1月1日午後4時すぎ、石川県能登地方で発生した最大震度7の地震。「朝市通り」で有名な輪島市では、地震発生後に大規模な火災が発生し、朝市通りの周辺約200棟が焼けました。コロナ禍で落ち込んだ観光客がようやく戻り賑わいを見せ始めた矢先の地震に、店を営む人たちも落胆を隠せない様子です。

 (記者リポート)「完全に家が崩れ落ちて道路が塞がれてしまっています」

 最大震度6強の地震に襲われた輪島市。1階部分が完全につぶれてしまった住宅に、大きく陥没した道路。地震の激しさを物語っています。
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 輪島の名所・朝市通りにある地酒販売店「泉秀芳堂」も被災。店の中にいた人に話を聞くと…

 「(Q今は片付け中?)片付け…片付けできないわよ。もうすごいわ、ダメ、何も言えない。でも、命あっただけでも良かったと思っています。ほとんどなくなった、燃えてしまったでしょ?私ら(店舗)も燃えてしまうのかと思ってた」
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 輪島市を襲ったのは地震だけではありませんでした。地震発生後、大規模な火災が発生。朝市通りの周辺約200棟が焼けたとみられます。
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 (記者リポート)「完全に辺りが一面真っ黒になり、焼け焦げた状態になっています」
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 朝市通りで漆器店を営んでいたという男性は、炎が広がるのを避難先からただ見守るしかなかったといいます。

 「以前から津波が来たら車で逃げるという訓練はしょっちゅうやっていた。(避難先に)何も持って来ていない、携帯も全部置いてきてしまったので…。(取りに)行こうと思ったらここ(朝市通り)がぼーっと明るくなっていた。だんだん大きくなってきて、煙じゃなくて炎がね。ぼーんぼーんとね、当然みんなお正月だから石油タンクいくつか持っているじゃないですか、それとかプロパンがぼんぼん花火みたいにあがって。もしかして…と思ったんですけど。(店は)まあもう灰ですね。ここまでいってしまうと何とも悲しいどころじゃなくて、ちょっと絶望的です」

 跡形もなく焼け落ちてしまった状況を目の当たりにし、何も手につかないといいます。

 「ちょっと整理しないと。ここでもうひと踏ん張りってちょっとパワー出てこないですね、この状況では」
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 朝市通り周辺ではこの男性と同じように焼け落ちた建物を確認したり大切なものを探したりする住民の姿がありました。

 「じいちゃんの家でいつもお正月を迎えているんですけど、そのときに地震が来て」

 こう話すのは、朝市通りに面して祖父の家があった男性。地震が起きた時、両親や親戚など7人が祖父の家に集まっていたといいます。

 「じいちゃんの家がここですね。(Q名残とかは?)分からないですね、まったく。小さい頃から育った町なんで、なんとも言えない状況ですね。まだ現実かどうかもよく分かっていないです」
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 一方で、町を少しでも明るくするための取り組みも始まりました。1910年創業、輪島を代表する老舗の菓子店「柚餅子総本家 中浦屋」が、自社製品を無料で配布していました。
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 (柚餅子総本家 中浦屋 中浦政克社長)「お正月に販売する予定の商品なので、おいしいうちにみなさんに召し上がっていただければと思いまして」

 冷蔵庫などに保管されていた商品を少しでも喜んでもらえればと、無料で提供することにしたのです。

 (お菓子をもらった人)「こんな貴重なものを配ってくださって本当にありがたいです」
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 実は、2023年にMBSの番組で輪島朝市を紹介した際、こちらのお店を取材していました。お菓子を配っていた本店は火災は免れましたが、2023年に取材した店舗は…
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 (柚餅子総本家 中浦屋 中浦政克社長)「ここ2軒並んでいて、こっちが永井さんという洋服屋さんで、この角です。(Q初めてこの状況を見られたときは?)すいません…全部焼け野原なんで取り立ててうちだけという思いはあまりなかったです。今回ばかりは、いろいろ写真で保存することが好きなんですけど、1枚も撮ってないです。罹災証明に必要なことだけ。撮れないですね」
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 中浦さんは、まだ何も考えられない状況だとしながらも、なんとか新たな1歩を踏み出したいと考えています。

 (柚餅子総本家 中浦屋 中浦政克社長)「まず製造を再開することですね。輪島市内でできるのか、市内の物件とかなるべく短期間で始めたいですね、仮設でもいいので」