東大阪市のある場所で10年以上も前からトラックの違法な路上駐車が続いています。トラック運転手が道路にゴミを捨てる行為もこれまで問題となってきましたが、今回、警察がその一斉摘発に乗り出しました。

トラックターミナル周辺での「路上駐車」問題

6月17日、大阪の物流拠点になっている東大阪市のトラックターミナルでは、荷物の積み降ろしのために全国から来たトラックがひっきりなしに出入りしていました。そんな中…。
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(記者リポート)
「東大阪市のトラックターミナルですが、外に目を向けると、多くの大型トラックが路上駐車されていて、反対側を見てみても、大型トラックの路上駐車で一車線がつぶれてしまっています」
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トラックターミナルの周辺道路を占拠する大型のトラック。ターミナル前の車道は端から端まで路上駐車のトラックが列を作ります。これら全て違法駐車です。よく見ると他府県ナンバーの車が多く、中の様子を伺ってみるとカーテンを閉め切って寝ている運転手もいます。駐車スペースが空くと、隙間を埋めるように次から次へと駐車していきます。
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トラックの路上駐車はターミナルから半径500mのエリアに点在していて、人が集まる公園の近くや学校周辺など生活道路も含まれています。
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そこを通る自転車は路上駐車しているトラックを避けて走行していて危険な状況です。過去には追突事故なども起きています。こうした状況に周辺住民らは…。

(周辺住民)「大きい車がいると前見えないし、駐車していたら、(向こうから車が)来たのかどうかわからないから、(自転車から)降りて確認する」
(周辺住民)「危ないでしょうが一車線しか通れないから。あの辺もずっと止まっているでしょう。夜怖いですよ」

大阪府警によりますと、トラックの違法駐車について、今年1月~5月の5か月間だけで1000件以上苦情が寄せられているといいます。

トラックターミナルを利用しないトラックが路上駐車

トラックターミナル側は対策を取ることはできないのでしょうか?

(泉北高速鉄道 佐合裕之所長)
「私どものターミナルをご利用のお客さまは前に止めるということはないですね。当社の施設の中には駐車スペースが1200台程度ございますので、それでお使いの事業者さんの車についてはまかなえていると思いますね。『私どもは関係ない車です』と言い切るしかないんですけれども、そう思われているということはイメージダウンにつながる」

ターミナル側によりますと、周辺で路駐しているは近くの工場やメーカーなどで積み荷を待つトラックで、他に待機する場所がないためターミナル前に集まって来ているというのです。

トラック運転手の認識は?

取材班が路上駐車している運転手に話を聞きました。

 (記者)「ここは路上駐車禁止じゃないですか。なんでここに止めているんですか?」
(運転手)「ちょっと休憩していただけです」
 (記者)「どれくらいいてますか?」
(運転手)「40分くらいですかね。別に意味はないですね。ただ空いているから止めさせてもらっただけです」

 (記者)「ここは路上駐車禁止になっているじゃないですか?」
(運転手)「あーはい。あ、そうなんですか」
 (記者)「何しているのですか?」
(運転手)「ちょっと片付けばしてから」
 (記者)「でも路上駐車じゃないですか?目の前に駐車禁止の看板ありましたけれども」
(運転手)「・・・・」

違法駐車だという意識はあるようです。

14年前からある路上駐車問題 当時は“ゴミ”も

MBSの取材班はこの場所での路上駐車問題を実は14年前から取材し続けてきました。2007年の取材、この時にも現場では所狭しと大型トラックが路上駐車されていました。さらに当時はトラック運転手による“ゴミ捨て問題”もありました。
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(記者リポート 2007年)
「中央分離帯には、わざわざ『不法投棄禁止』の看板が立てられているんですが、ゴミであふれかえっています」

トラックの様子を見ていると…。
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(記者リポート)「あ、ゴミ捨てた。今、無造作にゴミを窓から投げ落としました」
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(記者リポート)「歯磨き?きれい好きですね。歯磨きの…泡を…吐いた」

当時はやりたい放題でした。当時の取材班が路上にゴミを捨てた運転手を直撃すると…。
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 (記者)「今ゴミを捨てました?ゴミの取材をしていて」
(運転手)「うるせえよ!寝る時間邪魔すんじゃねえよ!」
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こうした事態を受けて、この翌年、近くに大型トラック120台が止められる無料駐車場「中環東大阪休憩所」などが整備され、ゴミ問題は改善されてきました。

「誓約書」で路上駐車対策

しかし路上駐車は未だに続いています。路上駐車に対して警察も黙っているわけではありません。5分以上駐車しているトラックに警告して誓約書を書かせるなどしてきました。
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今年6月23日にもそうした取り締まりが行われていて、トラックはその場を立ち去り、違法駐車は一旦は解消されます。しかし1週間後にはまた同じ状況に逆戻りしてしまいます。

路上駐車の一斉摘発 「反則切符交付」で効果は?

そんな中でついに大きな動きがありました。今年7月1日、路上駐車の一斉摘発が行われることになりました。これまでの「警告」だけではなく、違法トラックに対して「反則切符」を交付して、人が乗っている場合で1万2000円、人が乗っていない場合は1万5000円の反則金が徴収されます。

(河内警察のアナウンス)
「こちらは河内警察です。この道路は駐車禁止場所です。人が乗っていても駐車違反になります。速やかに移動してください」

警告のアナウンスを聞いて移動を始めるトラック。
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しかし、中にはアナウンスを無視するトラックも、そこに警察官たちが近づいていきます。

(警察官)
「おはようございます。休憩中やと思うんですけれども、ここ駐車禁止の場所になるんです」

運転手に声をかけて取り締まりが始まりました。
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追い越し車線に堂々と駐車する大型トラックに対しても…。

(警察官)「運転手さんここ止めはったん?」
(運転手)「はい…」
(警察官)「車内で何しとったんかな」
(運転手)「DVDを見ながら飯食っていた」
(警察官)「あとで反則切符作成するのでね、ちょっと時間いただきますんでね」

反則切符を交付された運転手は…。

(記者)「ここにどれくらいの時間止めていたんですか?」
(反則切符を交付された運転手)「2時間ぐらい」
(記者)「結構遠くから来られた?」
(反則切符を交付された運転手)「そうですね。新潟からなんで」
(記者)「反則金はどれくらい?」
(反則切符を交付された運転手)「1万2000円」

警察はこの日、運転手10人を摘発しました。
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しかし、それでもこの1週間後、現場を訪れると車道にはまた路上駐車のトラックがありました。警察は今後も摘発を続けて違法な状況を解消していく方針です。

(7月19日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『憤マン!』より)