料亭でのお祝いの機会は少なくなりました。お祝いですので、結婚式の披露宴料理とまではなりませんが、鯛やお赤飯をご用意させていただきます。卒寿(90歳)ですと、歯に負担のかからないよう、お料理に隠し包丁を入れ食べやすくすることも。ご予約いただくときに、お客様から「古稀のお祝いで」とはおっしゃらないパターンが多いのですが、お赤飯はいつでもお出しできるようにしております。事前にお伝えいただけましたら、当店からお酒をプレゼントさせていただいたり、花束のご準備をすることもございます。こちらから出しゃばるのではなく、大切なご家族のお祝いのひと支えになれるように心がけております。料亭は、お客様の人生のおそばにおります先にも申し上げましたように、お誕生日や、VOL.1でお話ししましたプロポーズなどは、プライベート感のあることですので、ご予約の際に多くのお客様がご利用目的をおっしゃいません。ですので、お客様がどのような用途でお越しになられたのか少しでも早く気づけるように、私どもはアンテナを張っております。お部屋に入られた時のご様子や、お話をおうかがいするなかで「お祝いなのですね」と察すれば、すぐに料理人と情報を共有してどのようなお手伝いができるかを考えております。たとえば、お越しになって状況がわかり、「お花があったほうがいい」と思えば、急いでお花屋さんに電話して......といった急なことも大変多いです。料亭の外へ買いに走ることもよくあります。お客様のお帰り間際になってやっと「お誕生日だった」と気づくことがないよう心がけております。「その時、その折」の対応ということを、私ども料亭は非常に重要視しています。お客様が満足されるのはどういうことかを日々考えるように、従業員同士でも話をするようにしております。どうか気持ちを楽にして、人生の節目に料亭が寄り添っていることをぜひお心に留めていただき、何代にもわたってご愛顧いただけますことを願っております。文 竹中式子■ 美濃吉本店 竹茂楼京都市左京区粟田口鳥居町65昼11:30~14:00(最終入店) 夜17:00~22:00(19:30最終入店)土日祝11:30~22:00(19:30最終入店)定休日 不定休075-771-4185
佐竹恭子
「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将
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BLOG料亭コンシェルジュ
2019.01.11
料亭で、結婚しようよ
人生の大きな節目を料亭ですごす。それはほかにはない格別な時間です――と言われても、いったいなぜなのか? 何ができるのか? 料亭とはなかなかわかりにくいもの。そんな料亭ビギナーを「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将・佐竹恭子さんがエスコート、大切な日を彩ってくれる料亭の使い方を教えてくれます。第2回目は、プロポーズを経てから二人の愛が最高に盛り上がる、人生最大のイベントといえば......の【料亭で結婚式】編です。京都らしくて、特別感のある挙式はありますか?婚礼というお二人の素晴らしい門出に、料亭を選んでいただきありがとうございます。挙式から披露宴まで、従業員一丸となって料亭らしいお手伝いをさせていただければと思います。京都には著名な寺社仏閣がたくさんあり、そちらで挙式を希望される方も多いかと思います。竹茂楼も平安神宮とはお車で3分、吉田神社も10分ほどの距離にありますので、挙式を終えられたあと当店で披露宴を、という流れもスムーズです。人力車を手配し、沿道の方々からの祝福の中、お二人を会場までお送りすることもできます。人前式ですと、お薦めしたいのが「茶婚式」です。その名の通り、お茶を通してご両家の絆を深める儀式で、茶道の精神にのっとっています。① 「お水合わせの儀」。ご両家それぞれからお水をお持ちいただき、それをひとつの釜に入れます。② まじりあったお水を用いて濃茶を点てます。③ ひとつの茶器に入った濃茶を、新郎新婦、ご両親と飲んでいただきます。料亭では年間20~30件ほど茶会が開かれ、茶道とのつながりが大変深いものです。人との出会いは一生に一度と思い、相手に誠意を尽くす意味の「一期一会」。