日経平均株価が連日、バブル以降の最高値を更新する中、この先どこへ向かうのでしょうか。投資アナリスト北原奈緒美氏は「日本がいい方向に向かっていることに海外投資家が気づいた」と分析。「新NISA導入」や「賃上げ」などの政策を背景に日本株に割安感がでているといいます。この日本株の上昇相場については「短期間ではなく、前向きにとらえてもいい」と話します。※あくまで専門家の意見です。投資は自己責任でお願いします。(2023年6月8日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎北原奈緒美氏(内藤証券 投資調査部シニアアナリスト 企業分析リポートの執筆や大学でのテクニカル分析講師を務める)

値上がりしても賃金上がっているから財布のひもは締まらない---日本で起きていること

---内藤証券の北原直美さんの解説です。街角で投資家に話を聞いたら、利益を確定して1000万円の利益が、すごいですね。

(北原奈緒美氏)それだけ、相場の地合いがよくなってきたっていうことですよね。

---日本の株価好調、連日バブル後最高値を更新、今年の1月からですが、緩やかに上がって4月半ばあたりから一気に上がりまして3万円超えました。今日の終わり値でちょっと下がってはいますが、3万1641円となっています。基本的なことを伺いますが、日本の株価が上がるのは良いことですか。

(北原奈緒美氏)いいことです。やはりそれだけ日本が魅力的って思われるようになって、変わり始めたので、とてもいいことです。

---ではなんで株価上がってるんですか?いつまで続くんですか?これバブルではないんでしょうか?という話。そして株と無関係の私にどんな影響あるんですか?わたし株持ってないからなという方に影響あるのかないのか?そのあたりも詳しく教えていただきます。まずは「なんでこんなに株上がっているんですか」ということで、北原さんによると、日本経済が良い方に変わるかもという期待感があると?

(北原奈緒美氏)そうですよ。今まで日本の株式市場って株価を持っていても上がらないというのが当たり前だったじゃないですか。でも、日本がいい方に変わる、変わり始めたということを多くの投資家たちが気づき始めて、それで今、買い始めて株価がボンと上がって一気に3万円までいってしまったのです。期待感といえばこういうことが挙げられます。来年からの新しいNISAの制度が始まりますよね。非課税限度額の拡大なんかがあります。それを使って株式投資をやってみようという投資家が増えることが期待されていて、今まで入ってこなかったお金が株式市場に入ってくる。買う人が増える。それで株価が上昇するという構図が今期待されています。また企業が今、賃金を引き上げているじゃないですか。スーパー行ってもいろんな食品とかね値上がりしていて、今までだったら値上がりしているからちょっと財布の紐を締め、締めようって思ったんですけど。給料がその分上がれば今まで通り消費ができますから消費の縮小には繋がらないんですよね。そういった今まで日本に起きていなかった変化が株価上昇の背景にあります。

---このNISAを始めるタイミングは?

(北原奈緒美氏)来年から始まりますから、もうスタートの時点から、長い期間運用していくのがいいと思います。もちろん株価なんでジグザグはありますから、不安な面もあるかもしれませんが、長い目で日本の株価が右肩上がりに上がっていけば、ジグザグは全部相殺されるような、最後は笑顔で終わるような相場が期待されるというところに今来ていると思いますので、ぜひ非課税限度額を使って株式投資を始めてみてください。

---岸田政権も資産運用を推し進めてますね?

(立岩陽一郎氏)そこに活路を見出したいのでしょうね。タンス預金がね、ものすごいあるわけですよ。私は見たことないけども、あるでしょう。要は株って言うけど、資本主義社会っていうのは、市場から資金を調達するという制度ですから、何株を買う、買わないってちょっとやらしく感じるけど、要は企業からすると、株を買ってくれる人のお金で資金を調達するわけですよね。だからそれはそれで上がっていくのもいいことだし、多くの人たちが投資に金を出すというのは悪いことではないじゃないすかね。

日本株買い進めているのは海外69.4%…投資の神様「バフェットさん効果大きい」

---株はいったい誰が買っているのか?北原さんによると、日本株を買っているのは実は海外のプロの投資家たちなんですよと。日本株の売買代金のうち海外投資家の割合は、2013年は58.1%だったのが先週時点で69.4%です。海外の人がどうして日本の株を買い進めているのですか?

(北原奈緒美氏)やっぱり日本の株式っていうのは、いい企業があるのに、まだまだ安いんですよ。割安なんです。それを海外の有名な投資家が日本は安いですよって言って日本の株式相場はお宝の山だっていうことになって、今の株式相場の上昇に繋がったんですね。ですから日本の個人投資家の皆さんも、今どんどん投資を始めています。

---最近、投資の神様と呼ばれているアメリカの投資家ウォーレン・バフェットさん。92歳のバフェットさんが「日本株がいいんじゃないか」と日本の総合商社に追加投資をしたということですごく大きく取り上げられたんですよね。

(北原奈緒美氏)このタイミングから株式相場の動きっていうのは変わってきましたよね。日本の株式相場ってそんな上がらなかったけど、プロが投資の神様が言うんだったら、買ってみようということがきっかけになって、今の相場になってます。投資の神様と言われてましてバフェットさんが買うと、その銘柄グンと上がったりしますね。

---何でバフェットさんは日本の総合商社の株買ったんですか?

(北原奈緒美氏)いろんな事業をやっている。なのに株価は割安、しかも配当利回りも高いということで、投資家から見ると魅力的な項目がいっぱいあったんですね。そこに投資の神様が目をつけたということなんです。ただ今、期待先行でいろんな銘柄が上がってきてますが、期待に応えられないなと思われる企業は株価が下落する可能性はあります。ですから、投資をするときは本当にこの企業に投資していいのかな。バフェットさんのように応援していきたい企業なのかな、この辺りをよく見極めて銘柄を選ぶといいと思います。

---そのあたりは慎重に自分の判断でやらなければならないというですよね。この株価好調いつまで続くんでしょうかという質問は?

(北原奈緒美氏)難しい質問ですね。けれど今の日本の変化を捉えた上昇相場というのは、短期間で終わるものではないというふうに考えられます。この先何年も続く相場になると思いますので、そこは何ての前向きなスタンスで臨んでいいのかなと。

---では株持ってない人たちにはどんな影響があるんですか。将来もらえる年金が増える可能性がありますよということなんですね?

(北原奈緒美氏)皆さんの間接的に株式を持ってるようなものなんです。将来受け取る年金は、年金基金というのは、株式でも年金の原資を運用してるんですよ。ですから株価の上昇に乗れてないっていう思ってる方もいると思うんですけど、将来自分がもらう年金の原資が株価の上昇によって増えますから。日本の国民が豊かになるために、株価の上昇、年金の年金で運用してくれてるっていうことは、とてもいいことなんです。

---年金って上手くいってんの?大丈夫なの?という不安の方が大きかったんだけども、でも運用はうまくいってるみたいですね?

年金資金の運用益98兆円 「そんなにあったんですか!」

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(立岩陽一郎氏)98兆円?年金制度始まってから、そんなにプラスになんですか。

(北原奈緒美氏)もちろんマイナスの時期もありましたけれども、ここのとこの相場の上昇と、かつてのアベノミクスのときの上昇相場もありましたから、そういうのを全部鑑みると、やっぱり大きな利益っていうのは出てきています。

---株価が上がっているというのは、決して株を持ってる人たちだけの話ではなくて、皆さん全員に関係のある話だという話でした。