能登半島地震発生後に大規模火災が起きて甚大な被害を受けた石川県の輪島市。そんな中、“地元のためにできることを”とボランティア活動をしている人たちがいます。
地震発生から10日 輪島市のいま
(河田直也アナウンサーリポート)「輪島市中心部にある住宅地に来ています。このあたり1戸建ての住宅が多いんですけど、どれもこれも家がめちゃくちゃになっています。斜めに道路に倒れかかるように崩れてしまっている家もあります。そして大きなビルが完全に倒れてしまっていますね」
倒壊したビルの近くに行くと、国土交通省による原因調査が行われていました。
また、地震発生後に大規模な火災に見舞われ約200棟が焼失した輪島朝市では、1月9日に引き続き10日も150人態勢での捜索が行われていました。
そして、普段はコンサートなど様々なイベントが行われる輪島市文化会館には、自治体や企業などから届けられた水・食料・生活用品などの支援物資がフロアいっぱいに積み上げられていました。支援物資はここから各避難所へと送られていきます。
(輪島市職員)「全国の皆さんからの支援物資を集積する。ここに支援物資を搬入していただいてから、各避難所にその支援物資を届ける、集積所になっています」
地震発生から10日目。避難所になっている輪島市の輪島中学校ではゴミの排出に追われていました。そこで出会ったボランティアの男性に話を聞きました。
(輪島市で被災した男性)「輪島にある家で全壊して車もぺしゃんこになったんで、もうどこも行くところがなくて、ここへ避難してきたんです」
家をなくした人々が支える避難所の暮らし。“今できることは何か”、被災者自らも考え動き出しています。
「もうけは考えない」商品の多くを100円で販売するスーパー
輪島市の食品スーパー「ワイプラザ輪島」は1月4日に営業を再開。困っている人からお金はとれないと、商品の多くが100円で販売されています。
(ワイプラザグルメ館輪島店 池崎清道店長)「もうけのことは一切考えなくて、食料品をいち早く提供することが僕らの役目だと思います」
被災者に商品を無償提供する菓子店も
菓子店「柚餅子総本家 中浦屋」を営む中浦さんも動き出したひとりです。1月5日から自社商品のお菓子の配布を無償で行っています。この店は去年11月にMBSの番組で取材。店の名物・丸柚餅子をいただきましたが、取材した店舗の面影はほぼなくなっていました。ほかの店舗や工場も火災は免れたものの地震による大きな被害を受けました。それでも“地元のためにできることを”と被災者へのお菓子の無償提供を続けています。
炊き出しの準備をするのは…フランス料理店やラーメン店を営んでいた人たち
中浦さんがお菓子を持ってやってきたのは地震前は飲食店が入っていたという店舗。お昼に向けた炊き出しの準備が進められていました。調理をしているのはこの近くに住む地元のメンバーです。
(池端隼也さん)「(Qきょうの炊き出しのメニューは?)雑炊ですね。きょうは1500人前。まだ足りないですね。本当はもっと(要望が)きているんですけど、キャパがないので1500人前になっています。僕はフランス料理店をやっていたんですけど、お店はもうだめですね。(Q向かいの男性は?)彼はラーメン店です」
(ラーメン店を営む人)「店は一部残ったけど家とか傾いて」
鮮魚店を営んでいた中小路武士さんは営業再開のめどはたっていないと話します。
(中小路武士さん)「やっぱりみんな集まって、不安とかを少しでも考えたくない、払拭したい。いずれこのつながりが絶対に実を結ぶときが来ると思ってがんばっています」
「喜んでいただいている姿が一番の喜び」
正午すぎ、炊き出しには多くの被災者が並びました。
(被災者)「野菜久しぶりです。ありがとう」
(食事を渡す人)「カップ麺ばっかり食べとったらあかんよ」
(被災者)「うん」
中浦さんもお菓子を配ります。
(中浦さん)「これも2つ持っていってください」
(被災者)「ありがとね、お菓子までいただいて。ありがとうね。もったいないわ、ありがとう」
(柚餅子総本家 中浦屋 中浦政克社長)「喜んでいただいている姿が一番の喜びですよね。勇気をいただくというか、自分自身もいまの環境を忘れてほっこりしますね」