旧優生保護法による強制不妊手術の被害を受けた大阪府内の夫婦が、国に賠償を求めていた裁判で、最高裁は7月4日付けで上告を受理しない決定を出し、国に1300万円あまりの賠償を命じた2審判決が確定しました。

他の国賠訴訟で最高裁は、7月3日に「旧優生保護法の強制不妊の被害者らに、除斥期間(いわゆる“20年ルール”)を適用することは到底容認できない」として、国に賠償を命じる判決を言い渡していて、今回の決定もその判決に対応した形となります。

大阪府内在住で聴覚障害のある70代の夫婦は、複数人の子どもを望んでいましたが、1974年、長男を出産した直後に妻が、医師や親族から一切説明もないまま、旧優生保護法による不妊手術を受けさせられました。

夫婦は2019年12月、国に2200万円の賠償を求め、大阪地裁に提訴。

裁判では、改正前の民法が定めた除斥期間=賠償を請求する権利は不法行為から20年が経てば消滅するという原則を適用するかが争点となり、夫婦は1審では敗訴。

しかし、2審の大阪高裁は今年1月、除斥期間をそのまま適用しないという判断をし、夫婦の賠償請求権を認定。国に計1320万円(妻に1100万円/夫に220万円)の賠償を命じる判決を言い渡していました。

この判決を不服として国は上告しましたが、最高裁第一小法廷は7月4日付けで「上告審として受理しない」という決定を出しました。これにより、夫婦が逆転勝訴した大阪高裁判決が確定しました。

旧優生保護法下の強制不妊手術をめぐる国賠訴訟では、最高裁大法廷が7月3日、5つの上告審で、「除斥期間を適用することは、著しく正義・公平の理念に反し到底容認できない」という統一見解を示し、国に賠償を命じる判決を言い渡していて、上告を受理しないとした4日付けの決定も、その判決を踏まえた形となります。