1923年に山崎蒸留所が誕生し、ジャパニーズウイスキーは今年で100周年を迎えました。そんな中、日本国内で空前の「ウイスキー品薄」現象が起きていることをご存知でしょうか。特に高価格帯の銘柄であるサントリーの「山崎」「白州」「響」は近年、品薄の状態が続いていて、気軽に酒店などでは手に入れられない状況。定価で手に入ることは稀で、量販店やリサイクルショップでは2倍以上の価格で売られていることもあるそうです。

ニューヨークで8100万円!?

 人気の高さを反映した出来事として、2022年には、同社の中でも最も熟成期間の長い「山崎55年」が米ニューヨークで競売にかけられ、8100万円という価格で落札されたことも。同商品が2020年に100本限定で日本で販売された際は1本330万円だったことを考えると、その入手の困難さや人気ぶりがわかります。

 入手困難な状況が続くウイスキーを気軽に入手できる日は訪れるのでしょうか。サントリーの広報に話を聞きました。まず、品薄の原因については、『需要の高まり』と『熟成(貯蔵)に数年の期間が必要』であることを挙げます。

(サントリー広報)「ここ数十年の間に、海外でジャパニーズウイスキーが評価されたことにより、海外での需要が増加しました。また、日本国内においても2008年ごろからハイボール人気が高まったのをきっかけに、ウイスキー需要が拡大しています」

 ウイスキー消費量は1982年をピークに2008年まで下降が続き、ウイスキーにとって冬の時代がありました。現在では考えられないですが、2008年以前は、酒店で容易に人気のウイスキーが手に入っていたのです。そこへ急にやってきたのがウイスキーブーム。需要は拡大していきますが、”ウイスキーの製造方法”が理由で、現在の品薄に繋がっているということです。

(サントリー広報)「『山崎12年』など年数が記載されている商品は『最低12年』の熟成を行なっています。年代が記載されていないものでも、数年の熟成はされていますので、すぐに出荷はできず、年間の決まった計画的な出荷量のみで対応せざるを得ませんでした」

では今後、いつ頃になれば、手軽に入手できるようになるのでしょう?それとも品薄状態は続くのでしょうか?

大阪の山崎蒸溜所が11月にリニューアルオープン

 サントリーは、ここ10年、数百億円規模の設備投資を行なっていて、ウイスキーについて、今年から出荷量を増やすことができたそうです。さらに今年2月、山崎と白州のウイスキー蒸溜所に合わせて100億円規模の設備投資を2024年にかけて行うことを発表していて、出荷量だけでなく品質の向上を目指しています。

(サントリー広報)「去年までは前年と同じ出荷量でしたが、この2023年から出荷量を増やすことができています。来年以降も出荷量は増えていく見込みです」

 一方で、気軽に買える日はいつごろ来るのか、と尋ねると。

(サントリー広報)「ご迷惑をおかけしていて申し訳ないですが、もう少しかかりそうです…」、との回答でした。

 品薄が続く現在でも、時折、酒店やコンビニで小瓶(180ml)などの入荷がある模様です。いますぐ欲しい”高価格帯ウイスキー派”は、出荷量が増えるその日まで、足繁くそれらに通うしかなさそうです。