一部で発がん性やコレステロール値の上昇への影響が指摘されている「PFAS」(有機フッ素化合物)。このPFASをめぐり、先週、内閣府の食品安全委員会が国として初めて、毎日飲んでも健康に影響がないのはどのくらいまでか、という許容量の指標を出しました。

 大阪市東淀川区の瑞光寺。実は、地下水からくみ上げている手水からは長年、PFASが高濃度で検出されています。

 レインコートの撥水加工や消火剤などに使われてきたPFAS。海外では以前から、発がん性やコレステロール値の上昇などへの影響が指摘されてきたため、手水には「この水は飲めません」と書かれた札がかけられています。

 (瑞光寺 遠山明文住職)「この札は大阪市、具体的には区役所から持ってきているんですけど、貼っといてくださいと、それだけの説明、40年前。これが飲めないというのは、いざ地震とか災害のときにこれさえあれば水道が止まっても安心だと思っていた矢先にこういうことを言われた」

 PFASは自然界には存在せず、かつて工場などで使われていたものが地下水などに溶け込んで蓄積していると言われています。

 このPFASをめぐって、今、国が大きく動き始めています。先週、内閣府の食品安全委員会が国として初めて、健康への影響に関する評価を公表。「赤ちゃんが生まれたときの体重の低下や、ワクチン摂取後の抗体低下への影響は否定できない」と公表しました。さらに、伊藤信太郎環境大臣は、全国の水道事業者などに水質検査の結果を9月末までに報告するように要請しました。

 関西でも去年9月、京都府綾部市で国の目標値を超えるPFASが検出され、住民が京都府に対して、対策の徹底や健康調査を要望しています。

 さらに岡山県吉備中央町でも去年秋、浄水場から高濃度のPFASが検出され、対策に追われています。

 (京都大学 原田浩二准教授)「個人ごとにどれだけPFASが体の中にあるのかを知るために血液検査を行っています。PFASを製造・使用していく中で、できる限り使用量を削減していく、また放出量を下げていく。こういった視点が重要だろうと思います」