10月初旬、和歌山市で水管橋が崩落し、大規模断水が発生しました。こうした重大事故をどう防いでいけばいいのか。現場で行われている点検の様子を取材しました。

目視確認はしていたが起きた崩落事故

10月3日、和歌山市で起きた水管橋崩落事故。約6万世帯が1週間にわたり断水となり、水の出ない生活を強いられました。事故後に市が調べたところ、崩落した部分の近くで、橋のアーチ部分と送水管をつなぐ「吊り材」4本に腐食による破断が確認されました。市は今年9月も点検を行っていたといいますが…。

(和歌山市 尾花正啓市長 10月6日)
「水管橋ということで(点検が)ちょっと甘くなっていたのではないかと思います」
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点検は、離れた場所から肉眼での目視確認のみで、チェックの甘さが露呈しました。市民生活に大きな影響を与えた事故。これを受けて各地で対策が進められています。

姫路市はドローンを導入して緊急点検

10月14日、取材班は兵庫県姫路市を訪れました。市の職員とともに向かったのは、市内を流れる「市川」に架かる全長225mの水管橋です。

(姫路市水道局施設課 圓尾芳裕係長)
―――この水管橋は何年ぐらいのもの?
「50年を過ぎた水管橋です」
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姫路市は和歌山の事故を受けて緊急点検を開始。そこに初めて投入されたのがカメラを搭載した「ドローン」です。

(姫路市水道局施設課 圓尾芳裕係長)
「ドローンを使いまして、目視では確認できないところを点検してまいります」
―――これまでにドローンを使った点検は?
「今回初めてです。これまでは主に目視点検で双眼鏡を使って点検していました」
―――人が水管橋の上を渡るのはできない?
「そうですね」
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これまで確認できていなかった橋の上の部分。一体どのような状態になっているのか、ドローンによる映像で確認していきます。
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(姫路市水道局施設課 圓尾芳裕係長)
「ひび割れだとか破断がないか細かくチェックしていきます」
―――これまで水管橋の上部はどのように点検していた?
「実際のところ下からしか点検していなかったので、今回貴重な映像が撮れてよかったと思っています」

ドローンを使うことで、人の目では見られなかった場所も鮮明に見ることができます。
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そして橋の下の部分は双眼鏡を使って確認していきます。

(姫路市水道局施設課 圓尾芳裕係長)
「塗装の加減はまだ大丈夫かなと思います。補剛材と水管橋の接続部分も特に漏水だとか破断状況は見受けられなかったと思います」

和歌山の事故に「危機感持った」 105本を1か月ほどで点検へ

姫路市は通常は3年かけて市が管理する全ての水管橋(674本)の点検を行っていますが、今回、特に多くの市民の生活に関わる105本について1か月ほどで点検を進めていく方針です。点検を急ぐのは和歌山市で起きた事故が他人事ではないからです。
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(姫路市水道局施設課 圓尾芳裕係長)
―――市川に架かるこの水管橋は姫路市のどれくらいの人たちに水を送っている?
「(姫路市の)約3分の1の世帯に水を送っている送水管です」
―――姫路市の3分の1とはどのくらい?
「約8万戸です」
―――和歌山で起きた事故についてどんな印象を持った?
「破断して水が通らなくなるということにすごく危機感を持ちました」
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今回の点検で撮影したドローンの映像などから塗装のはがれやひびなどを細かく分析して、必要があれば部分補修や緊急工事を進めていく予定です。

(姫路市水道局施設課 圓尾芳裕係長)
「安全に姫路市の皆さんに水を供給するために今回のようにドローンを使って細かくチェックしていきたいと思います」