各地で梅雨が明け、花火のシーズンがやってきましたが、花火大会、そして家庭用花火にも物価高の波が押し寄せています。一方で、特に都会では「どこで花火ができるの?」と悩む人も多いのではないでしょうか。そんな花火に関する最新情報をまとめました。

花火の製造 実は世界情勢の影響をもろに受ける!?

 まず、そもそも花火だけでどれぐらいのお金がかかっているのか。大正5年(1916年)創業の徳島県にある花火製造会社「市山煙火商会」の市山賢光さんによりますと、例えば「2.5号玉」という花火(玉の直径が7.5cm・打ち上げたときの直径が40m)は、数年前は1玉2500円でしたが、現在は1.4倍の3500円に値上がりしているということです。

 そして、市山さんの店で販売している中で最大規模の「3尺玉」という花火(玉の直径が90cm・打ち上げたときの直径が550m)は、数年前は150万円だったのが、今では1.3倍の200万円にまで値上がりしています。

 硝石や過塩素酸カリウムなど火薬を作る原料について、市山さんは「全てが値上がりしている」といいます。花火自体の火薬に加え、打ち上げるときに使う発射薬という火薬も値上がり。さらに、火薬だけではなく玉の周りに貼る玉皮というものも物価高の影響を受けていて、人件費も上がっています。海外から来るものが多いため、エネルギー価格が高騰するともろに直撃し、世界情勢によって花火を作る原料や資材にも影響が出ているということです。「ガソリン価格が上がってきたのと同時に、いろんな火薬の原材料が上がってきた記憶がある」と市山さんは話します。

 花火が値上がりすると、今後、無料で見ることが難しくなってくるかもしれません。今年から有料観覧席を設けたのが「いたみ花火大会」(8月24日(土)開催)。3500発が打ち上げられ、予算規模が5000万円の花火大会です。今回設けた有料観覧席は15分ほどで全席完売したということです。

 机・いす席(計90席)は1席7500円、シート席(計50シート)は最大6人座れて1シート3万円。これで計200万円以上が実行委員会の“収入”になりますが、予算規模で見ると1割にも満たないということです。

家庭用花火も値上がり 特に高いのが『中国製』

 実は家庭用花火も今、物価高の影響を受けています。手持ち花火から打ち上げ花火まで約200種類を扱う神戸市の花火店「福順号」で話を聞くと、店主の江戸唐音さんは「2年前と比べて1.4倍くらいの上げ幅」と話しました。元々値上げ傾向でしたが、2022年から火薬など原材料費の高騰を受けて値上げが加速。特に高くなっているのが中国製の花火だといいます。例えば線香花火は、2年前は120円だったのが、現在は約1.7倍の200円になっているということです。
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 一般に流通している家庭用花火の8割以上を占める中国製の花火。円安や原材料費の高騰もさることながら、中国の工場の人件費高騰が背景だといいます。中国が国として経済的にも成長しているので、昔のように“世界の工場”という時代は終わっているわけです。そのため、5~6年前の2倍、2~3年前の1.5倍、値上がりしているということです。

 値上がりに対するお客さんの反応はどうなのか江戸さんに聞くと、買う花火の数を減らす人もいるものの、「年に数回のお楽しみだから」と受け入れて買ってくれる人が多い印象だということです。この店では、割高ですが値上がり幅も低く、より鮮やかな国産の花火を今後多く取り揃えていく方針です。

花火店がおすすめする『国産の手持ち花火』3選!

 江戸さんに、今おすすめの国産の手持ち花火を教えてもらいました。1つ目は「たこおどり」(1本税込み300円)。火をつけると束ねられていた足が開いて、まるでたこが踊っているような花火です。
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 2つ目は「おっかけスパーク」(1本税込み70円)。2種類の火薬を使った花火で、一方の火花をもう一方の火花が追いかけるというものです。
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 3つ目は「レーザー光線」(1本税込み200円)。魅力は何といっても明るさで、名前の通りレーザー光線のような明るい火花が特徴です。

公園での花火はOK?確認に便利なサービスも

 では、花火はどこでできるのか。京阪神の公園の場合、大阪市や神戸市では、手持ち花火は“基本的に”OKです。ただ、花火禁止の公園やエリアもあるため、設置されている看板などでしっかり確認してください。また、噴射型の花火は基本的にNGです。京都市に関しては、公園での火気使用そのものが禁止されているため、手持ち花火もNGです。

 キャンプ場など私有地の場合は、管理者などに都度ルールを聞くなどして、確認をしてみてください。

 そんな中、便利なサービスがあります。花火ができる場所を探せるアプリ「Hanabi-Navi」です。全国11の都府県、60の市と区、関西では大阪・兵庫の一部が対象です。花火を販売する民間会社が、夏ほど忙しくないタイミングで全国の公園を回ってルールをチェック。「全ての場所を網羅できているわけではないが、今後さらに充実を目指したい」ということです。

 アプリを開くと、公園にマークがついた地図が表示され、タップすると、その公園ではどんなルールがあるのか、どんな花火はOK・NGなのかが確認できます。こういったサービスも活用しながら、都度確認をして夏の花火を楽しみましょう。