大阪市内の発掘を長年担ってきた団体が解散することになりました。

 ずらりと並ぶ大量のコンテナ。中に収められているのは発掘調査で出土した土器や埴輪など遺物の数々です。これらを発掘してきたのが、大阪市の外郭団体「大阪市文化財協会」です。

 1979年に設立された大阪市文化財協会は、市の教育委員会から委託され遺跡の発掘・分析と調査などを一貫して担ってきました。「難波宮跡」などの遺跡の発掘や、最近では江戸時代末期から明治時代の1500体を超える人骨が見つかった「梅田墓」など重要な発掘調査を担ってきました。しかし、解散の話が持ち上がっているのです。一体なぜなのでしょうか。

 2011年から大阪府と大阪市は二重行政などを見直す「府市統合本部会議」を開催。その中で、大阪市文化財協会の業務が府の発掘と調査・報告を行う「大阪府文化財センター」の業務と重複しているとして協会への委託業務などを見直す方針が2013年に決まりました。

 (大阪市博物館支援課 小川哲也課長代理)「大阪市文化財協会において実施されている事業が適切に引き継がれるよう、大阪市教育委員会をはじめ関係先等に働きかけてまいりたい」

 大阪市は、協会の解散後、市の教育委員会や大阪府文化財センターが業務を引き継ぐとしています。一方、こうした状況に対し先週、複数の市民団体が協会の解散に反対する要望書を市に提出しました。

 (市民団体 吉村直樹さん)「専門的に掘る団体、グループがあるっていうのは貴重な存在だと思うんです。本来の大阪の魅力を発掘する機会がなくなってしまうんじゃないかなと」

 しかし、6月26日に協会は今年度末をもって解散することを正式に決定しました。二重行政見直しの流れの中、45年近くにおよぶ歴史に幕が降ろされることになりました。