10月からルール変更となる『ふるさと納税』。具体的に何が変わるのか、そして9月中に“駆け込み利用”する際の注意点は…。「ふるさと納税ガイド」編集長でファイナンシャルプランナーの飛田啓介さんに聞きました。9月のふるさと納税で少しでもおトクに!…と思うところですが、飛田さんは「今年は2段階寄付を」と指摘します。

新ルールでは「熟成肉・精米は原材料の生産地が同じ都道府県のみOK」

―――10月から何が変わるのかを見ていきます。主な変更点は3つあります。1つ目は、返礼品の額です。諸経費を含め5割以内とする、と厳格化されました。今までは含めていなかった“隠れ経費”(寄付金受領証の発行など)を含めた5割が限度ですよということになります。そして2つ目、熟成肉・精米の加工品については、原材料がその地方団体と同じ都道府県産であるもののみが返礼品として認められるということです。これに関しては現場から混乱の声というのも上がっていますが、これはもう厳密に熟成肉・精米に関してはしっかりその自治体で生産されたものというのが条件ですね?

「そうですね。まさにこの熟成肉と精米だけがというところが、議論を呼んでいるポイントでもあるのかなとは思っています」

―――他の返礼品に関しては、今回はそういった設定にはなっていないということですか?

「そうですね。原材料は海外産のものでも本来はOKで、ただその自治体内において十分な加工がされているかどうかっていうところが判断基準なんですけれども、熟成肉と精米については県外産のものはもう一律NGだよというところがルールになったということですね」

―――他の加工品の場合は、よその自治体から購入してきたものをその自治体でちゃんと加工すれば、その自治体の返礼品として出せるということですか?

「そうですね。加工の中でもこういう加工はOK、こういう加工はNGというルールはあるんですけれども、簡単にお伝えすると、十分な付加価値がつくような加工がされていればOKということですね」

「セット品」のルールが厳格化 しかし明確な基準はなし?

―――そして変更点3つ目です。返礼品の中には地元のものとそうでないものを組み合わせた返礼品というものがあります。それが「セット品」なのですが、このルールが厳格化されました。どういうことかと言いますと、今までは大丈夫だった「関連品」のセットはNGです。ただ、「付帯品」というものはセットでOKです。そして地場産品の価値が7割以上という条件などもあるということなのですが、この関連品と付帯品の違いはどういうところにあるのでしょうか?

「非常に曖昧な言葉ではあるんですけれども、これは2つのものがそれ専用の専門品かどうかっていうところだというふうに私は理解しています。ただ、何が関連品で何が付帯品なのかというところについて1個1個厳密にルールが決まっているわけではないので、これからもグレーな部分が残るところでも正直あるんです」

―――総務省がホームページに例を出していまして、付帯品というのは、地元で作られたそばと区域外のそばつゆ。これは付帯品だからOKですよと。ただ、関連品の例として、地元のタオルと海外製の空気清浄機、これは駄目ですと。でもその明確な基準がないということですね。

―――次に、寄付をする側の話、9月の“駆け込み利用”についてです。宮崎県都城市は、去年の受け入れ額が1位だったというすごく人気の場所で、精肉・お米・野菜など豊富にラインナップがありますが、今回ルールが変わることによりまして、寄付金額の引き上げを検討していると既に発表しています。そのため、もしここに寄付したいという方は9月中にするのがおすすめです。また、大阪府熊取町では泉州タオルとダイソンドライヤーのセットというものがありますが、これは地元のタオルと海外製のものなので、10月以降はNGになるのではないかということです。こういったセット返礼品が10月以降、大量に姿を消す可能性が高いということですね?

「そうですね。もちろん地場産品同士のセット品とかであれば何の問題もないんですけれども、地場産品とそうでないもののセットというものがかなり多くの数、姿を消すんじゃないかなというふうに考えています」

「駆け込み利用で限度額をオーバーしたら本末転倒」

―――そのため、こういった返礼品を狙っているという方は9月中に納税した方が良さそうだということですね。ただ、駆け込み利用とはいえ、気をつけてほしいことがあるということです。飛田さんは「今年は2段階寄付を」と指摘されますが、これはどういうことでしょうか?

「ふるさと納税をこの9月中に駆け込みでしようというふうに思う方も多いかなと思うんですけれども、ふるさと納税は年収によってその人が寄付できる限度額が決まります。その限度額をオーバーして寄付をしてしまっては、お得にやろうと思ったのに自己負担金額が増えてしまい本末転倒というところがあると思いますので、年収が正式に確定する12月よりも前の9月の段階で寄付をするなら、“今はこのぐらいならばセーフティであろう”というゾーンでまずは寄付をする。例えば、今年の年収から考えたら今年は6万円まで寄付できると思っても、6万円満額寄付するのではなくて、今は4~5万円にしておいて、12月にしっかり年収が確定した段階で、あとこれだけできるなっていう部分を見極めてもう1回寄付をするという、9月と12月の2段階寄付というのをおすすめしています」

◎飛田啓介:「ふるさと納税ガイド」編集長 ファイナンシャルプランナー

(2023年9月25日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)