【花園近鉄ライナーズ】ディビジョン1復帰へ奮闘も…僅差で敗れる
12月21日、4シーズン目を迎えた「ラグビー リーグワン」が開幕。関西では、ディビジョン2から今シーズンをスタートさせた花園近鉄ライナーズが、ホーム・東大阪市花園ラグビー場で豊田自動織機シャトルズ愛知を迎え撃ちました。
1年でのディビジョン1復帰が厳命のライナーズ。今シーズンは、クウェイド・クーパー選手、ウィル・ゲニア選手といった元オーストラリア代表のハーフ団が残留したうえ、大型補強を慣行。スターティングメンバーには、期待の新戦力を含めた数多くのフレッシュなメンバーが名を連ねました。
序盤は狙いどおりの戦いぶりで、押し気味に試合を進めます。スクラムを押し込んでリズムをつかむと、FW陣が奮起してシャトルズ陣内深くまで攻め込みます。しかし、向井昭吾ヘッドコーチが「簡単にトライを取りに行こうとして、我慢できなかった」と語ったように、シャトルズのゴールライン目前まで迫りながら、攻め急ぐあまり、大事なところでミスが出て得点に結びつけることができません。
逆に、20分にPGから先制点を許すと、28分と33分にも元イングランド代表の大型SOフレディー・バーンズ選手を中心としたシャトルズのスピードある攻撃を止めることができず、前半は3対17。後半開始直後にもミスから得点を奪われて、3対24と大きくリードを許してしまいます。
しかし、再起を期すホーム開幕戦。詰めかけたファンのためにも無様な試合は見せられないライナーズ。ここから大声援を背に反撃に転じます。直後のキックオフから勢いよく攻め込むと、敵陣ゴール前5mのラインアウトからのモールを一気に押しみます。インゴールでボールを押さえてトライ。反撃開始かと思われましたが、TMO(リプレー検証)の結果、反則があったとしてノートライ。絶好のチャンスを逃してしまいました。
それでも、今シーズンは「ALL Attack」を掲げて戦い続けることを標榜しているライナーズ。気落ちすることなく攻め続けます。後半13分からは、切り札のクーパー選手を投入して攻撃のリズムを加速。シャトルズを自陣にくぎ付けにして攻め込みます。そして25分、粘り強くボールをつないで敵陣深くまで攻めこむと、ラインアウトからモールを押し込んで、途中出場の岡本慎太郎選手がトライ。ゴールも決めて14点差に迫ります。
さらに32分、再び執拗な連続攻撃で相手を揺さぶると、最後はCTB岡村晃司選手がトライ。プレッシャーのかかるコンバージョンキックをSOウィル・ハリソン選手が見事に決めて17対24。ワンチャンスで同点可能な7点差まで詰め寄りました。
残り時間は約7分。その後も攻め続けるライナーズ。そして37分、敵陣中央30m付近でペナルティーを獲得します。この場面でライナーズの選択はPG。攻撃を続けて同点を狙うのではなく、残り少ない時間にかけて逆転を狙いました。ハリソン選手がきっちりと決めて20対24として、ラスト3分にかけます。
「残り時間は少なかったが、相手が(直前の攻防の中でペナルティーを犯して退場し)1人少ない中で、我慢強く攻め続ければチャンスがあると思ってPGを指示した」と振り返った向井ヘッドコーチ。しかし、フィールドの選手たちは、我慢してボールを保持し続けることができませんでした。直後のキックオフからの攻撃、自陣22mの内側でボールをつないで攻めようとしますが、シャトルズディフェンスのプレッシャーに、たまらずキックを選択してしまいます。
「危険なエリアで攻め続けるリスクを犯すよりも、賭けにはなるがエリアを戻す選択をした」と語ったのは、ゲームキャプテンを務めたジェド・ブラウン選手。シャトルズのラインアウトにプレッシャーをかけた後、懸命にボールの再獲得を試みますが、シャトルズFW陣の粘りの前に最後までチャンスは訪れませんでした。
そのまま時間が過ぎて、ついにノーサイド。ライナーズ後半の猛攻もあと一歩及ばず、ホーム開幕戦を20対24の僅差で落としました。ディビジョン2の今シーズンのレギュラーシーズンは14試合。2位までに入れば入替戦の出場が叶うだけに、今後の巻き返しに期待です。
【コベルコ神戸スティーラーズ】息詰まる攻防も及ばず…痛恨の逆転負け
そのほか関西のチームでは、昨シーズンは5位となり、ギリギリでプレーオフ進出を逃したコベルコ神戸スティーラーズが21日、静岡ブルーレヴズとアウェーで対戦しました。
毎シーズン大熱戦を繰り広げる両チームの激突。今シーズンも白熱した展開となります。前半はスティーラーズのペースで、2つのトライとPGで13対3とリードを奪います。しかし、後半に入るとホームチームが反撃。後半23分に1トライを返して5点差に詰め寄ると、その後もFWで圧力をかけて神戸陣内に攻め込みます。しかし神戸も一瞬のスキをついて逆襲。残り時間5分を切ってから、ブルーレヴズをゴールライン近くまで押し込み攻め続けます。ところがゴールライン目前で痛恨のノックオン。勝負を決めるチャンスを逃してしまいます。
九死に一生を得たブルーレヴズは、ここから武器であるスクラムでペナルティを誘発してエリアを戻すと、ミスなくボールをつないで反撃。じわりじわりと前進して、ついに神戸のゴールライン目前まで迫ります。そして、試合はそのままロスタイムへ。まさにラスト1プレー。攻めるブルーレヴズと守るスティーラーズ。息詰まる攻防が続きます。
最後は、ブルーレヴズの気迫が勝って執念の同点トライ。勝ち越しのコンバージョンゴールをサム・グリーン選手が決めて15対13。コベルコ神戸スティーラーズ、痛恨の逆転負けで開幕戦を落としました。
コベルコ神戸スティーラーズが所属するディビジョン1の今シーズンのレギュラーシーズンは18試合。6位までに入ればプレーオフ進出が可能なだけに、こちらも12月29日の横浜キヤノンイーグルスとのホーム開幕戦からの奮起に期待です。
【レッドハリケーンズ大阪】宿敵相手に快勝!山口泰輝選手が1人で19点を奪う
関西のもう1チーム、レッドハリケーンズ大阪は、22日に行われたホーム開幕戦で、NECグリーンロケッツ東葛と対戦。昨シーズン、ホーム・ビジターの2試合とも完敗した相手に、前半から3つのトライを奪うなど34対13と快勝。FB山口泰輝選手がトライ・ゴールを合わせて1人で19点を奪う活躍を見せて好スタートを切っています。
【リーグワン開幕節】関西チームの結果
<ディビジョン1>
静岡ブルーレヴズ 15-13 コベルコ神戸スティーラーズ
<ディビジョン2>
花園近鉄ライナーズ 20-24 豊田自動織機シャトルズ愛知
レッドハリケーンズ大阪 34-13 NECグリーンロケッツ東葛