爆音で走行する『走り屋』たちに住民が長年悩まされています。夜景スポットでもあり神戸の一大観光エリアの六甲山。11月11日には不正改造車の取締りが行われました。

車の音がうるさい!「裏六甲ドライブウェイ」 住民らは長年苦悩

 けたたましい音を立てて走る車。六甲山ではこうした車やバイクの騒音被害が問題になっています。
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 神戸の市街地から近いにもかかわらず都会の喧騒を忘れられる六甲山には住宅やコテージなどが点在しています。
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 山頂付近で約20年暮らしている男性。長年、車の騒音に悩まされているといいます。

 (山頂付近に住む人)「マフラーを改造してブルルンいうてね、ごっつい音立てて走っていますね。お昼からかな、それと夕方遅く、または深夜に走っている場合もありますね」

 話を聞いている間にも大きなエンジン音を響かせバイクが走っていきました。

 ここは六甲山頂にほど近い交差点。「裏六甲ドライブウェイ」と呼ばれる峠道の終点でもあり交通量が多い場所です。
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 警察などがドライバーへの注意喚起を促す看板を掲げていますが、暴走する車は一向に無くならないといいます。

 (山頂付近に住む人)「人に迷惑をかけるということをできたらやめてほしいなと思います」
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 他の住民からもこんな声が聞かれました。

 (近隣住民)「本当にひどいわ、ここは。どこまで辛抱できるかやな」
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 さらにはこんな声も。

 (近隣住民)「道路がくねくねしているので、走り屋さんは慣れてるから、急にカーブですごい勢いで出てきたりするので、本当にいつか事故るんちゃうかなというのは心配ですね」

 六甲山にはカーブが連続する峠道が多く、そこで運転技術を試そうと猛スピードで走る車やバイクがやってくるのです。

現地へ行ってみると…深夜になっても響き渡る爆音

 一体どのような状況なのでしょうか?11月3日の夜、取材班が現地で取材をしてみました。

 (記者リポート)「午後9時半です。六甲山頂に続く道なんですけれども、今のところ車の行き来はまばらで、大きなエンジン音などは聞こえてきません」
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 そこに1台の白い車がやってきました。

 (記者リポート)「あーすごい。低い大きな音を立てて走っていきました」
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 他にも…。

 (記者リポート)「これは…この時間にこれはうるさいですね。うわ、危ない」

 やはりいました。エンジン音をうならせて走る車が。
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 霧が濃くなってきた夜10時。車だけではありません。バイクも登場。大きな音を立てる車両が減ることはありません。
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 さらに辺りが静まり返った午前0時頃。

 (記者リポート)「ふかしてますね」

 深夜1時になっても六甲山にはまだ車の爆音が響き渡っていました。

20年前も六甲山には『ローリング族』が

 しかし、この問題は今に始まったことではありません。MBSが今から20年前に取材した六甲山の様子を見ると、改造車で峠道を暴走するいわゆる『ローリング族』の姿がありました。週末には多くの車が集まってスピードを競い合っていました。
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 (ドライバー ※2003年4月放送)「(Q音がうるさいみたいな話も出ているみたいだが?)別になんとも…関係ないでしょう」
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 山道での悲惨な事故が起きたこともあり、この頃から土日祝日の深夜は普通乗用車の通行を禁止するなど対策を取ってきましたが、暴走する車は後を絶ちませんでした。

警察が取締り『不正改造車ステッカー』を貼り付け

 そして今年11月11日、周辺住民らからの苦情を受け、兵庫県警や国交省の職員総勢48人が、不正改造車の取締りを行いました。
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 エンジン音が基準を満たしているかを計測していきます。
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 青いバイクのエンジン音は110dB(デシベル)。規定値である94dB(※年代や排気量による)をはるかに超えていました。
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 車体には不正改造車と書かれたステッカーが貼られます。

 (バイクの人)「タンクはエグい。え、こんなとこ貼んの」

 このステッカーは基準を満たしたと認められるまで剥がすことはできないのです。
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 深夜1時、続いて1台の白い車が誘導されてきました。運転していたのは19歳の男性。
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 (職員)「107dBでオーバーしているので、交通違反の消音器(マフラー)の整備不良ですので、交通違反で処理します」
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 この車もエンジン音が規定値を超えていたほか、不規則に点滅するテールランプなど、4つの整備不良が見つかりました。
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 男性は交通違反切符(青切符)を切られて、フロントガラスに不正改造車のステッカーをペタリと貼られました。
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 (車の人)「(Q改造した?)してないっす。マフラーは故障のまんまっす。テールランプは自分で変えたっす。かっこいいと思っては付けてないっす。住宅街とか家の周りを走るのはちょっとやばいなと思います。(Q今後は?)静かにするっすね」

取締りを受けた大学生「言われたとおり直さないとダメですね」

 取締りも終盤に差し掛かってきた午前2時前。バイクに乗っていたのは20歳の大学生。
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 エンジン音はまたもや規定値を超える105dBでした。

 (警察)「規定は94やから。それはもう超えてるから」
 (バイクの人)「余裕で超えちゃいましたね」
 (警察)「大きいですよということ」
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 不正改造車ステッカーが貼られます。

 (バイクの人)「えー…」

 (記者)「愛車に不正改造車ステッカーを貼られたときどう思いました?」
 (バイクの人)「悲しかったです」
 (記者)「今日はなぜ六甲に来たんですか?」
 (バイクの人)「夜景を見るために来ました」
 (記者)「どうしましょう、このマフラー?」
 (バイクの人)「とりあえず言われた通りに直さないとダメですね」

 取締りは午後10時から午前3時半まで行われ、不正改造で9人が検挙されました。

 (兵庫県灘警察署 藤本章夫交通課長)「まず改造しないというところと、騒音走行が非常に問題になっておりますので、取締りを続けていきたいと思っております」

 爆音を立てる不正改造車。近隣住民はいつになったら静かな暮らしを手に入れられるのでしょうか。