大阪府堺市の中学校で調査書、いわゆる内申書の点数の記載に誤りがあったことが発覚しました。その結果、一度不合格の判定となった受験生が一転して合格となりました。大阪府立高校の入試の判定方法は、試験当日のテストの点数が450点、内申書の点数が450点で、合計した点数で合否を判定します。ただし、どちらの点数を重視するかは高校によって異なります。今回なぜ、このようなことが起こったのでしょうか。

内申書の誤記載判明で不合格だった生徒2人が追加合格に

 堺市の市立中学校3校で、3年生75人の内申書が誤って記載されていたことがわかりました。その結果、今年3月の高校入試で当初不合格だった2人の生徒が追加合格になりました。

 (堺市教育委員会事務局 長山秀基教育監)
 「深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」
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 4月13日、生徒の保護者から「進学した高校から開示された受験時の評定に誤りがある」と問い合わせがあり、A中学で卒業生全員の内申書を確認したところ、22人分の評定に誤りがあったことが判明。
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 これを受けて、市内の全ての市立中学で内申書を確認したところ、A中学を含む3つの中学校で記載に誤りがあったことがわかりました。A中学以外には、B中学では49人分、C中学でも4人分に誤りがあったということです。そのうち、A中学とB中学でそれぞれ1人ずつが本来は合格していたにもかかわらず、不合格になっていたのです。

誤記載は5年前から…チェックシートには“確認した”と『虚偽記載』

 誤記載の原因について堺市の教育委員会は、次のように述べました。

 (堺市教委事務局学校教育部 竹内新部長)
 「各中学校の調査書(内申書)作成担当者が誤った内容で作成したことによります」

 それであれば、事務的なミスなのかと思いきや…。

 (堺市教委事務局学校教育部 竹内新部長)
 「マニュアルに定められている手順を確認せず、複数人で確認・点検すべきところを怠っていたことによるもので」
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 しかも、内申書を作成する際のチェックシートには、確認していないにもかかわらず、したことにする“虚偽記載”を行っていました。

 さらに、こうした内申書の誤記載は合否には関係しなかったとはいえ、堺市内の中学校で5年前から毎年起きていて、公表さえしていなかったというのです。

保護者「『もしあの時その道に進めていたら』と思うとずっと引きずるのでは」

 合否を左右する内申書のずさんな管理体制に、堺市民からはこのような声が聞かれました。

 (堺市民)
 「ちょうど息子の(高校)入試が今年あったので、ものすごい話ですよね。子どもの将来がかかっていますのでね。『もしあの時自分がその道に進めていたらどうなっていただろう』と思うと、おそらくずっと引きずるんじゃないかなと思う」
 「ちょっと不信感を抱きますね。もう二度とこのようなことがないように改善策をしっかりと練ってほしいかなと思います」
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 堺市の教育委員会は再発防止に向けて第三者委員会を設置する考えを示しました。

 一方、大阪府は不合格となった2人について、「希望があれば本来合格していた高校に入学できるようにする」としています。