気象庁などによりますと、28日にマリアナ諸島にある熱帯低気圧が「台風11号」になりました。午後3時には北緯18度40分、東経142度25分にあって、時速10キロの速さで西北西へ進んでいます。中心の気圧は996ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートルです。この先5日間の予想円は北西方面に伸びていて、31日から来月1日にかけて沖縄地方に接近する可能性があります。
台風11号【進路の見通し】
29日午後3時・・フィリピンの東(北緯19度20分、東経139度25分)中心の円内 中心気圧996ヘクトパスカル 中心付近の最大風速は25メートル
30日午後3時・・日本の南(北緯21度05分、東経135度35分)中心の円内 中心気圧994ヘクトパスカル 中心付近の最大風速は20メートル
31日午後3時・・日本の南(北緯23度05分、東経130度35分)中心の円内 中心気圧990ヘクトパスカル 中心付近の最大風速は23メートル
台風接近を妨げる【太平洋高気圧の高い壁】
31日午前9時の上空の気圧配置の予想図を見ると、北海道から沖縄まで、太平洋高気圧が日本列島全体を広く覆っていることがわかります。この高気圧がいわば「高い壁」となって、台風9号・台風11号とも本州地方や九州地方に近づけず、台風の進路予想が北西方面に伸びています。
台風が来なさそう、と聞くと安心する面もありますが、反面、強い太平洋高気圧の影響で、日本列島は9月に入っても真夏の猛暑が続きそうです。京都では28日(きょう)の最高気温が35.0℃(午後0時49分)となり、今年に入って37日目の猛暑日を記録しました。年間で猛暑日が37日あるというのは、1942年に記録した36回を81年ぶりに更新、やはり今年は記録的な暑さの年となったことがデータ上も明らかになりました。
さらに真夏の暑さは続く見込みで、京都の予想最高気温は、29日36℃ 30日35℃ 31日37℃ 9月1日37℃ 9月2日37℃ 9月3日36℃といずれも猛暑日の予想。この先、京都でさらなる記録更新の可能性はありそうです。
台風9号と台風11号が急接近すれば「進路は複雑化」
この先の台風9号と台風11号の進路予想を見ると、数日後に台風同士が接近する可能性があります。前田智宏気象予報士は、台風同士が接近すると、ある複雑な関係性が作用して、動きが読みにくくなる可能性があると指摘する。その関係性を言葉に例えると、「振り回されたり」「後ろをついて行ったり」と、まるで人間同士の関係のように見える一面もあるというのです。
前田気象予報士:二つの台風が同時に日本の近くにある「ダブル台風」の状態になると、ある複雑な関係性がありまして、その関係性には「藤原の効果」という名前がついています。効果を発見したのは、藤原咲平さんという方で、長野県諏訪市のご出身、中央気象台(今の気象庁)の台長を務めて、お天気博士としても親しまれた方です。藤原の効果は、二つの台風の距離が約1000キロ以内にあるときに作用するといわれ、6つの型に分けて説明されることが多いです。
藤原の効果 6つの型とは!
①相寄り型:一つの台風に比べてもう一つの台風が明らかに弱いとき。弱い台風が強い台風に巻き込まれるような形になって、急速に衰弱し、やがて一つの台風に融合するような形になる。弱肉強食みたいなイメージかもしれません。いっぽうのパワーを得て、もう一つの台風が強くなることもありますので要注意な型です。
②指向型:台風は、反時計回りの渦ですから、その渦の一部に巻き込まれるような形になって、一つの台風が、その周りを回っていくようなかたち。一つの台風が動きを支配して、もう一つが振り回されるような感じ。
③追従型:一つの台風の進路に吸い寄せられるようにしてもう一つの台風が後をついて同じような経路で追っていく。台風が立て続けにやってくるパターンです。こうしてみていくと、振り回されたり、後をついていったり、人間関係みたいなところもあります。
④時間待ち型:これは一方の台風が進んでいくのを待って、先に進んでもらってから、もう一つの台風が遅れて移動していく。「先輩お先にどうぞ」という感じかもしれません。
⑤同行型:これは台風が一緒になって進んでいく、並んで同じ方向に進んでいく。肩を組んで進む仲間かもしれませんね。
⑥離反型:まるで反発し合うように一つの台風が東へ、もう一方が西へ、磁石が反発し合うみたいにして離れ離れになっていく。
こんな感じで、台風が影響しあうのが「藤原の効果」というものです。ただし効果は、どれか一つに必ずしも当てはまるわけではなく、台風の発達に伴って、関係性が変わって複数の型を示すことも多くあります。また台風は、気圧の谷とか、高気圧とか、偏西風とかいろんな影響を受けますので、単純に藤原の効果だけで進路が決まるわけではないので、「藤原の効果のどれに当てはまり、どう動きます」とはっきり説明することはできません。でも一つ確実に言えることは『二つの台風が近くにあるときは、思わぬ動きを台風がすることがあります』ので、進路が複雑になるかもしれない、要注意だと思っておくことは必要だと思います。