ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから2月24日で1年になります。そんな中、風変わりなアイデアでコロナ禍を乗り越えたタクシー会社が「苦境に陥った経験」を胸にウクライナへの支援活動に動き出しました。

 大阪市の「日本城タクシー」。3年前には、新型コロナウイルスの影響で仕事が激減し、駐車場には稼働していない観光バスが並んでいました。

 (日本城タクシー 坂本篤紀社長)
 「(売り上げが)半分で真っ青になって、10分の1で開き直りかな。あーあ…みたいな」
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 坂本社長はなんとかして運転手の雇用を守ろうと、2021年に新規事業を立ち上げました。それは「ベビーカステラの専門店」。全くの異業種でしたが、社長を筆頭に運転業務がほぼなくなったドライバーたちでカステラを焼きます。その売り上げはタクシー1台の1日分に匹敵するまでになりました。

 (日本城タクシー 坂本篤紀社長)
 「めっちゃうまい、抜群やね」
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 そして、新型コロナが落ち着いた今、ようやく本業にも顧客が戻ってきました。

 (日本城タクシー 坂本篤紀社長)
 「今のところ一応右肩上がりの売り上げ、1回底を見るとね。つくづく人間を守っていて良かったと思う。人がおらないと回復していないもんね」
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 風変わりなアイデアで危機を乗り越えたこの会社が今、ある支援を始めようとしています。

 (日本城タクシー 坂本篤紀社長)
 「薪ストーブ。ちょうど1年くらい前からウクライナの映像が飛び込んでくるようになって。あぁ寒いやろうなとか」

 侵攻開始から2023年2月24日で1年。いまだ出口が見えないウクライナ情勢。コロナ不況の出口が見えた坂本社長は、少しでもウクライナの人たちの力になれないかと思い、約200万円をかけて薪ストーブを作りました。

 (日本城タクシー 坂本篤紀社長)
 「自分らが寒い思いしたやろ、コロナで仕事もない金もないって。多くの人に支えられて倒産を免れてここまできたら、なんか人の役に立ちたいやん」

 石油・ガス・電気がなくても、薪など燃やせるものさえあれば、この1台で体育館ほどの空間を暖めることができるといいます。さらにストーブの熱を利用して発電もできる仕組みになっているのです。
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 (日本城タクシー 坂本篤紀社長)
 「僕らの仕事は戦争があったら終わりかな。ミサイル飛んでくるのにタクシー乗って行く人はおらへんし、バスで団体旅行に行く人はおらへん。人の役に立ちたくなって、自分が苦しい時に支えてもらったから」