兵庫駅から和田岬駅までのわずか2.7kmをつなぐJR和田岬線。この路線を走る「103系」が3月18日で運行を終えます。3月17日の和田岬駅には、別れを惜しんで大勢の人が集まりました。

「色がいい」「無骨な音がする」鉄道ファンを魅了する103系

 3月17日午前7時すぎ、本格的なカメラを手に神戸市兵庫区にあるJR和田岬駅に集まった人たち。そのお目当ては、18日にJR和田岬線での運行を終える「103系」。どこか懐かしさを感じるブルーの車体が目を惹きます。

 (岩手県から訪れた人)
 「103系がサラリーマンの時から好きで。昔から国鉄で決められた色があって、それを使った色がいい」

 別の人は…。

 「無骨な音がするんですよね。ドアが閉まる時の独特な音とか。なくなるのが寂しいですね」

 103系は1963年以降に量産され、ブルーの車体はJR阪和線などで通勤電車として活躍してきました。車両は時代とともに次々と新しいものに入れ替わっていきますが、103系は国鉄時代の原型をほぼそのまま残す数少ない車両として、鉄道ファンを魅了し続けてきました。大の鉄道ファンであるMBS馬野雅行アナウンサーも過去に取材。

 (馬野アナウンサーリポート 2008年)
 「すごい!初期の形のものというのは、もうたまらないね。わからないかな?この103系独特のプシュー、ガラガラガラガラ(※扉が開くときの音)。あの音は呼吸しているんです。103系が」

 日本で引退した後、海を超えて、インドネシアの首都・ジャカルタで人々の足として第二の人生を送る車両も。

「もう昔から見てますからね」沿線の喫茶店も別れを惜しむ

 そんな103系、和田岬線に導入されたのは2001年のこと。走るのは兵庫駅~和田岬駅間の2.7km。所要時間はわずか4分です。運行は朝と夕方以降のみで、主に近くの企業で働く人たちを運んできました。

 22年間の別れを惜しむファンの思いを酌んでか、車内ではこんなアナウンスが流れていました。

 【車内アナウンス】
 「ただいまご乗車されております水色の103系列車は、3月18日をもちまして定期運行を終了いたします。1963年から3447両が製造され、東は仙台から西は福岡まで、全国各地で皆さまの足として活躍してまいりました。最後まで103系電車をご愛好いただきますよう、よろしくお願い申し上げます」

 沿線で約50年続く喫茶店「チェリー」の店主は、生活の中にいつもブルーの103系があったといいます。

 (チェリー 店主)
 「もう昔から見てますからね、あのブルーの電車をね。あの水色はJRの“特別な水色”だと思っているんで」

 店内では自分だけの1枚をカメラにおさめようと、ファンが特等席を陣取り、一瞬のシャッターチャンスに思いを込めます。渾身の写真が撮れたようです。

老舗駅弁メーカーは限定記念弁当を発売

 そしてJR三ノ宮駅では…。

 (取材班リポート)
 「まだ開店前なのですが、103系の勇退弁当を求めて、すでに行列ができています」

 老舗駅弁メーカーが、神戸らしい、いかなごのくぎ煮などが入った限定記念弁当を発売。さっそく聞きつけたファンが最後の思い出にと買い求めていました。お揃いの103系Tシャツを着た親子連れに話を聞きました。

 (親子)
 「(103系は)子どもが好きになって、私も一緒に好きになりました」
 「(Qこの103系のお弁当箱どう?)めっちゃいいと思う」

 103系は、えんじ色が兵庫の播但線で、あおみどりが加古川線でもうしばらく運行されますが、ブルー和田岬線は18日で見納めです。