夏本番を迎えるにあたって気になるのが、体のニオイ。化粧品メーカー「マンダム」の調査では、60%以上の人が「自分がにおっているかもしれない」と思ったことがあるということです。きょうからできるニオイ対策は?相手のニオイを伝える方法は?専門家らへの取材などをもとに情報をまとめました。

頭皮は“油” ワキは“酢” 足は“納豆” 部位や年齢によって変わるニオイ

 誰もが気になる自分のニオイ。マンダムの調査では、「自分がにおっているかもしれない」と思ったことがある人は63.0%に上り、汗臭さが漂ってきたときに「自分のニオイかもしれないと不安になる」と思ったことがある人は68.3%となっています。

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 人間のニオイというのは体の部位によって様々です。例えば、頭皮のニオイは「油」のようなニオイと表現されることがあります。脇は「お酢」、体は「草」、足は「納豆」に例えられます。臭気判定士の原武史さんによりますと、脇のニオイだけでも7タイプ存在するということで、人それぞれニオイには個性や個体差があります。

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 そして、体臭は年代によっても変わってきます。主に男性を例にとると、代謝が活発で汗をかきやすい10代半ば~30代半ばは『ワキ臭』が強く、20代でピークを迎えます。40代に多いのが、頭の上・後頭部・首などから出る『ミドル脂臭』。「油が少し悪くなったようなニオイ」「使い古した油のようなニオイ」と表現されます。50代半ば以降に出ると言われるのが『加齢臭』。胸や背中の皮脂が酸性化され、ニオイが出るということです。

 女性の場合、ワキのニオイに関しては年齢による差はそれほど出なかったという研究結果があります。また、ミドル脂臭は男性特有のニオイだということです。

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 では、そもそもなぜニオイは発生してしまうのか。実は、汗そのものがにおっているわけではありません。皮膚の上に元々存在している常在細菌が汗や皮脂を食べ、不要なものを出したときにニオイになるということです。ただ、加齢臭はニオイのメカニズムが違っていて、年齢を重ねるごとに増加する皮脂成分が酸化して発生するということです。

加齢臭にはカシスも効果的? 種類別ニオイ対策

 ニオイの種類によって対応も変わってきます。それぞれのニオイ対策についてです。まずは、比較的若い方に多い「ワキ臭」。これには、デオドラント剤が効果的だということです。さまざまな商品がありますが、臭気判定士の原さんは、ニオイに特化するのであれば、塗布量が多い直接塗り込むタイプがオススメとしています。清涼感がほしいときや背中全体に塗布したい場合はスプレータイプがよいということです。なお、これまでのデオドラント剤は、汗が出てくる穴に“蓋をする”タイプのものが多かったようですが、現在は汗の出る量を一時的に抑えるような商品も出てきているということです。

 次に、「ミドル脂臭」には頭皮の皮脂をケアするシャンプーが効果的だということです。頭頂部・後頭部・首を丁寧にしっかりと、指の腹でマッサージするように洗っていきましょう。髪を濡らしてからシャンプーで洗ってすすぐまで3分間ぐらいかけ、できれば2度洗いすると、より効果的だということです。

 そして「加齢臭」は、ボディーシャンプーで胸や背中の皮脂汚れをしっかりと落としていくことが大切だということです。

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 体のニオイを研究している東海大学の関根嘉香教授によりますと、ワキ臭やミドル脂臭に関しては、運動・お風呂・サウナで普段から汗をよくかいておくと、汗腺が広がり汗がサラサラになるということです。

 加齢臭に関しては、カシスが効果的だとしています。抗酸化力が強く、フレッシュの実を1日に5~6粒、1週間ほど食べると効果が期待できるということです。ブルーベリーでも同じような効果が期待できるということです。

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 また、関根教授によりますと、女性は、男性にはない物質『ラクトン』を体から出しています。甘い香りで通称“モテ臭”と呼ばれています。ただ、このラクトンは30代から減少して35歳ぐらいでなくなり、女性も加齢臭が目立つようになってきます。豆乳などに含まれるイソフラボンを摂取することでラクトンの減少を緩やかにできるということです。

自分のニオイを知るには? 他人のニオイを伝えるには?

 自分のニオイを知る方法について、臭気判定士の石田翔太さんに教えてもらいました。手順は、まず、長時間来た服を袋に密閉します。次に、嗅覚をリセットするため、コーヒーの香りを嗅いだり、お風呂に入ったりします。そして、30分後に袋の中を嗅いでみてください。客観的にチェックすることができます。

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 では、職場や学校で他の人のニオイが気になったとき、本人にどう伝えればよいのでしょうか。正解はありませんが、石田さんによりますと、以下のような方法があります。

 【知人や友人の場合】
 ・まず、ニオイに気付いている人が他にもいないか確認する
 ・雑談のなかで、洗濯の頻度やお風呂の時間などを聞き、遠まわしに伝える
 ・直接的な表現を避けて進言する

 というように、気遣いながら伝えるとよいかもしれません。職場の場合、個人で相手に直接伝えることを避け、人事部などに相談し、親しすぎない人に面談などで伝えてもらう方法もあるということです。