銀座のロレックス強盗について、犯罪捜査に詳しい小川泰平氏は「あまりにも乱暴な手口」「闇バイトで集めた使い捨ての若者たちでは?」「高額な盗品を処分するルートがあるはず」との見方を示しました。そのうえで「盗品をもって逃げているリーダー格とみられる人物の捜査に注目」と話します。
(2023年5月9日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

小川泰平氏(元神奈川県警刑事 30年の勤務経験 第一線で数々の事件を解決)

「手口が荒っぽいだけでなく、下手くそ。この店なら2,3分で犯行を終えなければならない」

---(清水麻椰MBSアナ)犯行現場となった時計店です。向かいシャドウ挟んで向かい側には、アップルストアやスワロフスキーなどのジュエリー店が並んでいます。常に車通りも人通りも多い街の様子ですが、本当にここで、まだ明るい時間帯に、あのような犯行が起きたのかと驚きを隠せないです。犯行現場の時計店の隣にはまた違った時計店があるんですが、防犯強化中の張り紙があったり、また本日完全予約制となっていて、警戒感が高まっている様子がうかがえます。犯罪ジャーナリストの小川さんは事件についてどう見ていますか?

(小川泰平氏)銀座のど真ん中で、白昼堂々と非常に荒っぽい手口で犯行を行われたっていうのが皆さんびっくりしているところだろうと思います。

---新しい情報で盗んだ腕時計が一部見つかったということですが、どういうふうにとらえていますか?

(小川泰平氏)容疑者5名いたということで1名まだ未検挙なんですけども、この1名が残りの被害品を当然持っているんだろうということと、実際に車からはおろしているので逃走途中に、4名のうちの1名がどの者かが、そこに慰留したんだろうということが言えると思います。ただ特徴として、ロレックスの専門店に約10分間、実行犯3名が滞在して犯行に及んでますが、手口、荒っぽいだけではなくて非常に下手くそだなと、もう素人以下の犯罪のような気がしました。このぐらいの大きさの店なら、3名でいけば大体2分から3分程度で犯行を終えなければならない。個々の動きが。バールをみんなが持ってそれぞれが盗むっていうのではなく、普通ならちゃんと計画性を持って犯行に及ぶんですね。例えばどのような専門店でも高価なものを置いている場所。またそうではない場所って普通わかれてます。そういった場合に先に下見をしてですね、まず侵入すればまずここのショーケースから盗むって言ったようなことがある程度決まっているはずなんですが。それすら決まってないですから。中での動きがバラバラ。中で容疑者同士がぶつかったりしているぐらいですから。そういったところは手口荒っぽいだけじゃなくて、動きも荒っぽい。

---今回逮捕されたのは、16歳から19歳の4人で非常に若いんですけども、このあたりはどう見ますか。

(小川泰平氏)これまであったようなですね「闇バイトでの募集」か、もしくは半グレのようなものの知り合いから誘われて犯行に及ぶ。要は1回のバイトで100万円とか高額な報酬をちらつかせて、首謀者からしたら、このような実行犯は使い捨てですから。もう捕まって当たり前ですから。車のナンバーもオープンにしてますし、しかも例えば捕まっても少年だから大した刑にならないよとか。そういううまい話をして、しかも個人情報、あとは親の情報だとか、そういったものを吸い上げて、いざ自分が辞めたいって言てもやめられないようにして、犯行に及んでいる。犯行をやらせるという感じではないかなと思っています。

100点ものロレックスを処分するルートを持っている組織が背景にあるとみている

---4人は闇バイト、そして使い捨て?

(小川泰平氏)なぜそうだと言えるかというと、100点ものロレックスを処分するルートが普通、考えられません。やはり100点もの、今平均100万円以上するロレックスを処分できるルートを持ってるっていうとある国が、すぐ処分できる場所があるんですけども、そういったところのルートを持っているもの、日本国内にもそういったものがあります。そういったことを考えると個人のグループでそこにたどり着くってことはまず不可能ではないかなと。そういう組織が背景にはあるだろう。ただ、組織が首謀者として直接やらしてるかどうかはわかりません。もちろん指示役がいて、今回1名未検挙、被害品を持ってる者っていうのが最低でもリーダー格であることは間違いない。その上に首謀者・指示役がいて、被害品を処分できる。ルートを持っている者が必ずいるというふうに私は見ています。以前ならそういったものは定価の3分の1ぐらいで売買されていたんですが、今は定価よりも値段が上がっているので、以前とは違って時価300万するロレックスならもっと高く売れてしまう。しかもシリアルナンバーが日本の盗難品だということが及ばない地域ってあるんですね。そういったところで転売されることっていうのは多々あることですね。
---犯行に及んだ4人は、16歳の無職の少年18歳の高校生19歳のアルバイト19歳の職業不詳の男ということですが、4人とも横浜に住んでいるということですが、4人の関連性はどういうふうに考えますか。
(小川泰平氏)私は関連性があると思ってます。というのは、例えば闇バイトで募集をかけたにしても、全員ではなくて誰かが募集して、他に仲間いないかっていうのか。もしくは半グレのようなものの付き合いがあって、そこで誘われてきた可能性がある。というのは赤坂の逃走現場まで車にこの4人が乗っていってます。通常ならパトカーから追いかけられる途中で降りてもいいわけです。それを赤坂まで行っているってことはやはり何かしらの関連が容疑者・少年自体に関連があったのではないかなということがで言えるのではと思ってます。今後の捜査は、被害品の時計のシリアルナンバーがありますが、警察には「品触れ」とか、「重要品触れ」というものがあります。全国の質店とかそういったロレックスのオーバーホールをするところとかに全て手配して被害品を探す。あとは防犯カメラ、警視庁にはSSBCという捜査支援分析センターっていうのがあって、犯行時に白いマスクをかぶっていましたけど、ずっと家を出てからかぶってるわけではないので、犯行の「前足」、ここに来るまでどういう経緯をたどっていたかということで、残りの1名、もしくは首謀者なり指示役の者を反映させていく。
といったような捜査をやっていくだろうというふうに思います。
---(清水麻椰MBSアナ)今日は韓国からのテレビ局も取材に来ておりまして、やはり世界的にも有名な観光地ということもあって、きちんとした捜査が必要だと思います。