入所していた特別養護老人老人ホームで死亡した、福田功さん(当時89)。当初は「病死か自然死」と判断され、司法解剖も行われませんでした。死亡して3年、いまになって、施設における“暴行死”と判明したのです。

 福田さんの妻は6日、MBSの取材に応じて、「ゴルフやカメラ、阪神タイガースの応援など、健康で趣味が多かった」と生前の姿を振り返りました。また、死後数年経って“暴行死”と知らされた際の思いを語りました。

『また勝ったー』阪神が勝つごとに貯金

――生前のお写真を見ると、すごく健康そうな方に見えます。

(福田さんの妻)「健康でした。趣味をいっぱい持っていました。趣味はゴルフやったけど、カメラも趣味やったり、阪神ファンやったり。今年居てたら喜んでたやろうな思って。」

福田さんは生前、阪神タイガースが勝つたびに、あることをしていたそうです。

(福田さんの妻)「阪神が勝つごとに貯金。こうして入れて、やってたんですよ。『また勝ったー』と言うて、チャリンってね。100円か500円、チャリンって言ったから500円やったと思うんやけど。終わった後、そのお金で食べに行ったりしてね。」

今年、日本一になった阪神。もし、福田さんが生きていたら、と妻は残念そうに話しました。

(福田さんの妻)「こんなんめちゃくちゃ喜んだやろうに。(阪神が)勝った日は、何回でもテレビで三回くらい見てましたからね、試合を。」

別の入所者が暴行を訴え、3年前の夫の死に”疑問”が

 事件が起きたのは、大阪府泉大津市の特別養護老人ホーム「オズだいすき倶楽部」。警察によりますと、今年4月になり、別の入所者(90代)が、元職員からの暴行を訴えたのがきっかけです。

警察が、過去にさかのぼり、改めて法医学者に鑑定を依頼したところ、福田さんの死亡は第三者の暴行によるものと判断されたのです。死後数年経って知らされた福田さんの妻は。

(福田さんの妻)「悲しいです。私も介護をして大変なために預けたけれど、上手に(介護を)してくれると思ったけど・・・。介護の人やったら上手に、力もあるし、オムツも替えるのも上手にしてくれはるやろうっていう期待で入れたのになって思ったんです。」

実は生前、“外部からの疑い”を指摘した病院関係者もいたそうです。

「自分でしたケガじゃないですから警察に行ってください」

(福田さんの妻)「私らも知らなかったです。(ある)病院の先生が言ってくれるまで。先生は、自分でしたケガじゃないですから警察に行ってくださいって、その先生だけ。それまでは、病院、救急をグルグルまわされて。『痛い、痛い』言うもんだから。最後の先生が、『これは外部から、自分でしたけがではないです』って。」

しかし、それ以上はわからないまま、3年の月日が過ぎました。

(福田さんの妻)「かわいそうやった最期は。ベッドにつながれて口から酸素やなんやで動かされへんし。死因が『臓器不全』と書いていたからそうかもしれへんけど、骨折させられたからこうなったのなら、死因は骨折では、と思いました。」

傷害致死の疑いで逮捕された元職員の白井宏次朗容疑者(31)は容疑を否認しているということです。福田さんの妻はこう話しました。

(福田さんの妻)「介護の人がそんなん?って、びっくりしました。私にはできなかったことをお願いしてるのに、やっぱりできないっておかしいじゃないか。」