飛行機内でマスクの着用をめぐりトラブルとなり、客室乗務員にけがをさせ運航を妨げるなどした罪に問われている元大学職員の男。5月17日の初公判で、法廷内でもノーマスクで無罪を主張しました。

 傷害や威力業務妨害などの罪で起訴されている茨城県の元大学職員・奥野淳也被告(35)。初公判を前にした今年5月9日、リモートでの取材に次のように答えました。

 (奥野淳也被告)
 「私は電車に乗る時も飲食店などに行く時も常にノーマスクです。今まで(コロナに)感染したことは私はありません」

 「マスクは絶対に着けない」と語る奥野被告。
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 起訴状などによりますと、奥野被告は2020年9月、釧路発関西空港行きのピーチ・アビエーションの機内で、マスク着用を求められたものの繰り返し拒否。客室乗務員の腕をねじり上げるなどの暴行を加えて軽いけがをさせた上、飛行機を緊急着陸させたなどとされています。
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 「マスク拒否おじさん」と名乗りSNSなどで自らの意見を発信している奥野被告。9日のインタビューでは、次のようにも話していました。

 (奥野淳也被告)
 「私が客室乗務員の方を威圧したり暴力をふるったりした事実はありません。(客室乗務員に)マスクの着用というのはピーチの中でどのようになっていますか、ということを質問していたのですが、大変残念かつ不当にも緊急着陸をして、私が降機させられるということになりました」

 起訴内容を否定し、「航空会社側に非がある」と言う奥野被告。さらに今年4月に医療界や政治の場でも高まりだした「脱マスク」の動きを挙げ、自身は“時代の犠牲者”だと主張します。

 (奥野淳也被告)
 「(事件当時は)まだまだマスクに対する考え方やルール・お願いなども曖昧な中で、現場の客室乗務員の方が十分な対応をしてくださらなかったことが問題だと思っています。マスクの着用を強制していた、社会が同調圧力でマスクの着用を色々な人に押し付けていたことが、やはり冷静な目で見るとおかしかったのでないかなというふうに評価される時代がもしかしたら来るのかなとも思っています」

 迎えた5月17日の初公判。奥野被告はやはりノーマスクで出廷。法廷内でただ1人マスクをせず、特別に設置された飛沫防止の板に囲まれて無罪を主張するとともに、自身の考えを裁判官にこう訴えました。

 (奥野淳也被告)
 「新型コロナ感染症は収束を迎えつつあります。時代の記憶を引き継ぐ後世の人たちに恥じ入ることがないよう(中略)冷静に判断されることを切に希望します」

 一方、検察側は冒頭陳述で「機長からの命令書を被告が投げ捨て、客室乗務員がシートポケットに入れようとした際に腕をねじり上げた」などと指摘しました。

 次回の裁判は5月31日です。