古都・京都で“暴走自転車”が横行しています。視聴者から「四条河原町界隈の自転車及び電動キックボードの走行は禁止されているのに乗っている人が多く、非常に危険」というメールがMBSに届きました。取材すると、禁止された場所での歩道走行や“ながらスマホ”が後を絶たず、京都市民から怒りの声が噴出しています。

あわや大事故…「車道を逆走」「ながらスマホで歩道を走行」の自転車

 歴史ある神社仏閣など古都の風景を求め、連日、国の内外から多くの観光客が訪れる京都。そんな京都でいま、危険な自転車走行が問題となっています。

 (記者リポート)「車の間を縫うように自転車が走っています。危ないです!」

 問題の場所は、京都でも有数の繁華街である阪急烏丸駅から京都河原町駅を結ぶ約800mの四条通の一区間。大丸や高島屋などの商業施設が立ち並び、歩道には多くの観光客や地元の人などが歩いているほか、市バスなど1日あたり平均で約1万2000台の車が通ります。

 交通量の多さから四条通の一部区間では、時間によっては歩道だけでなく車道も、自転車やキックボードでの走行が禁止されていて、違反すれば、罰金などの対象となります(歩道:終日 車道:午前8時~午後9時)。にもかかわらず…

 (記者リポート)「通行禁止の車道を両手を離して自転車で走行しています。非常に危険です」

 車道を逆走する自転車など、ルール違反が後を絶ちません。中には堂々と信号を無視して走る人も。さらに、走行が禁止されているキックボードで走る姿もみられました。

 しかし、車道を走行する自転車よりも危険なのが…

 (記者リポート)「危ないです!人とぶつかりそうになっています。人が大勢いる歩道の上を、自転車でそのまま走行していきます。かなり危険です」

 人通りの多い歩道を携帯電話で通話しながらふらふらと片手で運転する人や、止まらずにベビーカーの横を走り抜けていく人も。一歩間違えると大きな事故につながりかねません。

「え、禁止なの?」「ゆっくり走っていたし注意している」

 これには歩行者も怒りが隠せません。

 「歩道やから安心して歩きたい。特に私ら高齢者やから怖いね、後ろから来られたら」
 「急に来はるから。けっこう飛ばしてはるからね。えーっと思うけど、あかんでと言う間もない」
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 なぜルールを守らず危険な走行をするのか。自転車に乗る人に直接話を聞いてみました。

 「え、禁止なの?あー、何かに出てたな…。罰金なの?条例でしょ?」
 「(Q走行禁止と知っていた?)もう曲がります。これから気をつけます」

 中にはこんな人も。

 「(Q危ないと思わなかった?)ゆっくり走っていたし、周りの人に注意もしているので、ノー!」※英語で話す

 注意しているから大丈夫、というわけにはいきません。警察などは定期的に啓発活動を行っているということですが、危険性の認識が浸透していないようです。

夜は「無灯火の自転車」が何台も…

 そんな危ない運転は四条通だけではありません。日が暮れて、取材班が歩道を歩いていると…

 (記者)「びっくりした!」

 記者の横を走り抜けていったのは、無灯火の自転車です。

 京都市左京区の京都大学周辺の大通り。ここでは、日が暮れて薄暗くなる中、歩道や車道をライトをつけていない自転車が何台も走り抜けていきます。遠くからは見えづらく、目の前を走り抜けるまでほとんど気がつかないことも。

 この周辺では大学の授業が終わる夕暮れから夜にかけて多くの自転車や歩行者が行き交い、無灯火だと危険な状態です。

 (歩行者)「5m先ぐらいでは気づいたんですけど、シンプルに危ないなとは思います」

住民「ぶつかりそうで不安。歩くときはライトをつけて身を守る」

 京都市内に20年以上住んでいるオフェル・フェルドマンさん(70)。いつもこの周辺を散歩で通るたび、不安だといいます。

 (オフェル・フェルドマンさん)「僕は毎日のように(無灯火の自転車を)見かけます。お年寄りは歩くときにみなさんライトをつけて自分の身を守ります。ぶつかりそうなのがあって不安。夜間には必ず自転車のライトをつけなければならないが、その意識がないみたいですね」
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 自転車走行時のライトの点灯は道路交通法で義務づけられています。京都府などはビデオを制作し、無灯火走行をやめるよう呼び掛けていますが、なかなか減らないのが現状だといいます。

 こうした状況などから警察も啓発活動を強化。取材した夜も、ライトをつけずに走行する自転車を何台も止め、指導を行っていました。警察によりますと、スマホのながら運転や2人乗りといった自転車に関する違反の中でも、無灯火走行への指導件数はかなり多いといいます。

 なぜライトを付けないのか。直接話を聞いてみると…

 「忘れてました。きょうだけ」
 「(Qなぜライトをつけない?)飛ばしてないからです。(Q危ないと思うが?)まあ、つけてもいいですよ。どっちでも」

 なかなか減らない、危険な自転車走行。大事故につながらないようルールを守ってもらいたいものです。