気象庁は21日(火)、最新の3か月予報(6~8月)を発表しました。今年の夏は、全国的に気温が平年より高くなる見通しで、厳しい猛暑が予想されます。また、降水量は西日本と沖縄・奄美地方で平年並みか多い予想で、梅雨時期の大雨にも警戒が必要です。暑さや多雨傾向の理由、注意点についてまとめました。(気象予報士・前田智宏)
去年以上の猛暑!? さらに残暑が長引くおそれ… 鍵を握るのは「ラニーニャ現象」
6月から8月の平均気温について地域別にみると、6月と7月は沖縄・奄美から西日本、東日本で平年より高い見込み、北日本は平年並みか高い見込みです。8月は、すべての地域で平年より高いでしょう。地球温暖化や、この春まで続いていた「エルニーニョ現象」の影響で、日本のみならず、世界的に大気全体の温度が高くなっています。さらに、夏の太平洋高気圧が平年よりも南で張り出しを強める見込みで、日本付近には南からの暖かい空気が流れ込みやすい状況が予想されます。このため、夏を通して気温が高く、平年以上の厳しい暑さが見込まれます。
また気象庁は、夏にかけて「ラニーニャ現象」が発生した場合はかなりの高温となるおそれがあるとしていて、さらなる猛烈な暑さに見舞われるおそれがあります。この「ラニーニャ現象」とは、「エルニーニョ現象」の反対のものです。いずれも、南米ペルー沿岸付近の海水温の変化を表していて、平年よりも海水温が高い状態が続くのが「エルニーニョ現象」、逆に平年よりも低い状態が続くのが「ラニーニャ現象」です。それぞれ、世界の気象に間接的に影響を与え、「ラニーニャ」が発生しているときには、日本の夏は高温になる傾向があります。
気象庁では「ラニーニャ現象」がこの夏にかけて発生する確率は50%と予想していますが、発生確率は徐々に上がっていく見通しのため、夏の後半に影響が出てきてもおかしくない状況です。もしそうなった場合は、記録的な猛暑だった去年(2023年)を上回る猛暑となったり、秋口にかけて残暑が長引いたりしてしまうようなおそれがあります。各地でまた40℃以上の高温をたたき出してしまうかもしれません。この夏は、「ラニーニャ現象」が発生するか否かが一つの注目ポイントです。
梅雨前線の活動が活発に 梅雨の降水量は西日本を中心に多くなりそう
また、降水量は、6月は既に梅雨入りした沖縄・奄美をはじめ、西日本の太平洋側で平年並みか多い見込み、7月は日本海側も含めた西日本全域と、東日本の太平洋側で平年並みか多くなる見通しです。その他の地域と8月は全国的にほぼ平年並みでしょう。気温のところでも触れたように太平洋高気圧が平年よりも南で強まる分、その縁を回って雨雲のもとになる暖かく湿った空気が日本列島へと流れ込みやすくなるのが理由です。梅雨入り早々、沖縄の宮古島(鏡原:宮古空港)では1時間に100.0㎜の猛烈な雨を観測し、大雨シーズンの幕が上がったのを告げるかのようでした。最近は特に7月の梅雨末期に、全国のあちらこちらで災害に繋がるような大雨が相次いでいます。今年の梅雨も、梅雨前線の活動が活発となる時期がありそうで、大雨災害に油断ができないシーズンとなりそうです。
関西も多雨傾向の梅雨・猛暑の真夏
近畿地方の梅雨入りの平年は6月6日ごろ、梅雨明けの平年は7月19日ごろです。もう数週間のうちにムシムシとした梅雨がやってきて、7月を待たずに大雨のおそれもあります。備えを今のうちに確認しておきましょう。また、熱中症で救急搬送される人の数は、毎年梅雨明け直後に急増する傾向があります。早めに猛暑への覚悟を決めて、暑さに強い体づくり(=暑熱順化)を進めたほうがよさそうです。ウォーキングやジョギングなどの軽い運動、運動が難しい方はお風呂につかって汗をかく練習をするのも効果的です。私も長らくサボっていたジョギングを再開するところから…始めてみます。一緒に元気に暑い夏を乗り切りましょう!