青年局のハレンチパーティーに、二階元幹事長の不出馬と激震が続く和歌山の自民党でいま驚愕の話が浮上している。

 旧安倍派の5人衆の1人で、派閥パーティーの裏金問題で離党処分を受けた世耕元参院幹事長を、なんと衆議院の和歌山新1区での出馬を期待する声が出始めているというのだ。いったいどういうことなのか関係者を取材した。

 そもそも和歌山は10増10減で次の衆院選では選挙区の区割りが変わり、定数は「3」から「2」に減ることが決まっている。いまの3区から選出されている二階俊博元幹事長が派閥の裏金問題の責任をとるとして今年3月25日、次期衆院選に出馬しないと発表した。これにより新2区の支部長は空白となった。

 そこでかねてから衆院鞍替えを狙う世耕弘成前参議院幹事長がその新2区から出馬するのではないかとの噂が飛び交っていたが、6月30日に行われた自民党和歌山県連の大会で、新2区の候補者(支部長)は二階元幹事長の3男・伸康氏に決まった。多数の地元首長や県議らが二階氏3男を推す中で公募はせず後継者はいわば世襲される形に収まった。

 では、新1区はどうなるのか。1区は一時参議院からの鞍替えで鶴保庸介参院議員が出馬を予定していたが、地元から参院の議席を失うことを危惧する声が強く4月28日、鶴保議員は鞍替え出馬を断念すると発表した。

 ▼和歌山1区の候補者に世耕氏??

 そこから2か月が経ち、1区をめぐり驚きの話が入ってきた。地元関係者はこう語る。

 (地元関係者)
 「県連の内部で、世耕氏に1区で無所属で出馬してもらい、自民党は擁立せず不戦敗でいいじゃないか、という声があるんです。多数派ではないですが、そういった勢力がいるからなかなか1区の候補者選考が進まないんですよ」

 なんと自民党の裏金問題をめぐり最も重い離党勧告処分を受け離党したはずの世耕参議院議員に1区での鞍替え出馬を期待する声があるのだという。

 この“世耕1区待望論”の背景について県連幹部は・・・

(県連幹部)
「世耕氏は無所属で新2区に出馬するのでは?という噂があった。ただ、新2区で二階氏の3男・伸康氏と対決することになるよりは、1区で出てもらったほうがいいのではないか、という意見は確かにある。仮に2区で出馬となれば、和歌山の自民党がバラバラになってしまうからだ。正式な県連の会議の場でそういった協議がされているわけではない」

 ▼未だに県連会長代行の世耕議員

 なぜそこまでして世耕氏なのか甚だ疑問だが、実は県連内の空気は
世耕氏の役職にも現れている。6月30日の県連大会で、二階県連会長は会長を勇退し新会長には現2区選出の石田真敏衆院議員が就いたのだが県連会長代行のポジションには自民党を離党したはずの世耕氏が依然として名を連ねているのだ。

 確かに5月11日、自民党の森山裕総務会長が和歌山を訪問した際、「世耕さんにおかれましては、派閥の参議院における責任者であったということが、重いということになり、離党勧告をせざるを得ませんでした。今まで参議院の幹事長として、また国務大臣としても素晴らしい実績を収めてこられました。まだ若いのですから、さらに頑張っていただきたいなと強く思っております」と世耕氏重用論を唱えてはいる。しかし、一連の和歌山県連の対応には地元自民関係者も呆れ気味だ。

 (地元関係者)
 「処分対象で離党しているのに整合性が全く取れない。ただでさえ和歌山は青年局のハレンチパーティで世間からの 風当たりが強いのに、何をしているんだとお叱りを受けてしまう」

 世耕氏の無所属での新1区出馬や、県連での役職についてどう扱っていくのか、石田新会長の事務所宛てに質問状を送ったが、出馬について明確な回答はなく、役職については「新しい役員については新会長の下で定めることになっております」との回答が返ってきた。

 世耕議員の事務所にも質問状を送ったが、期日までに回答はなかった。混迷を深める自民党和歌山県連。「和歌山県連を模範的な県連とし て全国から賞賛されるように頑張って行こう」会長を退いた二階俊博元幹事長が県連大会で語った言葉がむなしく響いている。

 報道情報局東京報道部 尾藤貴裕

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