2月10日の毎日放送『よんチャンTV』では、視聴者から寄せられた新型コロナウイルスに関する質問などについて、関西医科大学附属病院の宮下修行教授に答えていただきました。
マスク・フェイスシールド・手袋・ガウンの用意を
【視聴者からのメッセージ】
家族の1人が感染してその他全員が濃厚接触者となり、基礎疾患がある高齢者もいる場合、家庭内での感染防止対策はどうしたらいい?
(大吉洋平アナウンサー)
「宮下先生によりますと、介護を受ける高齢者については、早めのワクチン接種ということなんですね。そして世話をする人も気をつけるポイントがたくさんあると?」
(宮下修行教授)
「まずここで一番大きなポイントは、陽性者については固定した人が見て、基礎疾患がある人については違う人がみると。それから、きちんとした感染対策をすることですね。感染は何で起こるかというと、飛沫感染と接触感染でなります。ですから、飛沫感染対策はマスクとフェイスシールドですね。そして、例えばお風呂の世話をしなければならないとなると、体に触ってしまいます。簡単な手袋で結構です。ビニール手袋でもいいですので、手袋とガウンの用意を。我々は第1波の時はゴミ袋をかぶって穴を開けて使っていましたから、それだけでも防げるんですね。触る際にはそういうことを心がける。これがやはり重要なポイントになってきますね」
(大吉アナウンサー)
「医療従事者の皆さんが使うPPEという個人防護服はなかなか家で揃えるのは難しい。なので、例えばゴミ袋をかぶるとか、エプロンをつけるとかそういうことでも代用できるということですね。そして視聴者のお話では、多めに用意しておけばよかったと思ったものが『消毒液』ということです。思った以上にたくさん使ったそうです。それとやはり『ゴム手袋』で、介護をするとなると複数枚あった方がいいと。あと『紙皿』も多めに用意していたつもりなんだそうですが、家族の人数が多いと、もっとあればよかったなということです。特にご高齢の家族がいらっしゃる方は、こういうものをちょっと多めに用意していてもいいのかもしれません」
認知症の家族が濃厚接触者となった家庭のケース
【視聴者からのメッセージ】
4人が一つ屋根の下に暮らしています。まず、50代の私がコロナに感染し、次に娘の夫が感染。幸い娘と母親は大丈夫でよかったんですが、その母親が認知症です。ただ、濃厚接触者にあたるため、各種サービスを受けることができずにいます。娘もストレスが溜まりしんどくなっています。一番元気なのは認知症の母親だけなので、目を離すことができなくて困っています。
(大吉アナウンサー)
「認知症のお母さんを隔離しなくちゃいけないシーンがたくさんありますよね。例えば食事のシーンですとか。ただ、やはり認知症でコロナということを理解するのが難しいので、隔離をすることで『私は嫌われている』ということをおっしゃるそうです。でも仕方ないですよね。そのお母さんを世話できるのは今誰かというと、メッセージをいただいた方の娘さんなんです。この娘さんが夫やお母さんの面倒も見つつ、おばあちゃんの面倒も見るということで、娘さんの負担が大きいようです。宮下教授、こうしたケースについてはいかがですか?」
(宮下教授)
「とりわけ何で高齢者入所施設でクラスター(感染者集団)が発生するかというと、認知症の患者さんはやっぱりマスクがなかなかできなかったり、それから動き回られるんですね。これで感染してしまう。そして、介護になるとすごく手間がかかる、人数がいるということで、余計その介護に関しても大変になってくるんですね」
(大吉アナウンサー)
「濃厚接触者の方に対して、例えばデイケアなどの介護サービスは適用されないのか、利用できないのか。介護保険が適用される介護サービス事業について、厚生労働省はどういう考えなのか聞きました。厚労省の見解では、本来は介護される対象の人が濃厚接触者であったとしても、サービスの提供事業者が対応しなければならない。だけれども、その状況によっては対応してもらえない場合もあり、その場合は保健所に連絡してくださいと。ただ保健所は今、ひっ迫しています。保健所が繋がらなかった場合は、自治体の介護相談窓口へということです。ですので、正直、今、介護を必要とする人がおうちで濃厚接触者になった場合のズバリこれという解決策がないんです。サービスが提供できなくても家で今できることは何かという情報を提供できる窓口なども今後必要になってくるのかもしれません。今回メッセージをくださった方は兵庫県明石市にお住まいということなんですが、明石市によりますと、事業者に助成金を支払うなどしてどうにか対応してとお願いしているけれども、事業者側も従業員たちの感染に対するリスクというのを考えると応じてもらえていないのが現状だということなんです」
外出時はとにかく「話さない」が重要
【視聴者からのメッセージ】
濃厚接触者の生活はどこまで制限しないといけないのでしょうか?夜の散歩や買い物などはいいのでしょうか?
(大吉アナウンサー)
「濃厚接触者は自宅待機を求められているわけなんですが、食事のサービスが来ない、ご飯が家にない、買いに行ったらこれはルール違反なの?という疑問もたくさんあるかと思います。厚労省は『濃厚接触者は不要不急の外出は控えてください』と呼びかけています。自治体によっては『生活必需品の買い出しなどは可能』と案内している自治体もあります。だから、食べるものや飲むものがないなら、濃厚接触者は外出して買いに行ってもいいよという、積極的には言わないが、概ね仕方ないよねという見解ですね。濃厚接触者がどうしても外出する際の注意点について、宮下教授によりますと、とにかく話さないことが大事だということなんですね?」
(宮下教授)
「そうですね。もうとにかく感染は飛沫感染で一番起こりますので。夜の散歩はOKです。買い物に行くのもOKです。ただ、やっぱり買い物に行ったときに、物を取る場合に物を選ばないようにしなければ。接触感染もありますので。その際はやっぱりこまめに手洗いするということは重要になってきますね」
(大吉アナウンサー)
「外に出て、必要であれば買い物に行く場合もあるでしょう。とにかく話さない、しゃべらないというのが重要だということです」
リウマチで免疫抑制剤…感染しやすくなる?
【視聴者からのメッセージ】
私は関節リウマチの患者で、免疫抑制剤を服用しており、基礎疾患持ちです。免疫抑制剤を服用すると新型コロナウイルスに感染しやすくなるのか不安です。
(大吉アナウンサー)
「宮下先生によりますと、免疫抑制剤の使用者が入院や重症化のリスクが上昇するデータはないが、ステロイドに関してはそういうデータがあるということなんですね?」
(宮下教授)
「免疫抑制剤と言いましても、多くの種類があります。リウマチでもそうなんですけれども。ただやっぱり量が多いと免疫抑制がかかりやすい。ですから、1つの目安といたしましては、プレドニゾロンまたはステロイドというものの目安が1日あたり10mgを超える場合は少し入院・重症のリスクというのが高くなりますので、これはやっぱり感染に、より気をつけなければならないということになります」
(大吉アナウンサー)
「このあたりはかかりつけの先生からもおそらくたいていの場合は説明されているんですよね。だからこそ人一倍、感染対策を強化していく必要がありますよということです」