ゴールデンウィーク中の京都。活気を取り戻した街中には、着物を着て歩く人たちの姿が多くみられます。となれば着物のレンタルショップは大忙し!華やかな衣装に着替えると、みんな自然と満面の笑顔に。いったいどんな人たちがやってきたのでしょうか?京都・清水にある着物レンタルショップ「京越 清水店」の1日を定点観測しました。
ゴールデンウィークは倍のスタッフで お店の1日がスタート!
5月1日午前8時30分。店では、午前9時のオープンに向けて準備が行われていました。ゴールデンウィークということもあり、いつもの倍のスタッフで対応にあたります。
そして、お店の1日がスタート。観光名所・清水寺近くとあって、開店と同時に次々とお客さんが訪れます。
(千葉県・大阪府から来た2人)
「ネットで探してて、着物がかわいいのがあったのでここにしました」
(東京都から来た2人)
「(着物での観光は)初めてです。せっかく京都に来たから」
着物で京都旅行は「高校生の頃からすごく憧れていた」
神奈川県から観光でやってきたカップルがいました。付き合って3年。コロナ禍でなかなか遠出ができず、ようやく叶った初めての京都旅行です。
(着物を選ぶカップルの女性)
「ピンクがいいな。他もあるかな。…これにして帯をかわいいのにしようかな」
約30分かけて選んだのは、ピンク色の着物。せっかくの着付け体験。ヘアアクセサリーにもこだわります。
(カップルの女性)
「高校生の頃からすごく憧れていて、着物を着て京都に来たいなと思っていたので、今回ゴールデンウィーク中に連休をいただけたので一緒に来ました」
着付けも終わりヘアメイクも完成。先に着替え、カメラ片手に待つ彼氏にお披露目です。
(カップルの男性)「かわいい」
(カップルの女性)「見て髪の毛。生け花みたいにいっぱいさしてもらった」
このあと約8時間、京都の名所をめぐり、カメラが趣味という彼氏が400枚もの素敵な写真を撮ってくれたそうです。憧れの着物での街歩き、叶ってよかったですね。
実はこちらのお店、コロナ禍で売り上げが激減して約3年前に一度閉店。コロナ明けを見越して、今年4月24日に再オープンしたばかりです。店内には約3000着もの着物が取り揃えられていて、帯・鞄・草履などがセットで、レンタル料は1日3190円(税込み)~となっています。
韓国から1人で来店 目的は観光ではなく…?
1人で来店していたのは、韓国から来たという女性。
(着物を選ぶ韓国から来た女性)
「写真を持ってきたんですけど、白ベースで赤い色がついたもの。…もっと派手なものですね。これもいいし」
その後もいろいろ見て回り、悩みに悩んだ末に決定。
着物が決まると、早速着付けへ。
(店員)「ちょっとしめてます。大丈夫ですか?」
(女性)「大丈夫です。大丈夫…そうです。ご飯食べられますよね?」
(店員)「大丈夫です。(みなさん)よくおっしゃるんですが、すぐ慣れます」
とっても満足そうな彼女ですが、ここにやってきたのは観光目的ではないそうで…。
(韓国から来た女性)
「最近、韓国の若者たちが日本に来るので、特に大阪と京都で特別な体験ができる旅行商品をつくっています」
実は、彼女は韓国にある旅行会社の日本担当の社員。韓国でもいま、着物での日本観光が注目されていて、ツアー商品の写真撮影のため、今回京都にやってきたんだそう。
この日は彼女がモデルとなり、清水寺など観光スポットで、同行したスタッフによる撮影が行われました。
(指示を出すスタッフ)
「ゆっくり歩いてきて。…早い!」
「下向いたら影になるから少しだけ下げて。…やっぱり上を向いて」
一見勘違いしそうですが、彼女はモデルではなく普段は会社員。スタッフからの容赦ない要望に苦戦しながらも立派にモデルとして務めあげていました。
(韓国から来た女性)
「暑くて大変だったんですけど、すごくきれいな着物を着て、きれいな景色を見ながら写真を撮ったら、自分もきれいになる感じになってすごくよかった。京都のまだ知られていない場所を紹介して、旅行商品をつくって、たくさんの韓国人の方が日本に来られるようにする予定です」
若い世代では『レース』や『アクセサリー』が流行
山梨県から旅行中だという結婚2年になる夫婦が来店。なんでも、ずっと気になっていた着物があったそうで…。
「(Q選んだポイントは?)レースでピンクのものが着たかったので」
SNSなどをきっかけに、実はいま、帯にレースやアクセサリーを付けるのが若い世代に特に流行っていて、多くの人が利用するといいます。なんとレースでできた着物まで出ているんです。
香港からの観光客「着物は日本の良い文化だよ」
その後も途切れることなく続々とお客さんがやってくる中、香港からやってきたというカップルに話を聞きました。
(香港から来たカップル)
「着物は日本の良い文化だよ」
「(Q着物での京都観光は2回目?)そうだよ」
5年前に着物での京都観光を体験してすっかり着物にハマり、再び訪れたといいます。今回は、初めてとなる清水寺周辺の散策。途中にある日本らしい土産物店にも興味津々の2人でした。
午後3時「あとはお戻りのお客様を待つ」
午後3時。この時間、着物を借りにくる人はすっかりといなくなりました。というのも、着物の返却は午後6時まで。そのため、午前中にお客さんが集中するそうです。
(京越・清水店 池田陽花店長)
「だいたい午後3時になるとお客様の流れが止んでくるので、あとはお戻りのお客様を待つ感じです」
午後5時。少し雨が降ってくる中、お客さんが戻りはじめました。香港からのカップルも帰ってきました。
(香港から来たカップルの男性)
「グレイト!ベリーグッド!清水寺。そばなどを食べた。とてもおいしいです!(Qまた京都に来る?)もちろん!(Q着物も着る?)もちろん!」
返却の時間…「名残惜しい」「華やかな思い出になった」
返却時間の午後6時。店に戻ってきた様子をみると、みなさん、着物での観光を満喫できたようです。
(着物をレンタルした人)
「すごく名残惜しい…。脱ぎたくないなみたいな」
「本当にそう。もったいないよね」
“初の京都旅行”と話していた神奈川県からのカップルは…。
「いい思い出になったよね」
「京都旅行の華やかな思い出になりました」
この日は70人が来店。着物の数だけ素敵な思い出が生まれたに違いありません。