安倍晋三元総理の四十九日を迎え、東京・渋谷区の自宅では法要が営まれました。自宅には朝から喪服姿の参列者などが訪れ、昭恵夫人や安倍氏の弟の岸総理補佐官らが供養を行いました。

 事件があった奈良市の現場でも手を合わせる人の姿がありました。

 (手を合わせに来た人)
 「もう四十九日になったんかなあと思って」
 「いつもここ通るときは手を合わせている」

 (献花に来た人)
 「ポッカリと穴の空いたような感覚でした、まさかと。本当に成仏していただきたい」

 憲政史上最も長く総理を務めた安倍氏が狙われた事件。8月25日に警察庁は、当時の警護や警備の問題点などをまとめた検証結果を明らかにしました。

 検証結果として、演説直前にガードレールの外にいた警察官が内側に移動し、警戒の方向が前方に変更されたにもかかわらず、現場での情報共有などができていなかったため後方への警戒が不十分になったとしています。

  (警察庁 中村格長官)
 「警護計画やその前提となる危険度評価に不備があること、現場指揮官が十分でなかったこと、そういった問題が明らかとなった。さらにこの問題の根底には、もっぱら都道府県警察の責任で警護を実施する現在の仕組みに限界が生じていることがあると」

 また、奈良県警が作成した「警備計画」については過去のものを“安易にかつ形式的に踏襲したもので計画自体に不備があった”とし、警察庁は当面の間は警護対象者の日常の警護を除く全ての警護計画について、警察庁が都道府県警から報告を受け事前に審査することとしました。

 さらに、警察庁の中村長官は辞職することを明らかにしました。

 (警察庁 中村格長官)
 「私ども警察はですね、警護をいちから出直そうと覚悟を決めたわけでございます。このタイミングで人心を一新するというのはむしろ当然のことではないかと」

 そして、奈良県警の鬼塚本部長も25日に会見を開き、辞職することを表明しました。

 (奈良県警 鬼塚友章本部長)
 「職を辞して、責任を取ることが最良の判断であると」

 奈良県警は今回の事件で当時、警備にかかわった警察官4人を減給1か月などの懲戒処分に、警察官3人を本部長訓戒などとしました。