京都府の『高度重症病床』の使用率は9月5日時点で63%を超えています。第5波では50代以下の比較的若い世代で重症化する例が増えている中、京都府の高度重症病床の約3割を担っているという京都府宇治市の「宇治徳洲会病院」の今を取材しました。
京都府宇治市の宇治徳洲会病院。いくつもの扉の先にあるのが、いわゆるレッドゾーンで、人工肺「ECMO」や人工呼吸器による治療が必要な患者がいる高度重症病床です。
今年4月に取材した時には、入院患者はほぼ65歳以上の高齢者でしたが、今回は8人のうち6人が50代、1人は30代、1人は10歳と、年齢層が若くなっていました。体重が100kgを超える大柄な患者が多いという傾向は変わっていないといいます。取材した8月30日、このフロアにある8床は全て埋まっていました。残るベッドは別のフロアにある2床だけです。
しかし松岡俊三副院長へのインタビューの最中にも、別の病院から「容体が思わしくない患者がいる」と、転院の依頼が舞い込みます。一気に緊迫感に包まれ、受け入れが可能かどうかの判断を迫られます。
(宇治徳洲会病院 松岡俊三副院長)
「チームともう一回話します。36歳女性。中等症2以上。取れる?じゃあ取ります」
実はベッドを満杯にできない理由もあります。
(宇治徳洲会病院 松岡俊三副院長)
「うちは救急もやっていますので、コロナと診断されていない人が今晩来て、うちでコロナと診断される場合もありますし。そういう方のために空けておかないとうまくやりくりできない」
ぎりぎりの状態が続く医療現場。しかしそんな中、京都府は9月10日から軽症・中等症も含めた全体のコロナ病床を現在の614床から約100床増やす計画を発表しました。宇治徳洲会病院でも、リハビリの病棟をコロナ病棟に変えて、現在の20床から60床に増やし、中等症と重症の患者を受け入れる予定です。
(宇治徳洲会病院 松岡俊三副院長)
「仮設の仕切りを作って、ここから先をコロナ患者を収容するレッドゾーンにすべく、ゾーニングの工事中です」
病床の確保にあたって、一般病棟などから希望する看護師を募り、なんとか25人を確保しました。
(宇治徳洲会病院 北川きよみ副看護部長)
「ずっと専属になってしまうとかなり苦しいですので、交代制で来てもらうようにして、間が空くようにシフトは組むようにする予定でいます」
(医師)
「ごめんね、ちょっとたん吸わせてくださいね。がんばろうね。すぐ終わるしね」
第5波では子どもの重症患者も増えています。ベッドに横たわるのは基礎疾患のある10歳の男の子。人工呼吸器を装着しています。レッドゾーンにいる間、家族とは面会できませんが、タブレット端末を使って親が遠くから様子を見たり呼び掛けたりしています。この男の子は現在は快方に向かっているといいます。
(宇治徳洲会病院 松岡俊三副院長)
「ずっと走り続けているんです、我々。何周走っても『はい、またもう一周』と言われているような感覚で、しんどいんですけれども。コロナ以外の救急ももちろん診る。それ以外のがんであるとか、脳卒中であるとか、心臓病などの高度な医療も提供し続ける。これは病院の挑戦だという方針を職員として聞いていますので。それに精いっぱい地域のために頑張っていこうと思っています」