「ユッケ」を食べた高齢女性がO157で死亡した問題。ユッケを安全に食べることはできないのでしょうか?

 8月27日に京都府宇治市の精肉店のユッケを食べた90代の女性が、「O157=腸管出血性大腸菌」による食中毒で死亡しました。さらに男女12人からも「O157」が検出されました。

 今回、問題となったのは許可なくユッケを提供したことです。ユッケを提供するためには、食品衛生法に基づく京都府のルールで、保健所への届け出(申請)が必要です。しかし、この店ではこの届け出をせずに、“加熱している”として「レアステーキ」という商品名で販売していました。また販売していた肉も生食用ではありませんでした。

 この届け出のほかにもユッケにはかなり厳しいルールがあります。

 京都市中京区にある焼肉店「焼肉ダイニング甲 京都押小路本店」は、17種類のユッケを看板メニューに掲げていて、保健所からの許可も取って提供しています。客にユッケを提供することは容易ではないと話します。
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 (焼肉ダイニング甲 孫卓磨さん)
 「こちらが生食専用のまな板と包丁で、こちらが生食用のシンクになっています。(Qどうして分けている?)他の食材から菌が移らないように使い分けをしています。(他の肉とは)別にシンクや作業場が必要なのでスペース的にかなりロスがありますね」

 こうした徹底が必要になったのは11年前の事件がきっかけでした。2011年、富山県などの焼き肉チェーン店でユッケを食べた客5人が死亡。この集団食中毒事件をきっかけに国は罰則付きの厳しい基準を作りました。他の肉とユッケの調理場を完全に分け、しかも導線も分けるのがルールですが、簡単なことではありません。

 厳しい基準を守ってユッケを提供する「焼肉ダイニング甲」。早めに食べてほしいということだけでなく、子どもや高齢者などは食べるのを控えるよう呼びかけています。

 (焼肉ダイニング甲 孫卓磨さん)
 「僕たちも万全を期して加工処理しているんですが、やっぱり一定のリスクはありますので」

 ユッケの提供を慎重に行う中で今回京都府で起きた食中毒については次のように話します。

 (焼肉ダイニング甲 孫卓磨さん)
 「僕たち基準を守って提供していますので、あいまいな表現や方法で販売されているのは、僕らからすると悲しいなと思います」