新型コロナウイルスの“第7波”に直面する医療現場。看護師の確保が難しいようです。

コロナ患者を受け入れる病院…軽・中等症患者用のベッドは満床状態が続く

 感染者の増加に伴い懸念されるのが医療のひっ迫です。7月22日、新型コロナ患者を受け入れている大阪府堺市の邦和病院を訪ねました。

 (邦和病院 和田邦雄院長)
 「(この先が)いわゆるレッドゾーン。(Q何人が入院?)5人の中等症(患者)」

 こちらの病院では一般病棟の一部を仕切り、コロナ病床を重症患者用3床と軽・中等症患者用5床の計8床用意しています。現在、重症患者用の3床は空いていますが、5床ある軽・中等症患者用のベッドは7月20日ごろから急に患者が増え満床の状態が続いているといいます。

 (邦和病院 和田邦雄院長)
 「一般病棟の3つの部屋を(新型コロナ病床用に)増やして6床増やそうと考えています」

 8月3日から、大阪府からの要請を受けて臨時にコロナ病床を増やすことに。ただ、ゾーニングなどの関係で一般病床12床を潰さないといけないといいます。さらに問題になっているのが医療従事者の確保です。

 (邦和病院 和田邦雄院長)
 「保育園や幼稚園で幼児が感染して、幼児から家庭の母親に(感染拡大する)。家庭の母親のなかには病院のスタッフもいますから、そういう感染で病院のスタッフが手薄になってくることがあちこちの病院で見られますね。(患者を)重症化させないことがあとの病床の余裕にもつながるし、人の余裕にもつながる」

宿泊療養施設を利用の患者も急増…妊婦の患者も

 急激な感染拡大。人手不足が起きているのは病院だけではありませんでした。大阪市内にあるホテルを利用した新型コロナ患者の宿泊療養施設では、患者をサポートする看護師が懸命に働いています。2年前から働く看護師の阿部真美さんは朝と夕方、宿泊患者全員に電話で体調や症状などを聞き取り、患者に異変がないか確認をします。
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 (看護師 阿部真美さん)
 「ここはグリーンゾーンでホテルスタッフや看護スタッフが待機。その先がレッドゾーンです」

 ホテル1階のロビーは中央で仕切りがされていて、看護師がいるグリーンゾーンと患者が弁当などを受け取るレッドゾーンに分かれています。こちらでは宿泊療養用として284室が用意されていて、中には0歳の子どもと親が一緒に療養することもあるといいます。

 (看護師 阿部真美さん)
 「家族内感染で家族にうつしたとかメンタル面も参ってこられる方も多いし、高齢の方は症状は軽いけど不安を抱えておられる。直接顔や体に触れてみることができないので、電話での声色とか症状の経過を慎重に聞き取るようにしています」

 勤務は24時間交代。最近は1日30人~50人の新規療養者を受け入れています。ホテルに医師は常駐せず、毎日、医師のチームが往診に訪れ、看護師の聞き取りをもとに診察します。

 (患者の状況を伝える看護師)
 「妊娠16週の方でつわりで食事と水分が摂取できていないということで、きのう先生に診察受けて…」

 第7波に入り、施設を利用するコロナ患者は急増していて、外国人や妊婦が療養するケースも多いといいます。

 (看護師 阿部真美さん)
 「(妊婦の方は)やっぱり“普通の体”じゃないのでコロナになったという不安な精神面プラス子どものことも心配しますよね。おなかの張りだとか週数によっても症状が違うので、どんな小さな不安にも真摯に応えるようにしています」

1日30人の看護師を面接…それでも足りず

 コロナ医療を支えている看護師。しかし、その数は足りなくなっています。宿泊療養施設に看護師を派遣している大阪府看護協会で行われているのが、看護師の採用面接です。

 (面接に来た看護師)
 「病棟内でコロナが発生した場合は、そのような対応は少ししておりました」

 1日30人ほどを面接して順次採用していますが、それでも足りないというのです。

 (大阪府看護協会 弘川摩子会長)
 「毎日面接をしているんですけど、このスピードに追いつかない状況でずっと不足になっています。施設を増やすためには、看護師が確保できないと施設が開設できないという、そういう状況なんですね」

 面接に来ていた看護師に話を聞きました。

 (宿泊療養施設で勤務予定の看護師)
 「きょう面接があったんですけど、あしたから勤務させていただきます。コロナの拡大によって医療ひっ迫が問題視されているので、少しでも自分が役立てることがあったらなと思って」

 再びの感染拡大の中、医療従事者の不足がまたも起きています。