駐車場シェアサービス「akippa」。アプリから検索・予約・決済ができ多くの人に利用されています。登録されている駐車場はコインパーキングのほかに“現在は使われていない個人の駐車場”などもあります。このサービスが今、免許返納で車を手放した人や空き家対策にも活用されています。

 自転車で颯爽と現れたのは兵庫県西宮市に住む黒岩優さん(87)。愛車は電動アシスト自転車です。

 (黒岩優さん)「(Q買い物は自転車でどれくらいかかる?)自転車で25分くらい。(Q結構かかりますね?)うん、かかるで」
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 自転車に乗るようになったきっかけは6年前の運転免許の自主返納。無類の車好きだったという黒岩さんは、それまではどこに行くのも車で、60年の間に乗った歴代の愛車は8台にのぼるといいます。

 (黒岩優さん)「脳梗塞を起こして。ちょうどそのころにしょっちゅう新聞で高齢者が事故を起こしたとあったのでね。とにかく免許を返そうと」
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 免許返納に伴って車も手放し、自宅前の駐車場は空きスペースに。そこで黒岩さんはこの駐車場を有効利用することにしたというのです。

 (黒岩優さん)「駐車場はakippaさんにお貸しして、akippaさんがお客さんを連れてくる」
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 始めたのは駐車場の時間貸しです。甲子園球場から近いという立地で、料金は1日1100円から(時季により変動)。駐車場シェアサービスakippaのサイトで申し込んでもらう仕組みで、予約は思っていた以上に埋まるのだそうです。

 (黒岩優さん)「(Qクライマックシリーズのときは?)満員です。(Q埋まるとうれしい?)うれしいですよ」

 収入は多い時で月に4万円ほどになるといいますが、黒岩さんの楽しみは他にもあるそうです。

 (黒岩優さん)「話をするのが好きなので。野球を見にきはった人に『きょうは頑張って応援してきてや』とかって言うんです。同じファン同士でしゃべれるからね。(Q黒岩さんも阪神ファン?)阪神ファンですよ!」
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 そんな中、大阪市内では見学会が開かれていました。駐車場を貸し出している人の家を見て回るツアーです。自宅に使っていない駐車場がある人などが参加しました。どれくらいの利用があるか、トラブルはないのかなど、オーナーに疑問をぶつけます。

 (参加者)「平日って利用少ないんですか?」
 (オーナー)「ないね、ほとんどない。金・土・日、それと公共の休みとか。その時にたまに止めに来る」
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 このツアーを企画したのはakippaと大阪市の生野区役所。背景にあるのは『空き家問題』です。生野区は区内で6000弱の空き家があり、放置が続くと治安の悪化などに繋がりかねません。

 そこで、せめて駐車場部分だけでも活用して人の気配を感じさせるようにしてもらえないかと、貸し出しを呼びかけています。
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 (生野区役所・地域まちづくり課 木村均課長)「防犯の観点ですね。(空き家を放置すると)やっぱり危険がリスクが高まっていきますので、防犯力の強化で空き家の対策というのが非常に重要になってくるかと思います」

 見学ツアーには生野区民だけでなく関西各地から12人が参加。反応は…?

 (住吉区からの参加者)「1台使っていないスペースがあったので。家族や妻にも相談して決めていきたいなと思っています」
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 (駐車場シェアサービスakippa 森村優香さん)「駐車場を貸し出していただければ、出入りがあるので、防犯上もかなりいいのかなと思っています。サービスを知っていただいて、気軽に駐車場を貸し出せるんだよということを知っていただけるように開催しました」

 駐車場を利用する側は駐車場の拠点が多いと使いやすく、貸す側は防犯対策やちょっとしたお小遣い稼ぎにもなります。運営する会社も含め三方良しとなるのでしょうか。