6年前の殺人事件で無実を訴え続ける被告。検察側は懲役20年を求刑しました。

 (山本孝被告 ※28日の最終陳述)「私から言いたいことはひとつだけです。私はやっていません。私はやっていません」

 被告は同じ言葉を2回繰り返しました。山本孝被告(48)は6年前、羽曳野市の路上で、平山喬司さん(当時64)を刃物で殺害した罪に問われています。

 平山さんは被告の隣に住む女性の家へ向かっていた際、犯人にすれ違いざまに背中を刺されました。凶器も目撃者も見つからず捜査は難航しましたが、2022年、山本被告が逮捕・起訴されました。近隣住民のドライブレコーダーに映った犯人と被告の体格が合致している点。犯人の着衣やスニーカーも被告のものと酷似していた点。そして、被告が隣人女性や平山さんとトラブルを抱え、疑心暗鬼のような行動を取っていた点から“偶然の一致はありえない”と判断されたのです。

 しかし山本被告は一貫して殺害を否認。事件当日、自宅の外まで“見張り”に出たことは認めましたが、その後、家の中に戻ったと主張しています。

 【6月24日の被告人質問】
 (弁護人)「ドラレコ映像はどう思った?」
 (山本被告)「身長とかは似ていると思いましたが、それだけでなぜ、私が犯人扱いされなくちゃいけないのかなと思いました。真犯人がつかまることが一番いいことだと思っています」

 弁護側も住宅街の住民以外の人物による犯行の可能性があると主張。そして、今回の裁判は日本の刑事裁判のあり方を問うものだと訴えます。

 (主任弁護人 伊賀興一弁護士)「証拠に基づいて二義を許さない、違う解釈ができないほどに彼が犯人だと証明されなくてはいけないという原則が、いま刑事裁判の中でものすごく揺らいでいってるんですよ」

 迎えた28日の結審。検察側は懲役20年を求刑しました。有罪か、無罪か。判決は9月27日(金)に言い渡されます。