10月7日、旧統一教会の元2世信者が外国人記者に向けて会見を開きました。「宗教による被害をなくしたい」と訴えかける会見の途中で、旧統一教会側から“ショッキングな内容”のメッセージが届きました。
(旧統一教会・元2世信者 小川さゆりさん(仮名))
「自分と同じように苦しんでいる多くの被害者方々の存在を知り、宗教による被害をなくしたいと思いました。国際的な協力体制をお願いしたいです」
10月7日の午後、外国人記者に向けて会見を行ったのは旧統一教会の元2世信者・小川さゆりさん(仮名)。旧統一教会の信者で合同結婚式で出会った両親のもとに生まれたさゆりさんは、教会内で『祝福2世』と呼ばれ特別な存在だとされてきました。しかしその生活は苦しいものでした。
(小川さゆりさん(仮名))
「両親は多額の献金を繰り返し、生活はとても苦しく、私は幼少期から学生時代にかけて見た目の貧しさから長期にわたっていじめを受けてきました。恋愛禁止などを教えられ、それらを破った場合『地獄に落ちる』などと脅す教育を受けてきました。行き過ぎた信仰により子どもの人権が脅かされている」
統一教会の教義を子ども向けに解説した本では、サタンのイラストが描かれ、淫乱の罪は最大の罪で『強盗・殺人以上の罪』『地獄の底』などと書かれています。そして男の子から告白されたときに女の子がとるべき対応については次のように書かれていました。
【統一教会の教義の子ども向け解説本の内容】
「『好きな人がいるの』と答えるのです。『それはだれだ』と聞かれたら『神様』と言うのです。そうすれば『なんだこれは』と言ってサタンは逃げてしまいます」
サタンのものと言われて音楽や好きなアイドルを否定され続け、貯めていたお金も両親に使い込まれる生活。両親が好きだからこそ耐えてきたさゆりさんでしたが限界がきました。
(小川さゆりさん(仮名))
「脱会した後かする前くらいの時で、自分は本当に死のうと思っていて。その時に最後に死ぬ前に親に向けて思っていることを書いたんですよね」
19歳の時に両親にあてて書いた遺書。そこには「悔しい。愛し愛されたかった」と、さゆりさんの思いの丈が綴られていました。6年前に脱会し、今は家族3人で両親とは距離を置いて生活しています。
さゆりさんは今、2世問題を解決するために、高額献金を防ぐ法律の制定などを求めて国会に働きかけています。今年9月28日には自民党の若手議員らで作る勉強会に出席。そして10月7日は、この動きを加速させたいと国際社会に支援を訴えていました。ところが会見の開始から約50分が経ったころ、旧統一教会側から“あるメッセージ”が届きました。
(小川さゆりさん(仮名)の夫)
「ごめんなさい。少しショッキングな内容ですので代わりに僕が喋らせていただきます。今、旧統一教会からメッセージが届きました。そこには彼女の両親の署名が入っています。『彼女は精神に異常をきたしており、安倍元首相の銃撃事件以降その症状がひどくなってしまっていて、多くのウソを言ってしまうようになっています。そのため、この会見をすぐに中止するように』というメッセージが届きました」
さゆりさんは溢れる涙をこらえながら、しかし気丈に会場の外国人記者たちに語り掛けました。
(小川さゆりさん(仮名))
「(心の)症状についてはもう4年前の時点で治っています。お金を返しもしないで自分たちが正しいという自分たちの主張だけを続けている人たちと、自分(さゆりさん)と、どちらが悪なのか。これを見てくださっている多くの方はわかってくれていると私は信じています」