主人も賓客も互いに敬意を抱き、場の空気を清らかにするという意味の「和敬静寂」――茶の精神が宿る「茶婚式」はとても京都らしくあり、また料亭の凛とした和の空間がより印象深い時間を生み出すでしょう。せっかくの披露宴、とびきり華やかにしたいです!料亭といえば「芸舞妓」というイメージがあるように、披露宴にももちろん芸舞妓を呼ぶことができます。ぜひ「祝舞(しゅくまい)」をお楽しみください。もともと宴席での踊りは、能の世界から始まっております。宴の最初に舞うのが祝儀物といわれている演目であることから「祝舞」は生まれました。能においてはとても神聖視されている演目「翁(おきな)」のほか、脇能といって数曲それに準ずるものがあります。神様にまつわる演目......流派によりますが、たとえば「鶴亀」「寿」「白扇」なども祝儀の時にふさわしいものです。舞を通してハレの場所へ神様にお越しいただくということなのです。乾杯の前に「祝舞」を入れるのが伝統的な流れですが、今はご来賓者のご挨拶の時間もありますので、乾杯の直後に披露することが一般的になりました。2~3曲で15分ほどです。「祝舞」の後は芸舞妓がお席をまわります。芸妓1名、舞妓1名、地方(ぢかた)1名が最小構成になりますが、60名のご参列者に3名ですと、なかなかみなさまへサービスが行き届きません。その場合は5~6人がお薦めです。1名の芸舞妓に対して10名のお客様、という勘定がちょうどよいかと思います。私どもは京都の五花街(祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東)すべてとお付き合いがありますので、「いつもとは違う花街の雰囲気を楽しみたい」というご要望にもお応えできます。芸舞妓体験が初めてのお二人でも、ご不安は不要です。芸舞妓のみなさんは祝宴に慣れていらっしゃいますので立ち居振る舞いも完璧で、ご参列者のみなさまの心に残る温かなおもてなしをしてくださいます。「鏡抜き」での乾杯もたいへんおめでたく、振る舞い酒で会場がより一層盛り上がります。芸舞妓も鏡開きに参加できますので、ぜひご一緒に酒樽の鏡(ふた)をお抜きください。お写真がよりいっそう華やかになります。別注にはなりますが、お二人の似顔絵やお名前の入った枡をご用意できます。引き出物として参列者の皆様にお持ち帰りいただけるので、よい記念品になることでしょう。お客様からのご提案だったのですが、フラワーシャワーならぬ「折り鶴シャワー」もオリジナリティがある演出でした。お色直しで新郎新婦が再入場されるときに、ご参列者のみなさまがお二人に小さな鶴をお投げするのです。色とりどりの鶴が宙を舞う姿は可愛らしく、畳の上に広がる様子もとても美しいものでした。数え切れないほどの鶴は新郎新婦がご自身で折られ、私どももお手伝いさせていただきました。料亭の披露宴料理ってどんなもの?味のクオリティを求めて料亭での挙式を選んでくださるお客様がたいへん多いので、期待にお応えできるように、よりいっそう心をこめる部分がお料理です。鯛の背骨が日の出のように見えることから、そしておめでたいということで私どもは「日の出焼き」と申しまして、一匹まるごとの鯛を目の前でお取り分けさせていただきます。パフォーマンスがありますと、印象に残りますよね。そういう意味では、VOL.1【料亭でプロポーズ】編でもお薦めしました、お客様の目の前で肉をお出汁にくぐらせお出しする、しゃぶしゃぶも楽しんでいただけます。そしてお祝いですから煮物椀は白味噌仕立てで必ずお出しいたします。京都以外の方ですと白味噌に馴染みがございませんので、披露宴料理で初めて召し上がったという方も多いのですが、みなさまたいへん喜んでくださる人気のひと品です。ケーキカットはできますか?料亭でも、もちろんケーキをご用意いたします。料亭らしく抹茶味、和のデザインのケーキをご希望される方が多いですね。なかでも1803年創業の和菓子の老舗「鶴屋吉信」さんの「蓬莱(ほうらい)」は、たいへんご好評をいただいております。山を模したおまんじゅうを、ケーキカットのようにお二人で開いていただきます。すると中から五色の小さなおまんじゅうが現れるという、趣向を凝らしたものです。このウェディングおまんじゅうは、和装にぴったりな華やかさがあり、お座敷ですと風情もあります。新郎新婦のお友達のご発案でジャズやギターの演奏をされたり、餅つきのパフォーマンスをされたり、ということもありました。舞台がございますので、そちらをご活用いただき、オリジナリティあふれる結婚式を作り上げることができます。折々に思い出してはお二人の仲が深まる素晴らしい婚礼となりますよう、全力でお手伝いさせていただきます。文 竹中式子■ 美濃吉本店 竹茂楼京都市左京区粟田口鳥居町65昼11:30~14:00(最終入店) 夜17:00~22:00(19:30最終入店)土日祝11:30~22:00(19:30最終入店)定休日 不定休075-771-4185
