今は新型コロナ感染「第9波」の入口か。感染症法上の位置づけが5類へ移行して行動制限が緩和されたことから、コロナ再拡大を懸念する声が出始めていますが、現在流行している「XBB系統」はワクチン抗体や発症で得た抗体が効かなくる「免疫逃避」が起こる可能性が指摘されています。症状は咳・鼻水・発熱といったもので、重症化するというデータはないとのこと。
(2023年6月19日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎勝田吉彰氏:関西福祉大学教授 医師でもあり、感染症などの公衆衛生に詳しい SARS流行時に北京で日本大使館医務官を務めた

変異株XBBは「抗体をすり抜ける力があるんです」

―関西福祉大学・勝田吉彰教授に解説をしてもらいます。新型コロナ数週ごとの推移。2022年11月から今年6月まで。この増え方は要注意なのか、それほど心配しなくていいのでしょうか?

勝田吉彰教授:今の時期での増え方ですから、ここから先は換気がしにくい、みんな冷房して窓閉めてしまうと、もう少し上がってくるのかなとは思います。ただWHOのデータではインドの大きな波とか、中国の大きな波とかレポがあるんですが、みんな下がっています。いったん増えても下がるということもあるので、もちろん要注意しなくちゃいけないけど、そこまで悲観的にならなくても。重症者、高齢者は注意。

―シーズン的に冷房ですとか、あとマスクっていう、増えている理由は?

勝田吉彰教授:一つは人出の増加。これも8波のときも、もうすぐ五類だといってだいぶ自由でしたよね。あとは株ですね。XXBってやつが今主流なんですが、これ自体はだんだんと免疫逃避。かつてできた抗体をすり抜ける力があるんです。いろんなことが重なっている。これから増えていく可能性は十分考えておかなくちゃいけないですよね。増えるけれど、ただ減るということも先行する国のデータで出ていますからね。

―オミクロン株のXXB系統はどんな株か。国立感染症研究所によりますと、中和抗体から免疫逃避が起こる可能性が示唆されている。この免疫逃避というのは?

勝田吉彰教授:例えばいったん抗体ができましたと。その抗体がやっつけられるかって言ったらそうではなくて、うまくすり抜けてしまう。例えば感染によってできた抗体、ワクチンによってつできた抗体とかもありますが、そういうものを含めて予防効果が低下するということが進化とともに増えてきている。BA1のときもBA.2、5のときも、毎回言われていて免疫抗体にかかわるところが変異してる。

―症状としては咳・鼻水・発熱など、これまでと大きな変化はない。重症化しやすいというデータはないが、高齢者、子供などは引き続き注意が必要ですと。

勝田吉彰教授:そこのところはね幸いと言うべきか、特に重症化率が高いというデータはないです。

中野雅至・神戸学院大学教授:(マスクは)僕はもう外してます。学生はつけている子が多いですね。

勝田吉彰教授:やっぱり周りの人がどういう人かというところをぜひ考えてほしい。お子さんだって例えば、鼻風邪でも困るというお子さんもいる。例えばステロイドと免疫が低下する薬。そういうお母さんはもうずっとヒヤヒヤしてきたっていう歴史がありますからね。やっぱり注意するところは注意。それも人のために注意するというのは高齢者だけの話じゃないということですね。

―気になるのが病床の使用率。新しいデータでは関西各地、そして徳島県では10%台から1桁というところ。重症病床の使用率も高いところで7奈良で13%、あとは1桁0というところもあります。沖縄県は実は病床使用率50%、重症病床使用率は22%。これはどういうふうに見たらいいんでしょうか?

勝田吉彰教授:これまでの過去の波のときもやっぱり沖縄県が一番最初に上がってきて、それは原因がたくさんあるんですけども、その後沖縄県だけが増えて他は全くありませんということはなかった。飛行機飛んでいます。人の流れもあります。だから、これを先行指標だと思ってここが増えているんであれば、私達ももう関西全部も他人事じゃないよねというところでしっかりと見ていきましょう。注意していきましょうということだと思います。

ー病床使用率50%、重症病床22%というのは、やはり要注意?

勝田吉彰教授:それは注意すべき。重症病床が埋まってしまえば、そこに入れなくて軽症の病床から人が亡くなってしまうということはこれまであったんですよ。

9月から始まるワクチン接種。周りに高齢者や基礎疾患患者(糖尿病、膠原病など)がいる人は接種メリットも

ー今年の春開始のワクチン追加接種。現在重症化しやすい高齢者などが対象で、主に使用されているのはファイザーとモデルナ。従来株とオミクロン株BA.4-5というものと、従来株とオミクロン株BA1というもの。それぞれ対応の2価ワクチンと呼ばれるものが接種されています。今年の9月から現在接種対象ではない人のワクチン接種が始まります。ここでオミクロン株XBB系統に対応した1価ワクチンを使う方針です。ファイザー・モデルナなどが開発、秋に向けて承認などが行われる見通しです。今まで2価ワクチンだったのに2種類だったのに、今度は1種類に変わるんですね。

勝田吉彰教授:2価ワクチンでもう一つのなくなるのは従来株で、これを一番最初に、2020年の武漢で流行った株という意味です。それはもはやほとんどない。もう一つは従来株を続けていると、こっちに引っ張られてしまう説もありますから。いったん入れないでということです。

ー今年の9月からワクチン接種が始まりますが、ワクチン接種した方がいいのというのはすごく気になるところですね?

勝田吉彰教授:私は個人的には接種しますが、テレビのコメントはそれじゃ駄目なんで。メリットとデメリットをきちんと考えていきましょう。お子さんの中でもステロイドとか、いろんなことで罹ったらたら困るお子さんもいらっしゃる。そういう人が近くにいないかどうかということ。それと基礎疾患と高齢者、糖尿病だけは有名なんだけども、他にまだいっぱいあるんですよね。例えば、腎疾患。例えば透析してる人。膠原病とかもありますから、ちょっと見直していただいて、その人にうつさないようにということで、健康な人でもそれぞれ事情がいろいろあるんですよね。メリットデメリット比較してとはそういうことなんですよ。