百条委員会の副委員長で、維新の会に所属する岸口実兵庫県議が、「兵庫県知事失職の黒幕」などとして、先月18日に死亡した竹内英明元県議の名前を挙げた文書を「NHK党」の立花孝志氏に提供したとされる疑惑について、維新側が調査に入りました。
維新の吉村代表が事実関係の調査を指示し、岸口県議本人への聞き取りを自ら行った岩谷良平幹事長が19日、その内容について公表しました。
「立花孝志さんとあったということはお認めになりました。誰が渡したのかということについては、仲介にあたっていたAさんという民間の方と一緒に会っていた。その文書を手渡すということを、渡すであろうことも分かりながらその場に一緒に同席したということをもって、本人としては自分が手渡したと言われても反論のしようがないと(言っていた)」(岩谷幹事長)
きょう改めて取材に応じた岸口県議は「正直なところ(立花氏とは)目的をしっかり持って会ったというわけではない。百条委員会も今非常にタイトな日程で、大詰めを迎えているところ。そのへんも勘案しながら一定の私自身もけじめが必要かなと感じている」と話しました。記者から『百条委のメンバーから外れるのか?』と聞かれると「そういうことです」と言及しました。
◆文書提供疑惑 誰が何の目的で…
――NHK党・立花孝志氏への文書提供疑惑は明らかになるのでしょうか。兵庫県知事選告示翌日の昨年11月1日に・知事の印象操作の黒幕として竹内元県議らの名や、死亡した元県民局長と職員との関係も言及した文書を、維新の会の岸口実県議が立花氏に渡したのではないかという疑惑です。
「斎藤知事を応援する」として知事前に立候補した立花氏は、リークされた文章の内容も選挙戦で発信していました。竹内氏は県議を辞めその後死亡しています。
◆岸口県議「記憶がおぼろげ」
岸口県議はこれまで「会ったことは事実、情報提供は私からではない。」としていましたが、その後、維新側の調査に対して、「文書を渡したのが自分なのか同席者なのか、記憶がおぼろげ」と説明し、「百条委の副委員長としても、文書を渡す場に立ち会ったのは軽率だった」と回答していたことがわかりました。
取材に応じ、「一定のけじめ」という発言はありましたが、どういう主旨でその文書が存在し、何のために渡したのか、などについての説明は不明瞭でした。
◆文書を渡したことは公選法等の違反か…白鳥教授の見解
では文書を渡すことはダメなことなのでしょうか。
法政大学大学院の白鳥浩教授は、ルールで禁じられているのは、「公職選挙法:候補者に関する虚偽」「百条委の規則:委員会で知った情報の漏洩」であり、今回の文書はそうした規則には抵触しない可能性があるものの、イメージやモラルの観点から問題視される可能性があると指摘しています。
いっぽう維新側は、党の規則に反することがあれば、処分するとしています。
元衆議院議員の豊田真由子氏は、兵庫県をめぐる一連の問題について、「何がどうなっているのかわからない。ヒールとヒーローが次々入れ替わる現象が起きているのも不可解」と評しました。判断の前提となる「ファクト(事実)」がなんなのか明らかにしないと、反しているのか、正しいのかもわからない、と話しました。
ファクトの一つとなるのか、百条委員会の報告書は、来月にもまとめられて、公表される見通しです。