“躍進の維新“公明との関係に変化は?
維新・馬場伸幸代表「全国の皆様方に維新頑張れということで票を投じていただいたことにまず心からお礼を申し上げます」
馬場代表と藤田幹事長が職をかけて挑んだ統一地方選挙で、維新は目標としていた600議席を大きく超える、774議席を獲得した。和歌山1区の補欠選挙では維新公認の林氏が自民候補を破り勝利。さらに大阪市議会では初めて過半数を獲得し、公明党に頼ることなく「維新単独」での議決が可能となった。
これまでは市議会での協力の見返りとして、維新は公明が議席を持つ大阪・兵庫の衆院6選挙区に候補者を擁立してこなかったのだが...
維新・馬場伸幸代表「他の党にお願いをすることが現状あるかどうかといわれると今はないというのが正確な答え。公明との関係は一度リセットさせていただく」
馬場代表は、協力関係は「白紙状態」であると語気を強めた。
維新の馬場代表が"関係をリセット"と発言したことについて、公明党の山口那津男代表は、こう反応した。
公明・山口那津男代表「前半戦も特に関西地域では、勢いがあると実感をしましたが、他の地域では必ずしもそうではない」「党派的な関係をそのまま持ち込むのではなくて、ここは万博も控える中で責任ある対応を期待したい」
維新の生命線である「大阪・関西万博」での協力を引き合いに、けん制したのだ。ある公明関係者も、この状況に危機感をにじませる。
公明党関係者「維新の勢いからすると、こちらとしては衆院小選挙区に(候補者を)出されたら終わり。実際どうするか分からないから不安だよね」
葛藤する維新
公明6選挙区への候補者擁立については、2021年の衆院選前にも激しい議論があったといい、今も党内でも様々な意見がある。
維新若手国会議員「6選挙区すべてに候補者を立てるべき。ここで立候補したい人は数多くいる。兵庫2区は選挙区を変えて僕が手を挙げてもいいと思っているくらいだ。大阪市議会で過半数獲得できていれば、公明に配慮する必要はもうない」
さらに、こんな声もー。
維新ベテラン国会議員「公明選挙区に維新候補が立つことで選挙区の有権者に選択肢を示すべきだ。候補者が立つことで党の比例票も伸びるだろう。特に大阪では負ける気がしないし、立てないのはもったいない」
躍進の維新らしく"強気にできるべきだ"という機運が党内に充満する一方で、老獪な意見も聞かれた。
維新関係者「6枚カードがあるならそれを上手いこと使ったらいい。いきなりカードを切ったら残りがなくなってしまう。真綿で首を絞めるようにやればいい」
カードは見せるだけでも絶大な効果があるというこの維新関係者。これが政治の"喧嘩力"というものなのだろうか。藤田幹事長は、早ければ5月にも大阪維新や兵庫維新所属議員と意見交換し、公明6選挙区についての方向性を検討したいと話している。
カギは3度目の都構想?
維新と公明の関係性を占う大きな政策テーマが、いわゆる大阪都構想だ。2015年の1度目の住民投票の際には、公明党は"住民投票には賛成だが都構想には反対"という立場をとり、住民投票には市議会で賛成。2020年の2度目の住民投票では、"公明の意見が取り入れられて、より良いものになった"と都構想自体にも、賛成の立場を示した。
大阪都構想の実現のため公明党は、維新にとって必要不可欠な存在だったのだ。だが状況は変わりつつある。その都構想について大阪維新の会の吉村洋文代表は、3度目の挑戦をする可能性について、明確に否定しなかった。
維新・吉村洋文氏「"現時点"での予定はありません。大阪維新の会として都構想の看板は下げているわけではない。支援者からは3回目の都構想をやってほしいという声が多かったと肌で感じている」
維新内部には、大阪都構想を実現するには大都市法の改正を行い過去2度とは別の形を模索するべきだという意見もある。国会で法改正に取り組むのであれば、公明党は再び大きなカギとなるだろう。
3度目の統治機構改革に挑戦するかどうか...一丁目一番地の政策をめぐる判断が、維新と公明の関係を大きく左右することになりそうだ。
MBS東京報道 尾藤貴裕