佐竹恭子
「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将
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BLOG料亭コンシェルジュ
2018.11.20
料亭で実らせる、プロポーズ大作戦
人生の大きな節目を料亭ですごす。それはほかにはない格別な時間です――と言われても、いったいなぜなのか? 何ができるのか? 料亭とはなかなかわかりにくいもの。そんな料亭ビギナーを「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将・佐竹恭子さんがエスコート、大切な日を彩ってくれる料亭の使い方を教えてくれます。第1回目は、恋をして、お付き合いをしていくうちに「ああ、この人と一生を添い遂げたい」、そんな気持ちが高まったらいよいよ......の【料亭でプロポーズ編】です。プロポーズのお手伝い、させていただきます。みなさま、ようこそお越しくださいました。「美濃吉本店 竹茂楼」若女将の佐竹恭子と申します。竹茂楼は享保元年(1716年)に初代が美濃国から京都へ移り、腰掛茶屋を開いたのを始まりとする老舗料亭です。若主人の佐竹洋治に嫁ぎ、さまざまなお客様にお目にかかってまいりました。実はプロポーズの場合は、ご予約の時にもその内容はご相談されず、お部屋だけを取られる方が多いのです。その日になって、ご様子から「どうやら......?」と気づくのですが。もちろん、密やかにプロポーズをされるのもとても素敵なことです。でも私どもにお伝えいただけましたら、こっそりとお手伝いさせていただけることが、いろいろございますよ。入店早々、玄関でまごついてしまいそうです料亭の大きな門構えに腰が引ける?いえいえ、そこでグッと胸を張ってどうぞお入りください。正式なマナーとしては、前向きのまま靴を脱ぎ、脱いだ靴を手に持ち向きを変えるものですが、少々それが違ってもかまいません。玄関番がお靴をお預かりいたしますので、「まかせたよ」という気持ちで靴をお脱ぎください。そんな姿を女性は頼もしいと思うでしょう。広い?小さい?お部屋はどのサイズがよいのでしょう4畳半から6畳までのものがよいでしょう。お二人の距離を程よく近づけてくれるサイズです。お二人でも広いお部屋はご用意できますが、テーブルも広くなりますので、お相手が遠くになってしまいます。小ぶりといっても竹茂楼の場合は床の間もあり、掛け軸か絵、季節のお花も生けておりますし、お庭もきれいに見えます。こうした装飾がお部屋にほどこされているほうが、会話の糸口にもなりますのでよりよいかと思います。料亭によってしつらえは違いますので、予約の時にご確認されることをおすすめします。掛け軸や絵について、彼女に説明できたほうがいいのかな?知らないものを無理に語る必要はございません。お部屋係りの者に素直に「この絵は誰の作品ですか?」とひと言おたずねくだされば、作者やいわれなど丁寧にご説明差し上げます。掛け軸や絵は、ご要望のものを飾ることができます。私としましては、プロポーズだからとはりきって、「寿」など直接的なものを飾るのはおすすめいたしかねます(もちろん、ご希望であればご用意いたしますよ)。それより、つがいの鳥の絵など、ささやかにお二人の未来を示唆するようなものが好ましいかと思います。花言葉を秘めた、ご要望のお花を生けることもできます。最初は少しだけお気持ちを見せる、それもクライマックスへ向けてのよい演出になるのではないでしょうか。プロポーズに効果的なお料理ってありますか?お二人の目の前でのパフォーマンスのあるお料理はいかがでしょう? 日本料理ですとコースに沿ってお料理が順番に運ばれてくるだけで、動きのあるお料理はあまりないかと思われるかもしれませんが、実はいろいろとご用意できるのですよ。