今季最強の寒波が襲来している日本列島。警報級の大雪となる恐れがあり、気象庁などは不要不急の外出を控えるよう呼びかけています。
こうした“ドカ雪”ですが、専門家によると夏の酷暑や地球温暖化の影響で増えているということです。大雪と温暖化の影響について、今後の雪の予想や対策も交えて、MBS広瀬駿気象予報士が解説します。
▼近畿でも“数年に1回あるかどうか”の大雪
まず、9日午後3時時点の積雪の深さです。よく雪が降る地域でも、平年の2~3倍、雪が積もっているような状況です。
青森・酸ヶ湯…376cm
新潟・魚沼市…180cm
岐阜・白川村…165cm
兵庫・兎和野高原…44cm
鳥取・大山…81cm
今後の雪の見通しは、10日朝が全国的にピークになりそうです。近畿でも車の立往生につながるような危険な雪の降り方となる恐れがあります。
10日正午にかけての予想降雪量は以下のとおりです。
東北…70cm
北陸…80cm
東海…70cm
近畿…60cm
中国…70cm
九州…40cm
近畿で60cmというのは数年に1回あるかどうかという大雪です。深く雪が積もった状況を想定して行動するようにしましょう。
▼温暖化でなぜ“ドカ雪”が降る?
実はこうした“ドカ雪”の原因の一つに温暖化があります。
まず短期的な要因は2024年、夏の猛暑で海水温が非常に高い状態が続いたこと。長期的な要因は、地球温暖化により気温が上がっていることで海もあたたまり、雪雲が発達しやすくなっていることです。
温暖化でなぜドカ雪になるのか。まず、過去と比べて気温が高く海面水温が高い場合、その上の空気もあたためられます。あたたまった空気は水蒸気量が増え、それが雪雲の材料になります。その雪雲がたどり着いた先でどっさりと降るのです。
近年日本で降る雪の量は、長期的に見ると減っています。しかし、その降り方に変化が。温暖化により、普段は雪が降らない場所でも、冬将軍がやってきた際に強い雪がドンと降るようになってきています。
気温が上がり雪雲が発達しやすくなったことで、頻度は少なくなっているものの、ドカ雪が発生するリスクが高まってきているのです。
▼「ベチャベチャの雪」は厄介
さらに雪の質も、サラサラの雪からベチャベチャの重たい雪に変わってきています。
ベチャベチャの雪は水分を多く含んでいるので、さまざまなものにペタペタとくっつきやすいのが特徴です。そのため木や葉っぱに多く雪がついて重みで木が倒れてしまうことも。また、電線に雪が付着することで、電線が切れたり鉄塔が壊れたりしてしまい、停電被害が長引いてしまう可能性もあります。
標識や信号が見えにくくなるという問題点もあります。
そんな雪の現状ですが、このまま温暖化が続けば、2050年には「冬の大雪」ではなく「冬の大雨」になるのではないかとも見られています。
▼寒波への「備え」のポイント
まず、雪の影響で交通機関が乱れる可能性があります。急な大雪だと交通機関の対応が間に合わないことも考えられるため、交通情報は最新情報を確認するようにしてください。
また、冷え込みによる「ヒートショック」への注意も必要です。脱衣場や浴室はあたためておくようにしましょう。
そして雪道では歩き方に注意してください。歩幅を小さくして、“ペンギンになったつもり”でソロソロと歩きましょう。靴の底全体で踏みしめるようにして歩くことを心がけてください。
雪による車の立ち往生にも要注意です。車で移動する場合は、防寒具・長靴・スコップ・手袋・けん引用ロープ・非常食などを用意して移動するようにしましょう。地域によっては携帯電話がつながらないこともあります。
移動する際には、気象庁のホームページ内の「今後の雪」というページから、地図上で「降雪短時間予報」が確認できるため、活用してもいいかもしれません。