毎年各所でセールが行われるアメリカ発祥の「ブラックフライデー」。日本で広まったきっかけは2014年の消費税5%から8%への引き上げで、消費の喚起策として取り入れられたということです。
そもそも、なぜブラックフライデーは始まった?『ブラック』の名前の由来は?流通ジャーナリストの西川立一氏への取材などをもとに情報をまとめました。
きっかけは“ズル休み”!? ブラックフライデーの始まり
近年よく耳にするブラックフライデー。2017年は約30%だった日本での認知度が、今や83%となっています(※ONE COMPATH『Shufoo!』調べ)。もともとはアメリカで始まりました。毎年11月の第4木曜日(感謝祭)の翌日に設定されていて、今年は11月29日です。
なぜ、ブラックの名前が付いているのかは諸説ありますが、流通ジャーナリストの西川氏によりますと、1960年代、アメリカでは感謝祭(祝日)で盛り上がった翌日に仕事をズル休みする人が多かったようです。彼ら(ズル休みをした人)はフィラデルフィアで行われる伝統のアメリカンフットボールの試合に流れ込み、そういった大勢の人をさばくフィラデルフィア警察の気持ちが暗くなるとして、警察官たちがネガティブな意味でブラックフライデー=黒い金曜日と言い始めたという説があるということです。
もともとネガティブなイメージがあったブラックフライデーですが、1980年代、アメリカの小売店がホリデーシーズン(12月)の“前哨戦”としてセールを始めたという説もあり、ポジティブなイメージに変化しています。
消費増税の年に「トイザらス」が導入
日本でブラックフライデーが始まったのは、トイザらスが導入した2014年だと言われています。きっかけは消費増税(5%→8%)で、消費喚起策として広がっていきました。
2016年からはイオンも参戦し、2018年にはオリジナルキャラクター「ブラックパンダ」も登場。2020年からは今と同じ「10日間開催」のセールが始まり、現在は「初売りと同等」の売り上げを記録しているということです。
1月の「初売り」や10月の「ハロウィーン」など、日本には様々な“商戦”がありますが、11月はあまりイベントがなかったため、「もともと空白だった期間にブラックフライデーがうまくはまった」と、西川氏は分析しています。
ネットショッピングは“バッティング”を避ける傾向
イオンは今年、11月29日からの3日間“ファイナルセール”を実施。野菜高騰のなか「鍋食材」がお値打ち価格に。また、イトーヨーカドーでは“ブラック”=“黒”にかけて「96プライス企画」と題し、税抜き196円や960円などの価格で均一セールが行われました。
また、西川氏によりますと、ブラックフライデーは、“モノ消費”から“コト消費”へシフトしていて、旅行会社が提供するパッケージツアーが安くなっています。
▼HIS
ソウル3日間:1万9800円~
ハワイ5日間:9万9800円~
▼JR東海ツアーズ
新幹線(新大阪⇔東京)都内ホテル1泊:2万3750円~
▼ジェットスター
関空→那覇:片道2990円~
さらに西川氏によりますと、ネットショッピングは“バッティング”を避ける傾向があり、各社は日にちをずらしてセールを開催しています。
▼楽天:11月21日~27日
▼Yahoo!ショッピング:11月28日~30日
▼Amazon:11月29日~12月6日
次に来るのは“イースター商戦”!?
次に登場しそうな新しい商戦は、4月の「イースター(復活祭)」だと西川氏は言います。キリストの復活を祝うイースターは、日本ではあまり知られていませんが、“誕生”や“子宝”のモチーフで、『イースターバニー』というウサギを模したチョコレートが売られる日です。
イースターの日は、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日。おおむね毎年4月にやってくるということで、今後日本でも関連するセールが広まっていくかもしれません。