正月に食べることが多いのが「餅」。お雑煮、磯辺焼き、きな粉餅、ずんだ餅…地域によって食べ方は様々あります。お雑煮だけを見ても、すまし汁のところも味噌のところもあって、文化の違いが楽しめます。しかし、消費者庁は「モチに注意」を呼びかけています。高齢者の餅による窒息死亡事故は、『正月三が日に集中している』というデータがありました。

 消費者庁によりますと、2018~19年に、65歳以上が餅(もち)による窒息で死亡した人は計661人いました。事故のうちの282件(年間死亡者の約43%)が1月に集中、特に正月三が日は127件(約20%)と集中していて、餅を食べる機会が多い三が日に死亡事故が相次いでいることがわかります。

餅の事故を防ぐポイントは?

 高齢になると、歯の機能が衰えて噛む力が弱くなったり、唾液の量が少なくなって食べた物がスムーズに飲み込みにくくなったりするなどし、窒息のリスクが高くなっているということです。そして、お雑煮などは、正月の機会で久しぶりに食べるなど、ふだん食べ慣れていないので、注意が必要と呼びかけています。

消費者庁は、事故を防ぐためのポイントを挙げています。

・餅は小さく切り、食べやすい大きさにする
・お茶や汁物などを飲み、喉を潤してから食べる
・一口の量は無理なく食べられる量にする
・ゆっくりとよく噛んでから飲み込むようにする
・高齢者が餅を食べるときは周りの人も食事の様子に注意を払い見守る

のどに餅が詰まったら?応急手当のポイント

 注意をしていても餅をのどに詰まらせてしまう場面があるかもしれません。消費者庁によりますと、窒息事故が発生した場合、窒息した人が自ら親指と人差し指で喉をつかむ動作が見られるということです。こうした動作が見られたり、急に顔色が悪くなったりした場合は、速やかに通報して救急車を呼び、異物除去の応急手当をするよう呼びかけています。また、救助を行う人が1人だけの場合は、消防への通報の前に異物除去を行うよう呼びかけています。

【異物除去の応急手当】※消費者庁資料より
<背部叩打法>
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(手順)
・窒息している人の後ろから、手のひらで左右の肩甲骨の中間辺りを力強く何度も叩く

<腹部突き上げ法>※妊婦や乳児には行わない
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(手順)
・窒息している人の後ろに回り、ウエスト付近に手を回す
・一方の手で「へそ」の位置を確認する
・もう一方の手で握りこぶしを作って、親指側をへその上方で、みぞおちより十分下方に当てる
・「へそ」を確認した手で握りこぶしを握り、素早く手前上方に向かって圧迫するように突き上げる
・腹部突き上げ法を実施した場合は傷病者の内臓を傷めている可能性があるため、救急隊にその旨を伝えるか、速やかに医師の診察を受けさせる

 窒息への対応が途中でわからなくなった場合は、消防へ通報をすると通信指令員が行うべきことを指導してくれるということで、落ち着いて指示に従うよう呼びかけています。