「教えてもらった前と後で、見る目が変わります!」を合言葉に、滝川クリステルと学ぶ今回のテーマは……「GPSの歴史」と「紫外線の恐怖」。「GPSの歴史」編では、昭和58年に起きた「大韓航空機撃墜事件」がきっかけとなり世界で使用されるようになったGPSの最新情報を紹介。「紫外線の恐怖」編では、女性だけではなく男性も必見の紫外線に関するホントの話を大公開。これからの季節に役立つ紫外線対策情報は必見!
昭和58年9月1日。アメリカから韓国へ向かった大韓航空の旅客機が空路に迷い、ソ連領空を侵犯。その数分後、ソ連の戦闘機からミサイル攻撃を受け撃墜された。日本人28人を含む、269人が犠牲となった大韓航空機撃墜事件は、世界中を震撼させて大きな問題となった。
ジャーナリストの伊藤洋一さんは、この事件をきっかけに、現在スマホやカーナビなどに活用されている「GPS」が民間で使用されはじめることになった、と教えてくれた。
事件をきっかけにGPSが民間に開放
大韓航空の旅客機はなぜソ連の戦闘機からミサイル攻撃を受けてしまったのか。
ソ連側は、「領空を侵犯した旅客機には何度も警告をしたが、無視をしたため撃墜した」と説明した。当時、航空機などの位置情報は基地局から無線の電波を受け、距離を測ることで把握していたが、最大5kmの誤差が生じるなど精度が低かった。この誤差が原因で大韓航空機が領空を侵犯したといわれることになった。さらに、規定ルートから大きく外れた大韓航空機に不運が重なる。管制塔からの指示が届かなかったのだ......。
皮肉にも世界中を震撼させたこの事故が、地球上で現在位置を測定できる全地球測位システム「GPS」(グローバル・ポジショニング・システム)を普及させるきっかけとなった。ではいったいなぜこの事件をきっかけにGPSが民間で使われるようになったのか。
この事件が起こる以前、アメリカ空軍は密かに軍事用にGPSを開発し使っていたといわれていたが、当時は機密扱いで公開していなかった。しかし、この事件を受けてレーガン大統領が「269人の罪もない男性、女性、子供が搭乗していた。非武装の韓国の旅客機へのソ連の攻撃です。この人道への罪は、アメリカでも世界でも、決して忘れてはいけません」という声明を発表。それから11日後に「軍事衛星による航法システムを世界の民間航空機に無料で利用させる」と宣言したのだ。
軍事衛星による航法システムとは、すなわちGPSのことで、軍事用システムとして機密だったGPSを使用していたこと、そして民間にも利用可能にすることをアメリカが自ら発表したことに世界は驚いた。「当時、GPSはソ連でも開発済みだろうといわれていたが、その事実を先に公表した方がアメリカのイメージが良くなるのではという広報戦略だった可能性もある」と伊藤さんは解説する。
日本版GPSは誤差数センチまで進化
そして今秋、いよいよ「日本版GPS」が登場する!その精度は、これまで以上に進化しているそう。2010年9月に打ち上げられた「みちびき」が日本専用のGPS衛星だが、これまでとどう違うのか。
現在のGPSは地球上全体を飛んでいて、衛星の場所によっては大きな誤差が出ることもあったが、「みちびき」は日本専用なので誤差は数センチの範囲に縮小されるそう。この技術を駆使して現実的になったのが、車の自動運転。さらに、トラクターに進むルートを事前に入力しておくと、トラクターが自動で衛星からの位置情報をとらえて畑を耕す、ということも可能になる。活用方法によっては、人が運転するよりも正確に走行できて便利!
日本専用のGPSは、今年11月の運用を目指している。