たとえばご婚礼でもご好評いただいている、しゃぶしゃぶです。お部屋にお鍋と最上級の和牛をおもちして、お二人の目の前でお出汁にくぐらせてお出しします。初夏のお鍋ですと、鮎の稚魚をいただく氷見鍋もおすすめです。秋なら松茸を、小さな炉を用いて炭火でお焼きすることもできます。最後にはお抹茶をおたてしますので、ほっと一服、緊張感から解放されて喜びにひたれることかと思います。いずれも香りが部屋中を包み込み、まさに五感を使って楽しめるお料理です。こうしたパフォーマンスをお料理の流れに取り入れると、召し上がったお料理も印象深くなり、プロポーズの日の思い出に刻まれることでしょう。彼をドキッとさせたいのですが女性ですと、やはり美しく男性の目に映りたいものですよね。カウンターとは違い、お座敷では目の前に男性が座られるのですから、箸使いが美しいことは何より好印象を与えるひとつです。茶道でいわれることですが、「三手(みて)」で扱うと、とても上品です。たとえばお箸を取り上げるときは(1)二本の箸の少し右を上からそっと取る(2)左手を箸の下に軽く添える(3)右手を箸に沿って下へ滑らせ持ち直す、という3つの流れになります。お箸を下ろす時も同じです。これは、お椀の蓋を開けるときにも応用できます。「三手」で扱うと、ひとつひとつの動作がゆったりとしているので、優雅なふるまいに見えるのです。慣れていないと最初はなかなかとまどうでしょう。ですのでせめてお箸を置かれるときだけでも、意識してみてください。慣れてくると指先が揃い、奥ゆかしさが出てまいります。もし指輪や時計をされていらっしゃる場合は、白磁や永楽などのよい器を使用したお料理や、メイン料理の時には、そっと外してテーブルの上に置かれてから器をお手に取ってみてください。アクセサリーで器を傷つけないという配慮のできる女性は、男性にも配慮する女性である......そんな印象を持っていただけるかもしれません。お造りの醤油が垂れてしまいます。彼に幻滅されないかしらお造りをいただくときも女性の見せ場です。ぜひ懐紙をお持ちください。お醤油をつけたお造りを、手皿で口に運ぶのは美しくはありません。いただく前に懐紙をバッグから取り出し、机の上かお膝にご用意いただき、召し上がられるときにはそれを手に取り受け皿の代わりにお使いになられると素敵です。わさびは醤油に直接溶くのではなく、お造りの上にのせるのがよいとされています。これはマナーというだけではなく、実は理にかなった方法なのです。わさびは殺菌効果がありますから、生魚の毒消しや臭み消しの役目があると、古来より重宝されてきました。ですから直接お造りにのせたほうが、その効果が発揮できるというわけなのです。こうしていただくと、所作も美しいですし、美味しいですしと、いいこと尽くしですね。若女将が見た、思い出に残るプロポーズインドネシアのお客様から竹茂楼でプロポーズをしたいと、メールでご連絡をいただきました。「日本らしい風情のなかで、愛する女性に想いを伝えたい」と。その方のご希望は「フルーツをとにかく豪華にしてほしい」、ということでした。南国の方らしい発想ですよね。そこで私どもは大きな台を用意し、そこに季節のフルーツをふんだんに盛り付け、アイスを添え、ハート形の水引を飾りました。そして通常、お部屋には音楽はないのですが、お客様ご自身でご用意されたものをお流しいたしました。ムードは盛り上がり、運ばれてきたフルーツを見た女性は輝くばかりの笑顔に......もちろん、プロポーズは大成功です。特別なことを頼むと料金が心配......など杞憂です。あまりにもイレギュラーなことですとご相談になりますが、たとえばインドネシアの方のフルーツのように、お料理のなかでできることでしたら、ご料金のなかで精一杯以上のことをさせていただきます。花束やケーキをお持ち込みいただけば、最良のタイミングでお出しすることをお約束いたします。撮影 津久井珠美、美濃吉本店 竹茂楼文 竹中式子■ 美濃吉本店 竹茂楼京都市左京区粟田口鳥居町65昼11:30~14:00(最終入店) 夜17:00~22:00(19:30最終入店)土日祝11:30~22:00(19:30最終入店)定休日 不定休075-771-4185
佐竹恭子
「美濃吉本店 竹茂楼」の若女将
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